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14. タマネギ

Q.P. van der Meer著


A. タマネギの特性

a) 原産地

トルコ、イラン、イラク北部、アフガニスタン、中央アジア西部(カザフスタンを含む)、パキスタン西部を含む地域がAllium種の主な中心地であると考えられている。A. cepaが派生したと思われる祖先種のグループには、cepa節のoschanini群団の野生分類群、すなわちA. oschanini(A. praemictumを含む)およびA. vaviloviがある。
A. cepaの栽培化はおそらく現在のタジキスタン、アフガニスタンおよびイランの内部で始まり、この西アジア南部の地区が変異性の主な中心地としても認められている。地中海盆地などのタマネギが大きな変異性を示している他の地区は、二次的な中心地である(Hanelt、1990年)。

b) 使用の地理的分布;主要生産地

エジプトで生育されているタマネギは、最も古い種類のタマネギの一部である可能性が高い。古代の供え物テーブルの上に描かれたタマネギは、最古のものでは紀元前2700年までさかのぼる(Tackholm、1954年;van der Meer、1986年)。カイロの南で生育されている現在の品種ギザ6モハッサン、デルタで生育されているビーヘアリは疑いもなくこれらの古代タマネギから直接的に生殖で繁殖した子孫である。同様に、インドでもタマネギは古い作物である(紀元前6世紀)。タマネギは中央ヨーロッパおよび北ヨーロッパにローマ人によってもたらされたが、広範に広がったのは中世になってからである。ロシアへの導入が起こったのは12〜13世紀であり(Hanelt、1990年)、米国へは1492年になってから、インドネシアへは1700年より前、そして日本へはおそらく19世紀に入ってから米国経由で導入された。
現在、タマネギあるいはシャロットのいずれかのA. cepaの大規模作付けが世界中のほとんどどこでも見られ、北極圏に近いフィンランドからインドネシアの赤道にまで広がっている。主な生産者は米国(2,087,000トン)、インド(2,450,000トン)、日本(1,160,000トン)、トルコ(1,950,000トン)、スペイン(1,146,000トン)である(FAO、1988年)。

c) 分類学的地位;遺伝的特徴および細胞質遺伝的特徴

分類学上の地位は未だ多少不明確なところがあり、特にA. galanthum、A. oschanini、A. fistulosum、A. farctum、A. pskemense、A. royleiなどの品種との関係の度合いが不明である。交雑は、A. fistulosum、A. vavilovi、A. pskemense、A. galanthum、A. nutans、A. senescens、A. sativum、A. royleiとの間で報告されている。完全な交雑性は、A. royleiおよびA. cepaとの間でのみ観察されている(van der MeerとDevries、1990年)。
A. cepa近縁作物の多くは、特定の国あるいは地域でのみ見つかり、ほとんどは民間の庭で小規模に栽培されている。このうち多くのものは、A. cepa-A. fistulosumの雑種で、すなわちA. proliferum(ドイツ)、A.ワケギ(日本)、ベルツビル・バンチング(米国)、デルタ・ジャイアント(米国ルイジアナ州)である。この他に分類学的な基礎が同定されていないものが3種あり、これはGrise de la Drôme(南フランス)、Utrechtse Sint Jansui(オランダ、ユトレヒト近郊)、A. perutile(英国)である。
A. cepa集団はいずれも(2x=)16本の染色体を持っている。一部のcepa近縁種は染色体数が異なっており、デルタ・ジャイアントは(3x=)24本、ベルツビル・バンチングは(4x=)32本である。
これまで遺伝学的解析はいくつかなされてきたが、最も重要なのは色の遺伝(El ShafieとDavis、1967年)および雄性不稔(JonesとClarke、1943年)に対するものである。雄性不稔は細胞質性に遺伝される特性である。

