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11. アルファルファ

D.K. Barnes著


A. アルファルファの特徴

a) 原産地;多様性の中心地

一般的なアルファルファは、小アジア、ザカフカス、イラン北西部、トルコ北東部を含む一帯が原産であると信じられている。この地域の気候は、冷涼な冬と高温乾燥の夏が繰り返される。土壌は典型的に水はけがよく、pHはほぼ中性で、石灰に富んだ心土である(Michaudら、1988年)。

b) 地理的分布

アルファルファ別名ムラサキウマゴヤシは、世界で最も重要な飼料作物である。初期の人類にそのことが認められて栽培化されてきており、現在では中国からスペイン、スウェーデンから北アフリカ、イエメンにいたるまで野生で生育しているのが見られる。南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、北米および南米にも順応してきた。世界中では3,200万ヘクタールを超える面積で栽培されている(Michaudら、1988年)。

c) 分類学的地位

Medicago属には60を超える種が含まれており、そのうち3分の2は一年生、3分の1は多年生である。Medicagoの基本的な遺伝子の数はx=8であるが、数種の一年生はx=7である。Medicago属の種では3種の倍数体レベル(2倍体、4倍体、6倍体)が見られる。Medicago sativaは商業的に取り扱われている主要品種で、32本の染色体を持つ同質4倍体である。M. sativaは、M. sativa 複合種と呼ばれることも多いが、その原産と進化は(QuirosとBauchan、1988年)によって記述されている。

d) 遺伝学および細胞遺伝学的特性

McCoyとBingham(1988年)は、アルファルファの細胞学および細胞遺伝的な記述をまとめた。さらに最近、McCoyとEcht(1992年)が、アルファルファにおける現在の染色体操作の状況と遺伝的な分析についての考察を行った。彼らは、アルファルファの組織は培養が容易であり、効果的に形質転換できると報告した。いったん単離されると、事実上いかなる生物からの遺伝子もアルファルファの導入することが可能である。アルファルファの遺伝子マップを作るために分子技術が使用されている。アルファルファの従来からの特性およびこれまでなかった特性の改善について、その将来を制限するものはほとんどないと思われる。

e) 現在の最終使用用途

一般的に栽培されている干草および牧草作物の中で、農場動物に対する飼料価値が最も高いのがアルファルファである。アルファルファのヘクタールあたりのタンパク質生産量は、穀物あるいは脂肪種子作物よりも高い。無機質の含有量が高く、最低でも10種のビタミン、特にビタミンAを含んでいる。これらの特性により、ほとんどの農場動物、特に乳牛に対する食料構成要素として、アルファルファの干草、飼料、サイレージとしての使用が好ましいものとなっている(BarnesとSheaffer、1985年)。アルファルファはまた全てのクラスの家畜に対する高品質な牧草としても使用されている。ヒツジおよびウシでは、アルファルファおよびアルファルファとイネ科牧草で育てた場合、イネ科牧草のみで育てたものより高い収益率が得られることが報告されている。
またアルファルファは、米国ではハチミツのための主要作物であり、ミツバチによる年間生産量の3分の1を占めている。ハチミツは、しばしば種子生産の副産物でもある。またかなりの量のアルファルファ種子がモヤシを作るために使用されており、これは人による消費を専門とした食品である。現在に至るまで、ハチミツあるいはモヤシ生産での使用を目的とした特別品種は開発されていない。
アルファルファはまた生物的な窒素(N2)の固定率が高いことでもよく知られるようになった。バクテリアRhizobium melilotiとの共同により、アルファルファは大気中のN2を年間1haあたり200 kg以上も除去することができる(Vanceら、1988年)。N2固定は、アルファルファを輪作で使用した場合に、アルファルファの後に植えた作物の生産量が増加する理由のひとつである。さらにアルファルファの後に生育された作物は、保水能力の向上、土壌有機物の増加、数種の病原体の軽減による効果を享受する。またアルファルファは、流去水および土壌侵食の軽減、また土壌窒素を一年生作物が到達できるよりもさらに深い場所から除去することで、汚染を最小限化している(BarnesとSheaffer、1985年)。

