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2.ライフサイエンスとバイオテクノロジーの可能性 ライフサイエンスとバイオテクノロジーは、今後数十年間においてもっとも有望な先端技術の一つだと一般にみなされている。両者は情報技術と同じくイネーブリング技術<他の技術を可能にする手段としての技術>であり、私的利益および公的利益を得るためのさまざま目的に応用できる。近年の科学的ブレークスルーを踏み台にして、生物系についての知識は爆発的に膨らみ、新たな応用が続々と生まれようとしている。 世界の医療分野では、高齢者と貧困国のニーズを満たすため、新しい画期的な方法が大いに必要とされている。世界の病気の半分についてはまだ治療法が分かっておらず、また抗生物質のように現在ある治療法でさえ、耐性によってしだいに効果が薄れつつある。すでにバイオテクノロジーによって、伝統的な薬剤のみならず新しい薬剤や医療サービスまでもが、以前よりも安くて安全で倫理的にも適ったかたちで続々と生産できるようになっている(クロイツフェルト・ヤコブ病の危険性のないヒト成長ホルモン、エイズやC型肝炎ウイルスの危険姓のない無限の血液凝固因子源を使った血友病の治療、ヒトインシュリン、B型肝炎と狂犬病のワクチンなど)。 農業・食料分野では、農学によって改良された作物を通じて、バイオテクノロジーが食料の質の向上と環境利益をもたらす可能性がある。遺伝子組換え(GM)作物の作付面積は1998年以降世界全体でほぼ倍増して、2001年にはおよそ5000万ヘクタール(欧州では約1万2000ヘクタール)に達している。食料と飼料の質は病気の予防と健康リスクの低減につながると考えられる。質を強化した食品(「機能性食品」)は、ライフスタイルの一部としても栄養源としても、ますます重要になってくる。FAIR研究プロジェクトの支援による植物ゲノム分析では、すでに欧州の伝統的な穀類(スペルト小麦)を遺伝的に改良して、タンパク質収量を18%も増やすことに成功している。これは動物飼料用タンパク質の代替源として使うことができる。(i) 抵抗力を強化した作物では、農薬の使用量がかなり減ったことが記録されている。病気やストレスに対する動植物の自然の抵抗力を高めることで、化学的な農薬や肥料や薬剤の使用を減らし、保全耕起法の使用を増やすことができる。つまり一段と持続可能な農法が増えることになり、土壌の浸食は減って、環境にはプラスになる。ライフサイエンスとバイオテクノロジーは、環境への影響を減らしながら、飢餓と栄養不良を根絶して、増え続ける人ロを現在の耕地面積で養っていくための重要な手段の一つになるものとみられる。 バイオテクノロジーはまた、工業用供給原料や生分解性プラスチックなどの新素材の供給源という、作物の食料以外の用途を改善する可能牲も秘めている。植物性素材は、製造業、エネルギー産業、医薬品産業に対して、分子構成ブロックと複合分子の両方を供給できる。現在改良が進められているのは、炭水化物、油、脂肪、タンパク質の改変、それに繊維と新しいポリマーの生産などである。経済的、財政的に適切な条件が整えば、バイオマスは、バイオディーゼルやバイオエタノールなどの液体バイオ燃料および固形バイオ燃料というかたちで代替エネルギーに貢献できるだけでなく、バイオ脱硫などのプロセスにも役立つ。また植物ゲノミクスは、マーカーを用いた品種改良を通して、従来型の品種改良にも役立つ。 |
(i) http://europa.eu.int/comm/research/agro/fair/en/be1569.html