d) 生殖質および栄養繁殖体の移動で問題となる植物検疫

種子生殖によるタマネギ作物では、植物検疫上の複雑な問題がよく知られており、これは一部の病害、つまり頚部腐敗(Botrytis aclada)とべと病(Peronospora destructor)が種子によって伝播するためである。その結果、これらの病害はしばしば種子生育地区(カリフォルニア、アイダホ、フランスなど)から鱗茎生育地区(亜熱帯およびヨーロッパ北西部など)へと伝播する。これらの病害がほぼ世界的なものである理由はこのことによる可能性が高い。
栄養生殖されたシャロット作物は実際問題として恒久的な危険物であり、それはこれが多くの害虫および病害、すなわちアザミウマ、線形動物、ウイルス、白腐病(Sclerotium cepivorum)、頚部腐敗、フサリウム症、べと病などを広めるためである。また球根(栄養生殖体として使用された鱗芽)および種子タマネギ(種子生産のために植えられた鱗茎)は、これらの栄養生殖体が100キロあるいは1,000キロ以上もの距離を輸送されるので、ウイルス以外の重大な植物検疫上のリスクも意味している。
消費用タマネギ、すなわち乾燥した鱗茎も同様に非常な長距離を輸送されており、例えばヨーロッパから西アフリカ、カリブ海地区からシンガポール、チリからヨーロッパ、エジプトからロシア、インドからマレーシア、ニュージーランドから日本などである。この輸送も害虫および病害の点で多少のリスクを伴うが、生育地区へと直接侵入する栄養生殖体の輸送に比べればリスクが小さいことは間違いない。

e) 現在の最終使用用途

炒める、煮る、あるいはサラダであれ、A. cepa作物は世界で最も人気があり風味を高めるものとして不可欠であると思われる。

B. 生殖のメカニズム

a) 生殖および受粉の様式

栄養生殖は、今日ではシャロットのみが一般的であるが、タマネギの栽培化の始まりでは、栄養生殖による増殖が最も自然で優占的な方法であった可能性がある。現在では、タマネギは主に種子により増殖されている。
A. cepaは昆虫によってのみ受粉し、ミツバチ、マルハナバチ、ハエ、ハナアブおよびまれにジガバチが介在する。
全てのA. cepa近縁種(上記を参照)は、ベルツビル・バンチングを除いてどれも高度に不稔であり、それゆえ栄養生殖である。

b) 多年生対一年生

A. cepaあるいはA. cepa近縁作物が野生化することは決してないが、祖先種すなわちA. ocshanini近縁種は現在でも多年生の野生品種としてイランおよびアフガニスタンの北部国境地区で生存している(Hanelt、1990年)。A. proliferumは一年生よりも多年生が多い。

c) 分散と生存のメカニズム

商業的栽培品種の種子は収穫後2年以内で発芽能力が顕著に低下する傾向があるが、タマネギの種子は乾燥して冷涼な条件で保存された場合には多年(20〜30年)にわたって生存可能である。シャロットおよびタマネギの娘鱗茎の保存能力(自然状態ではなく)は、1年から2年に限られている。
A. cepaの分散は種子、球根、娘鱗茎(シャロットの場合)によって実行されており、これらはしばしば長距離にわたって輸送される。A. cepaと近縁種との交雑は、A. royleiを除いては、常に高度の雑種不稔がもたらされ、これは多くの現存するA. cepa近縁種が示している通りである。これらのほとんどの作物は、ベルツビル・バンチングおよびデルタ・ジャイアントを除いて、(古代の?)自然発生的な交雑からのみ派生している。より近年になってからの人為的な交雑(A. nutans、A. fistulosum、A. senescens、A. sativumとの間)から派生した品種雑種も、同様にほとんど全てが不稔になる可能性が非常に高い。このためこのような雑種は、A. cepaの近縁作物と同様に栄養生殖によって維持されている。

毒物学

Allium属は、いかなる毒物も含有していないと思われる。A. cepaを含むいくつかの種では、高血糖、高脂質、血小板凝集に対し治療的な効果があると言われている(Augusti、1990年)。

