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世界の
現実

5.世界の中の欧州−地球規模の課題に応えて

ライフサイエンスとバイオテクノロジーのめざましい変化は世界規模である。研究は基本的に国際的であり、知識と専門家が世界中を駆け巡っている。バイオテクノロジーの研究に積極的に取り組む国はますます増えるようになり、最初の技術革新者は特別の利益を得るとみられている。
 新しい製品やサービスを開発・規制・応用する能力に、国と地域によって大きな多様性があることもまた明らかである。こうした新しい技術を開発・利用するアプローチや選択を決定する優先事項と社会的価値に関しては、さらにいっそう大きな多様性が生まれることもある。


・・・が我々の政策と優先事項に反映されていなければならない。


 欧州の政策はそれだけが孤立したものとして開発されてはならない。欧州にとっての課題と機会の両方を決定するいっそう広い国際事情を受け入れなければならず、世界レベルで責任ある積極的な政策で応えなければならいない。主たる目的は、EUが米国や日本などの主要工業化諸国に対する競争力を維持することの確保である。さらに、ライフサイエンスとバイオテクノロジーに関して欧州が何らかの政策を決定すれば、そうした政策はすべて国際的に重要な影響を及ぼし、特に発展途上国に対して重大な影響を持つ。したがって、発展途上国の利益もまた考慮されなければならない。我々は、関連する政策すべてに国際的な面を組み入れなければならない。また、我々の基本的な価値と長期的な目的に基づき、地球規模で、特に発展途上国のために、バランスのとれた責任ある政策を積極的に推進するための国際的なアジェンダを策定する必要がある。




国や地域の多様性に取り組む


5.1.国際協力のための欧州のアジェンダ

 ライフサイエンスとバイオテクノロジーによって提起される新しい問題と、ライフサイエンスとバイオテクノロジーの応用に関するさまざまな国や地域の能力と政策の多様性に取り組むには、国際協力が必要である。

 すでに財とサービスの貿易は、製品が承認される数か異なることによる影響を受けている。国や地域がさまざまな規制の枠組みを採用すれば、国際貿易摩擦も生まれかねない。さまざまな国での規制開発の背景となっている基本原則と価値についての相互理解を深めるため、規制問題についての国際対話が必要である。

 共同体は、開かれた、多国間の、ルールに基づいた貿易制度を確約している。したがって、我々は既存の国際協定の尊重と実施を推進しなければならない。ライフサイエンスとバイオテクノロジーによって提起される個別の問題があれば、共同体は国際レベルで以下のような解決策と対話を進めなければならない。

  • 関連国際協定間の相互補完性の確保、特にWTO協定とバイオセイフテイ議定書間の相互補完性を確保する。

  • 重複を避け、それぞれの専門知識を最大限活用するため、関連する国際会議(FAO、UNEP、CBD、WTO、WHO、およびUNCTAD (i)など)を横断する、整合性があり、総合的であり、効果的であり、透明性のある、包括的なアプローチを支援する。欧州は、特にOECOおよび国際食品規格委員会(Codex)において、とりわけCodex委員会のバイオテクノロジーに関する政府間特別タスクフォースにおいて、これらの組織内での現代バイオテクノロジー応用製品のリスク分析、ラベリング、トレーサビリティに関する、調和のとれたガイドラインの開発と定期的な見直しを推進するため、全面的な役割を果たし続けなければならない。先進国と発展途上国との討議を含め、国際的な討議へのEUの参加が果たす役割と効率が拡大されなければならない。2000年12月に最終報告書が作成されたEU一米国バイオテクノロジー・フォーラム (ii)のように、話し合うことによって、さまざまな国と地域の、問題や目的についての相互理解が進められるべきである。今後の法制化についての早期の政策対話が行われれば、国際摩擦が生まれる可能性が低下することもありうる。