生殖のメカニズム

a) 生殖と受粉の様式

アルファルファの花の発達と受粉は、Viandsら(1988年)によって記述されている。ここでは彼らの知見を概略した。
アルファルファは高度に特異化した蝶形花を持ち、これには受粉を実施できる昆虫のタイプを制限する独自のトリッピング機構が備わっている。多年生アルファルファは主に他家受粉で、その理由はトリッピング機構に柱頭のクチクラが組み合わさっているためで、これが花のトリッピングに先立つ柱頭からの分泌と自家の花粉との接触を通常は防いでいる。また部分的な自家不和合性およびさまざまな不稔性機構により、数種のアルファルファ遺伝子型(植物)では自家受粉が低減されているが、これは全ての遺伝子型にあてはまるものではない。
ほとんどのアルファルファ遺伝子型は、人為的に自家受粉、他家受粉することができる。他家受粉は、除雄(花から受精させることなく花粉を取り除くこと)をしても、あるいはしなくてもいずれによっても可能である。ハチによる他家受粉では、不稔性機構がないため、自家受粉および雑種の種子のいずれも生産する可能性がある。自家受粉種子と雑種種子の区別に利用できる遺伝的マーカーは、わずかしかない。
他家受粉は通常、自家受粉よりも高い種子生産量をもたらす(花ごとの種子数およびトリップした花ごとのさや数)。少ないながらもいくつかの証拠によれば、部分的な自家不和合性システムは、花粉管と雌ずいのさまざまな部位、特に子房と胚珠との相互作用の結果であることが示唆されている。
遺伝的および細胞質による2型式の雄性不稔システムが確認されている。2つのタイプの遺伝的雄性不稔が報告されており、いずれも異なる劣性遺伝子で制御されている。遺伝的雄性不稔は、優性遺伝子によって制御されているシステムがない場合には、圃場での雑種生産ではそれほど有用とはならないであろう。細胞質雄性不稔が、雑種種子の生産において最良の機構を提供してくれる。2つのタイプがこれまでに確認されており、いずれも細胞質因子と相互作用するそれぞれ単一の劣性核内遺伝子によって条件づけられている。雑種生産は現時点では経済的ではなく、その理由は雄性不稔植物での種子収量が一般的に低いためである。雄性不稔植物の種子収量を増加させるためには、雄性不稔株と授粉(花粉を生産する)株の圃場でのランダムな分布(条植えではなく)、雄性不稔株に対する授粉株の割合の増加、種子の生産性が高いあるいは花粉の生産性が高い授粉株の使用が重要である。
これに替わる雑種種子生産の方法は、雄性不稔株の受粉に雌性不稔株を使用することである。このシステムの大規模適用は現時点では制限されており、その理由は雌性不稔性が単一の劣性遺伝子で制御されているからである。雌性不稔は、雌性不稔植物との他配あるいは栄養生殖のいずれかで維持されなければならないだろう。

b) 関連品種との交雑能

アルファルファが他家受粉できる栽培作物は存在しない。アルファルファが関連品種と受粉する可能性は少なく、それはこれらの品種が世界のごく一部でのみ発生しており、さらにこれらの地区でも自然発生的な雑種形成は非常にまれである。M.sativaと関連品種の自然交雑の後代は、飼料としての品質、環境への適合と環境に対する利用価値において、関連品種と同等かそれより優れたものとなるはずである。

毒物学

アルファルファ飼料を最も消費する反芻動物に対しては、リグニンおよび第一胃鼓脹が主要な品質低下因子である(Howarh、1988年)。アルファルファのリグニン含有量は、飼料の成熟とともに増加する。リグニンの増加により細胞壁繊維の消化吸収率が低下し、このため動物の性能低下および非常に大きな経済的損失がもたらされる。発生の早期から後期にかけて収穫することで、アルファルファの有害なリグニンの増加を予防できる。
反芻胃鼓脹のリスクが、牧草としてのアルファルファの広範な使用、特に肉牛生産での使用の妨げとなっている。鼓脹を引き起こさないアルファルファ育種に関する研究が行われているが、この特性を持った品種は利用可能ではない。飼料のタンニン生産をミヤコグサからアルファルファへ分子遺伝的技術によって組み込む試みが行われている。

生活環における環境上の必要事項

アルファルファは非常に広範な環境条件の下で生育する。しかし高温によって、生育は抑制され、収量は低減し、耐倒伏性が弱くなる。低温は、冬季の亜致死性および致死性の傷害に対する適応能力を制限する(McKenzieら、1988年)。アルファルファは、寒冷、暑熱、旱魃などの好ましくない時期に遭遇すると休眠に入る能力があり、他の樹木品種と違って、好ましい環境条件または好ましくない環境条件によっていつでも強制的に休眠状態にさせるか、休眠状態から離脱させることができる。
光周期は休眠反応および寒冷耐性の発達に影響する。短い明期(長い夜間)が、寒冷耐性品種において寒冷耐性の発達開始に必要とされる(McKenzieら、1988年)。光の質も寒冷耐性に影響を与える可能性がある。南半球に適応したアルファルファでは、寒冷感受性があり、光周性感知機能が損失している。
世界各地の農業生産地区でみられるほとんどの環境条件に適応したアルファルファを発育させるため、生殖質が入手可能である。しかし、環境上の適合因子と生物的な複合虫害問題への抵抗性との組み合わせについて栽培品種の育種と評価を行おうとすると問題が生じる。しばしばストレス耐性の高さと作物収量の低さに密接な関連があるように見受けられる。多くのタイプのストレス耐性を評価するための信頼できる検査室検査の方法がないため、しばしば植物育種家は圃場で、試験的な環境の発生が予測できないにもかかわらずその発生に頼らなければならない。