生活環での環境上の必要事項

栽培化が始まって以来、タマネギは選抜(有性生殖および栄養生殖による系統)を通じて、あるいは新しい生育技術によって、非常に広範な環境に徐々に順応してきた。今日では、圃場生育は、種子、球根または娘鱗茎の移植から始まり、密度、土壌のタイプ、日長、気温などの生育条件も広範にわたっている。
長い日長と高い温度により鱗茎過程が促される。それぞれの品種には固有の臨界日長時間があり、適正な鱗茎形成と成熟には特定の最低日長時間が必要とされる。臨界日長時間が短い場合、例えば12時間または13時間の場合、品種は短日群に属するものと分類される。長日群品種は臨界日長時間が約16時間である。日長および気温はもちろん地理学的な緯度と密接に関連しており、現在ではほとんど全ての緯度において利用可能な品種が存在する(表14.1)
表14.1は、多くの品種において緯度上の適応幅が5°〜10°の間であることを示している。ただし、アーリー・グラノ種とレッド・クリオール種は非常に顕著な例外であり、およそ25°となっている。同時に顕著なのは、スツットガーター種を球根で使用した場合の広範な順応幅(およそ18°)である。
世界を緯度に沿って地域別に見ていくと、いずれの場所でもなんらかのタマネギを見つけることができ、例えばグラノ種はスペイン、米国、オーストラリア、南アフリカ、南米のメンドサ付近において見られる(南緯約33°)。
A. cepaの原産の中心地はイランおよびアフガニスタンの北部国境地域であると考えられているため、北緯36°〜40°から北と南に広がったはずである。順応のための努力において、香りを増強するものとしてタマネギが持つ無類の魅力は疑いもなく強い刺激となったであろう。最北緯および最南緯への順応は明らかに主に栄養生殖という手段を通じて現実化された(表14.1を参照)。当該地域で種子の直播によるタマネギおよびタマネギの種子が抱える問題に取り組もうとしていたその地方の育種方法が、栄養生殖に対し生殖上の補完を与えたことであろう。

表14.1 特定の緯度に順応したタマネギとシャロット

タイプまたは品種 生殖体 大まかな緯度範囲
栄養生殖されたタマネギおよびシャロット


ラインバーガー



スツットガーター



バボッサ

アーリー・グラノ
(=バボッサ?)


グラノ

スイート・スパニッシュ
(=グラノ?)

オーストラリア・ブラウン
(=グラノ?)

ビーへアリ

ギザ・6 モハッサン

レッド・カノ

レッド・クリオール


ビオレ・ドゥ・ガルミ

ボンベイ・レッド


シャロット
娘鱗茎


種子



球根



種子

種子



種子

種子


種子


種子

種子

種子

種子


種子

種子


娘鱗茎
ロシア北部
フィンランド

デンマーク
オランダ
フランス北部

オランダ
ルーマニア
フィンランド

スペイン

米国
熱帯アメリカ
スペイン

スペイン

米国


オーストラリア
南アフリカ

エジプト

エジプト

ナイジェリア

米国
熱帯諸国

熱帯諸国

熱帯諸国


インドネシア
56〜62°NL


48〜56°NL



44〜62°NL



36〜40°NL

8〜34°NL



38〜42°NL

30〜40°NL


35〜40°NL
30〜35°NL

30〜33°NL

23〜30°NL

8〜12°NL

8〜32°NL


8〜23°NL

6〜10°NL, SL
(高地)

0〜10°SL
(高地および低地)


C. 現行の育種の実践および品種開発の研究

a) 育種、遺伝的ベース、戦略、技術、ハンディキャップ

i) 生殖質の維持管理

現在でも多くの地方系統がオランダ、エジプト、ナイジェリアおよびインドネシアなどで生育されている。しかし、遺伝子の侵食は急激に進んでおり、その例として米国、オランダ、エジプト、ナイジェリアおよびノルウェイが挙げられる。
ローマにあるIBPGRのAllium属ワーキンググループが、世界各地からのAllium属の生殖質の採集と保存の促進ならびに調整を行っている。ベースコレクションはIBPGRの後援のもと、ウェルズボーン(英国)、ワゲニンゲン(オランダ)、レホヴォット(イスラエル)、オロムーク(旧チェコスロバキア)、フォート・コリン(米国コロラド州)、筑波(日本)、タピオジーレ(ハンガリー)に設立された。これらの遺伝子バンクはAllium品目、特に地方の系統およびタマネギの野生型近縁種について、その採集、保存、登録、記載、(育種家への)配布の任を負っている。

ii) 基本育種

タマネギ作物の大部分は他家受粉である。自殖は0パーセントから50パーセント以上とばらつきがある(van der Meerとvan Bennekom、1968年、1972年)。基本育種には、品種交雑(合成をもたらす)、分岐した品種からの雑種親の育種(すなわち、A、B、C系統)、種間交雑、標準化されたスクリーニング法の開発などがある。

iii) 品種開発

品種開発は、放任受粉品種(OP)、雑種親、実験的雑種から向上した特徴を選抜することによって実現される。
F1雑種は、ほとんどの場合は2系統からなる2集団の完全な交雑によって作出される。系統は株を自殖した後に得られる集団である。タマネギ雑種の作出では、以下のものが利用される。

