第III章 現在の対応必要事項および将来の課題
75. 遺伝子操作生物の環境リスク/安全性評価に開しては、国内レベルにおいても国際レベルにおいても、多くの進展があったが、まだ実施すべきことが多く残されている。本章では現時点におけるいくっかの対応必要事項および将来の課題について確認する。
A.国際調和:次のステップ
76. 高レベルの安全性を確保しつつ規制を調和させることが、1995年に本ワーキンググループが設置されてからの主要な目標であった。これは、異なる国の間で、リスク/安全性評価の方法に加え、その際に使用する情報が出来るだけ同じであるようにしようとするものである。これによりデータ要求が調和し、各国が互いに他国における評価からの情報を受け入れ、あるいは評価を相互に認めるようになると考えられる。規制調和における究極の意欲的な目標は、決定の相互受け入れであるが、これは遠い将来のことである。規制調和の利点は明らかである。規制の調和は、加盟国間の相互理解を深め、重複を避けて効率を上げ、その代わりに安全性を高める。
77. モダンバイオテクノロジーの分野で、OECDはリスク/安全性評価に用いる情報要求項目に加えて、規制による監督に関する各国の政策について調べるいくつかの研究を行った。これらの研究は、リスク/安全性評価に用いる情報にかなりの共通性があることを示した。このような共通性にもかかわらず、加盟国が製品の承認において異なる決定に至ってっていることは明らかである。
78.このような違いの主な理由の一つは、リスク/安全性評価において考慮に入れるべき環境が加盟国間で異なっていることである。また、国や地域による手順の違いも関係している。すべての国が科学に基づくリスク/安全性評価の結果にしているが、異なる所管当局は、例えば、生態学的研究よりは分子生物学というように、異なる専門科学分野に重点を置いている可能性がある。しかし、ある国は製品承認プロセスにおいて、例えば社会経済的インパクトといった付加的な要素に対応している。多くの国は、予防的アプローチがリスク管理において明確な位置を持つと考えているが、このことは、予防的対応(precaution)という言葉の解釈の違いと相まかなって、国ごとに異なる決定を導きうる。
79. 加盟国が現在、何をリスク/安全性評価の重要情報要素と考えているかまた、どの考慮事項が意思決定プロセスに影響を与えているかをよりよく理解するために、作業グループは将来OECDで行いうる活動について検討を行っている。
80. 例えば、加盟国が国内でのリスク/安全性評価において対応している重要な問題について分析する事は有益であろう。このような研究をどのように組み立てうるかの例示として、質問の雛形が加盟国に回付され、国内におけるリスク/安全性評価において申請者が対応することを求められる健康、環境、農業分野における3つの重要な科学的問題の確認を求めた。いくっかの加盟国が回答を寄せ、その結果が付録2にまとめられている。
81. 調和の連続性に立ち返ると、選択すべき方法は明らかに段階的に進むことであり、次の段階を適切に計画するために各段階において得られた経験を評価することである。従って、最初の段階として、各国は科学的データの質を調和させ、データを得る方法の選択を明記することが出来よう。次の段階は、データの必要性とその有効性の相互理解であろう。評価全体の受け入れには、最終的にデータの(評価への)関連性と解釈に関する合意が必要である。
82. 殆どの加盟国および殆どの作業グループ参加者が、その他の政府間活動にも関与していることに注目することは重要である。この理由から、重複を避け、協力を高めるための方法を確認することが重要である。作業グループは、技術文書や専門知識を共有するために、政府間機関間の相互関係が維持されることが重要であると考える。このことにより、リスク/安全性評価が改善され、作業の重複が避けられるようになるであろう。