B. 現行の育種の実践および品種開発の研究

a) 育種の主要技術

i) 生殖質の維持管理

アルファルファの生殖質の維持は、いくつかの国際的グループによって保証されており、これらのグループが本作物を長期にわたって栽培してきた国のほとんどからMedicago属の導入植物(PI)を収集した。これらのコレクションには、局在性の生態型から無作為に収集された遺伝子型までが含まれている。ほとんどの原生殖質は、PIとしてそれぞれの国で維持されている。その中でも二大コレクションは、ロシアのサンクトペテルブルグにあるVIR Institute(3,700品目)と米国ワシントン州プルマンにあるPIコレクション(2,340品目)である。かなりな規模のコレクションがカナダ、オーストラリア、フランス、またシリアにある国際乾燥地区農業研究センター(ICARDA)でも保持されている。アルファルファの原生殖質は、科学的な交換に対しいずれも入手可能となっている。
米国のコレクションの原生殖質に対し、一連の害虫抵抗性、生理学的ストレスへの耐性、農学的特性に関する評価の試みが現在行われている。この情報はコンピュータ化されているので、電話で入手することができる。またPIは増殖され、好ましい条件の下で保管されている。

ii) 基本育種

基本育種集団の開発については、Rumbaughら(1988年)が記述している。ほとんどのアルファルファ育種プログラムは、優良集団もしくは優良系統の開発に基づいている。集団とは、同様の原産、適応、特性を持つ植物の集まりであるが、これには品種系統、生態型、あるいはいかなる生殖質の提供源もあてはまる。集団は異なる存在として維持することもできるし、混合することも可能である。集団内での改良は通常は集団から大量の植物を栽培し、これから目標とする特性のある植物200〜300株を選抜し、これらを組み合わせる(交雑する)ことで成り立っている。手続きは一連の特性を改良するため繰り返すことができる。集団間育種および系統の樹立は、アルファルファ集団の遺伝子多様性を増加させるために使用することができ、放任受粉により遺伝子はある集団から別の集団へと流れ、均衡に達する。

iii) 品種開発

品種開発の方法は、植物育種家によって異なる。その方法のいくつかとして、集団の改善、系統の交雑、合成品種、雑種品種がある。集団の改善は、害虫抵抗性レベルを増大させるための育種を目的とした栽培品種の開発でしばしば使用される。大量の植物をスクリーニングにかけ、最も抵抗性の高かった植物を残し、これを交雑する。害虫抵抗性の集団平均を望まれているレベルまで上昇させるために、同じ手順を2回から3回繰り返す必要がある場合もある。収量増加のための選抜では、しばしば後代検定が使用される。

iv) 使用される技術

複数の特性を持つ栽培品種を迅速に開発するためには、系統交配が使用される。好ましい特性の1群を持つ1集団(品種あるいは生殖質の提供源)と他の1群の特性を持つ集団とが交配される。その結果生まれる集団は両集団の特性を混合して持つことになる。手順は迅速であり、収量のいくらかの増加がヘテローシス(雑種強勢)により得られることがある。主要な欠点は、ほとんどの特性ではその発現量が2親集団での特性のほぼ平均となることである。一部の特性においては、これにより望ましいレベルを下回る可能性がある。
これまで品種開発で最も頻繁に使用されてきている方法は、合成品種の利用である。TysdalとCrandall(1948年)は、アルファルファの合成「品種」について、2あるいはそれ以上の系統あるいはクローンを一緒に交雑、堆肥化、植栽することで開発した品種で、種子を一括に収穫し植栽することで種子の増殖を行ったものと定義した。合成品種は放任受粉を通じて1世代から3世代で進歩するだろうと考えられている。1965年以前は、ほとんどの合成品種は親植物が40よりも少なかった。しかし、より近年に開発された合成品種では、遺伝子頻度の変化を最小限のものとし、種子増産世代での同系交配を低下させるために通常はさらに多数の親植物(40〜200)を用いている(Hillら、1988年)。
アルファルファの雑種品種は、細胞質雄性不稔が報告されており、またアルファルファが虫媒作物であることから可能性がある。現在、雑種のアルファルファは、受粉者が雄性不稔植物の種子を大量に生産しないことと、雑種からの飼料の収量の増加が種子コストの増加を正当化するものではないことから現実的ではない。