- A系統は、完全に雄性不稔で種子の親となる。
- B系統は、A系統の生殖に適した遺伝子型で、いわゆる維持系統と呼ばれるものである。
- C系統は、A系統の雑種パートナー(花粉親)である。

A系統は完全かつ恒久的に雄性不稔でなければならず、B系統はA系統を維持できるものでなければならない。雑種は生殖および均一性に関し、OPより優れたものとなることがある。実験的な雑種から優勢な雑種を選抜する。実験的な雑種での変異は主に分岐したC系統を使用することによって得られる。

iv) 制限的な特徴

タマネギの育種は、その2年生の生活環によって制限されている。2年間で1世代のみが得られるため、新しい品種の開発には10数年あるいはそれ以上かかることがある。
タマネギ育種のその他のハンディキャップは、完全な雄性不稔を維持するための遺伝子型の系統数が不足していることにある。このことはインドタマネギの品種、ギザ 6 モハッサン(エジプト)、ヴォルシュカ(ポーランド)、オーストラリア・ブラウン(オーストラリア)、ヴェタッツカ(旧チェコスロバキア)にあてはまる。その結果、これらの品種からはA系統も雑種も育種することができない。
雑種システムでより良好な均一性を得る可能性は、近交弱勢によっても制限されている。一般的にB系統の2世代から3世代以上にわたる自殖はA系統の種子収量に対し壊滅的な影響を及ぼす。三系交雑がこの問題の部分的な解決法となる可能性があり、これは雄性不稔F1雑種を種子親とすることに基づいている(Dowker、1990年)。
シャロットの育種は有性生殖によって行われなければならない。シャロット種子の生育は一般的に難しいものではない。子世代は遺伝子型に大きなばらつきを示し、選別にとって期待できるベースを提供してくれる。向上したクローンを見つけた後、大規模に生育できるようになるには少なくとも5年間の増殖が必要である。
タマネギは例えば10°Cで6週間といった低温のあとでのみ抽だいおよび開花を行う(春化)。これは熱帯での育種にとって重大なハンディキャップであり、開花を誘発させるための特殊な手段、例えば鱗茎を高地に植える(標高約1,500m)、あるいは植える前に冷所にて保存し春化させるといった手段をとる必要がある。
自然状態での高い自殖パーセントもハンディキャップとして見なされなければならない。

b) 育種の主要目標

タマネギの選抜における主要な基準は次のものである。

- 収量;
- 環境温度あるいは冷所保存での品質保持;
- 成熟、形状、色の均一性;
- 形。球形が最も一般的である;
- 色。黄色がヨーロッパおよび米国では最も一般的であるが、アフリカおよびインドでは赤が好まれる;
- 病害抵抗性;
- 早期成熟;
- 抽だいしないこと、特に冬型作物;
- 冬季の耐久力;
- 加工目的のため乾燥物質の高含有率(脱水);
- 苦味がないこと。

品質保持は主に新芽発生に対する抵抗性、外皮の良好な保持、腐敗しないことが必要となる。これはオフシーズン(冬、雨季あるいは乾季)にタマネギを供給する上で、また世界各地での時期的あるいは地域的なタマネギ不足に対応するために最も重要なことである。現在では消費用タマネギの品質保持を向上する方法として、圃場でのマレインヒドラジドの噴霧がある程度一般化しているが、これが人の健康に及ぼす影響は未だ疑問の余地がある。
選抜目的のため、遺伝子資源の非常に広範なプールが利用可能であるが、特定の緯度(すなわち特定の気温および日長)への順応は重大なハンディキャップとなっており、時間のかかる戻し交配の計画が必要とされる。さらにいくつかの病害(べと病、頚部腐敗、白腐病、葉先焼け)に対する明白な抵抗性は非常にまれであり、A. cepaでは欠損しているとさえ言える。その結果、病害抵抗性を他のAllium属種で探している(そして見つかっている)。しかし、ほとんどの場合そのような特性のA. cepaへの遺伝子移入は、交雑能の欠如と雑種不稔性のため、達成が難しいと思われる。