5.2.発展途上国に対する欧州の責任

 ライフサイエンスとバイオテクノロジーは、発展塗上国が直面している食料と健康に対する基本的なニーズのいくつかを満たす見込みがある。UNDPは、UNDP「人間開発報告書2001」の中で、発展途上国にとってバイオテクノロジーがこうした可能性を持っていることを強調している (iii)。中国、インド、メキシコなど新興諸国のいくつかは意欲的な国家開発計画をすでに実施している。

 ライフサイエンスとバイオテクノロジーは万能薬ではなく、発展途上国の分配の問題を解決するものでもないが、重要なツールの一つではあるだろう。新たな能力があれば、発展途上国が収穫増加、自然資源の持続可能な利用、経済効率と社会の受容性を調整するのに役立つはずである。可能性のある応用方法は、環境面での安全問題と、貧因を緩和し、食料の安定供給と栄養の質を高めようと願う人々が表明しているニーズを十分に考慮して、十分に研究・評価されなければならない。


欧州の能力を発展途上国のために役立たせる


 ライフサイエンスとバイオテクノロジーの主要な主体として、欧州には、発展途上諸国がそのリスク、課題、機会に取り組むことを支援し、世界レベルでこれらの技術の安全かつ秩序だった開発を促進する責任がある。すでに欧州は、ライフサイエンスとバイオテクノロジーに関する国際的な討議において影響力のある地位にある、これには、我々の戦略的目的を達成し、発展途上諸国でのライフサイエンスとバイオテクノロジーの安全かつ効率的な利用を可能にするための責任ある政策とともに進められることが必要である。

  • 欧州は、生物多様性の保護と生きている遺伝子組換え生物の越境移動に関するバイオセイフティ議定書の実施を推進し続けなければならない。さらに欧州は、生物多様性条約とFAOの植物遺伝資源に関する国際申し合わせなど、交渉の行われた多国間枠組みの支援も続けなければならない。これらの国際的手段は、遺伝資源の原産地とバイオテクノロジー発明に使われる伝統的知識の保有者に補償を提供するという視点から、遺伝資源へのアクセスと遺伝資源の利用からもたらされる利益の配分をしている。ECは、バイオテクノロジー発明によって生み出される知的所有権による収入などの利益が、遺伝資源や伝統的知識の提供者に適切に配分されることを確保するよう、貢献しなければならない。
  • 欧州は、特にリスクガバナンスに関する国際協定および国際基準の交渉と実施に発展途上諸国が参加できるよう、また、そうした国々が望む場合にはこうした技術を安全に開発し、応用できるよう、技術援助、キャパシティビルディング、技術移転に貢献しなければならない。欧州は、パートナー諸国の公的利害関係者および民間の利害関係者ならびに市民社会とのバイオテクノロジーに関する対話を図る地域のイニシアティブを支援しなければならない。
  • 欧州は、ライフサイエンスとバイオテクノロジーの需要主導型の応用のための、公平かつバランスのとれた南北間のパートナーシップと公的研究を促進しなげればならない。
  • ライフサイエンスとバイオテクノロジーに関する欧州の国内政策は、発展途上国に対して大きな影響を必ずもつ。別の食品安全性に関する要件あるいは消費者向け情報に関する政策について妥協せずに、我々は我々の政策が無意識のうちに発展途上国が望む利益を手に入れるのを妨げることがないことを確保するよう、技術援助とキャパシティビルディングを提供しなければならない。特に、我々は工業化諸国でしか扱えないかもしれず、発農途上諸国では達成できないため、結果的に現行の貿易を混乱させたり、発展途上国が自国の都合とペースでライフサイエンスとバイオテクノロジーを開発するのを事実上阻害したりすることになるような規制要件に注意しなければならない。

(i) 食料農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、生物多様性条約(CBD)、世界貿易機関(WTO)、世界保健機関(WHO)、国連貿易開発会議(UNCTAD)
(ii)  http://europa.eu.int/comm/external_relations/us/biotech.htm
(iii)  http://www.undp.org/hdr2001

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