c) 重要な育種目標のための検査

次に挙げる特性に関する検査は、一般的は例えば無作為化ブロックのデザインを用いた繰り返し(圃場)試験で行われる。

- 収量;
- 均一性;
- 形状;
- 色;
- 早期性;
- 抽だいしないこと;
- 冬季の耐久力;
- 品質保持性。

収量および品質保持性は重量に基づいて測定されるが、他の特性は圃場での観察に基づいて測定される(計測、評価)。
外皮の保持は保管後にストレスを増加させること、すなわち標準化された機械によって特定の時間にわたって鱗茎をゆすって検査する。乾燥物質の含有量は屈折計を用いて測定する(van der Meer、1984年)。苦味の少なさは現在に至るまで感覚器官の反応検査による評価のみが可能となっている。苦味は刺激的な臭味とも関連があると思われる。
べと病、頚部腐敗、フサリウム症、紅色根腐れ病など病害に対する抵抗性の検査は、文献に記載された方法が一般的に使用されている(van der Meerとvan Bennkom、1970年、Kofetら、1990年などを参照のこと)。

d) 育種素材の評価

育種素材のモニタリングにおいては「名人の目による」(圃場)観察が最も重要である。これは鱗茎作物および種子作物のいずれにもあてはまる。同様に外皮の保持、乾燥物質の含有量、病害抵抗性も定期的に検査される。モニタリングは通常、標準的な生育条件の下で行われる。ときには天候あるいは土壌条件での変動に対する耐性を検査するため、特定のストレス条件が選択されるか、あるいは模擬的に作られる。

D. 商業利用のための種子増産

a) 種子生産の段階

オランダタマネギに関する実際的なデータは次のようなものである。

- 1ヘクタールあたりの種子生産量は約500kg(フランスおよびイタリア);
- 実際的な増殖係数は約400;
- 1ヘクタール当たり必要な種子は約6kg;
- 1ヘクタールあたりの鱗茎生産量は約50トン;
- 種子の購入費は、商業的な鱗茎栽培総費用の5〜10パーセントの間(van der Meer、1968年)。

1,000ヘクタールの鱗茎タマネギのためには約6,000kgのタマネギ種子が必要とされる。この量は約15kgのタマネギ種子から増殖することで得られ、さらにこの15kgの種子は約40gの種子からの増殖が必要とされる。この事例では、6,000kgの種子が市販種子、15kgの種子が原種子、40gの種子が育種家種子として承認を受ける。育種家種子の維持は育種家の責任である。原種子および市販種子の生産は、一般的には特殊な種子生産ユニットの手に委ねられ、これが生産、隔離、間引きなど、そして市販種子の最終的な品質と純粋性に対して責任を持つ。

b) 隔離の実施

タマネギ種子は、他のタマネギ種子圃場から最低1.5kmの距離を置いて生育される。

c) 保証および登録

オランダでは、タマネギ種子は保証を受けることができるが、これは任意制である。種子の品質は通常は種子会社によって直接的に保証されている。オランダでの品種の特性に関する監視は、毎年の圃場検査で特定の全国タマネギ検査委員会の責任において行われている。良好な品種は推奨品種のリストに登録され、低品位の品種はリスト登録を却下されるか、リストから抹消される。品種リストへの登録後、新品種は迅速に受け入れられる。
品種検査および推奨が実行されている場合でも、ほとんどの国で地方の育種家および販売者が品種改良に対する最終的な責任を負っている。しかし、多くの国(例、バングラディッシュ、スーダン、ガーナ)ではその地方の系統のみが入手可能であり、これらの系統は個々の農家によって維持されている(ただし改良はされていない)。
品種および系統の数は、国によってさらには地域によっても大きなばらつきがある。エジプトでは、カイロの南では旧サイーディの在来種1系統(ギザ6モハッサン)のみが生育しているが、デルタではビーヘアリ種の多くの地方系統(30種以上)が生育している。オランダでは、1992年には16品種の推奨系統およびラインバーガー種の雑種が利用可能であったが、ルーマニアでは1990年には6品種が推奨されており、この中にはヴォルシュカ(ポーランドから)およびスツットガーターが含まれていた。インドネシアでは10〜20種のシャロットの地方系統が栽培されている。このうちの1種(var. Bangkok)は、植え付け素材を毎年タイから輸入している。世界におけるタマネギのコレクションは最低でも1000系統と品種によって構成されている(個人的な推定)。

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