b) 育種の主要目標

過去数十年におけるアルファルファ育種の主要目標は、害虫抵抗性の開発であった。将来の品種は、複数の害虫抵抗性と非生物的なストレス因子への耐性、飼料品質の向上、そして環境、農業、産業の問題に対応する新しい特性を併せ持つものとなるだろう。新しい品種で望まれる特性の数が増加することにより、極度に広域的な基本育種集団の開発がアルファルファ育種家に求められ、これにより必要となる害虫抵抗性および適応因子がネズミ算式に増加した。品種開発で導入植物を直接使用できることはまずない。新しい品種におけるPIからの遺伝子の使用を保証するため、何らかの形での原育種あるいは分子遺伝子導入の方法が必要とされるだろう。

c) 最重要育種目標のための検査

重要な特性に関するアルファルファの検査では、実験的なアルファルファと(抵抗性および感受性が)認められた対照品種を標準検査で比較する必要がある。ほとんどの重要な害虫抵抗性および生理学的な特性に関する標準検査手順は、NAAIC(北アメリカアルファルファ改善会議)によって取りまとめられ記述されている(Foxら、1991年)。いかなる特性に関しても米国では政府による特定の検査は行われていない。しかし、育種家が自分たちで検査を実行できなかった場合には、彼らの原料を評価してもらうための場所を通常は利用することができる。全ての検査結果は、抵抗性対照栽培品種を基準にして修正される。これにより、複数の検査からの結果を容易に比較することができる。米国での害虫抵抗性データの概要は、保証アルファルファ種子評議会によって毎年提示される。感受性品種は抵抗性が0〜5%の株で、6〜14%の抵抗性がある株は弱抵抗性(LR)、抵抗性15〜30%の場合はやや弱の抵抗性(MR)、31〜50%の株は抵抗性(R)、50%を超えるものは強抵抗性(HR)があるとされる。ほとんどの害虫について、曝露しながら最大収量を提供するにはMRおよびRレベルの抵抗性で充分である。

d) 性能/特性の評価

飼料収量検査のための手順および対照品種は、場所に応じて異なる。一般的には、区画サイズは1m´6mで、4回繰り返す。種子形成の年から2年から5年後に検査を実行する。後期の莢から収穫し、収量を乾燥物もしくは水分12%の干草の重量に応じて表示する(エーカー毎のトン数、あるいはMT/ha)。持続性は、通常は収量検査でアルファルファによって覆われた地面のパーセントで測定される。すべてのプログラムには対照栽培品種が含まれているが、場所によって対照栽培品種は異なる。新しい品種の性能に関する公式検査による比較では、国によって要求事項が異なっている。しかしながら基本的には全ての飼料収量検査のプログラムで同じフォーマットが使用されている。

C. 商業的利用のための種子増産

a) 種子生産の段階

アルファルファ種子生産は非常に複雑であり、高度の栽培化の管理と適切な天候条件が必要とされる。Rinckerら(1988年)は、アルファルファ種子生産が成功するためには、雲がなく太陽の照っている温暖な夏の日と少量もしくはまったく雨の降らないことの組み合わせが好ましい、と報告している。これらの天候条件は、開花およびハチの授粉活動のいずれにとっても好ましいものである。生産における他の重大な問題には次のものがある。有害昆虫の制御、効果的な授粉者の提供、開花時期における灌漑水の適切な適用。また種子収穫中の乾燥した天候も重要である。

b) 隔離の実施

北米において保証アルファルファ種子の生産のために選ばれた圃場は、最低でも1年間は他の栽培品種あるいは「一般的」アルファルファが植えられたことがない場所でなければならない(Rinckerら、1988年)。遺伝的汚染を予防するために必要とされる圃場隔離の要求事項は、公式種子保証機関連盟(AOSCA)から刊行されている。他の開花しているアルファルファからの最低隔離距離は、それぞれ原種子183m(600フィート)、登録種子91m(300フィート)、保証種子15m(50フィート)である。最低隔離距離は、NAAICの先導で行われた汚染(他配)割合の測定調査に基づいている。また種子圃場の形状と規模も重要であることが判明した。圃場の10%以下の部分が隔離距離の50m内にある場合には、圃場間に3 mの境界を設けるほかには隔離の必要はない。当該圃場の10%を超える部分が隔離距離内に入る場合には、その部分の圃場については保証種子として収穫することはできない。

c) 種子の保証と登録

公共育種機関あるいは民間育種家による新しいアルファルファ品種の米国での販売開始は、標準検査の評価データの検討に基づいている。検討は全国アルファルファ品種検討評議会(NAVRB)によって行われるが、この機関は、NAAIC、アメリカ種子取引連盟(ASTA)、AOSCAの会合の結果1962年に編制されたものである。評議会は投票権のある4メンバーおよびその代理、投票権のない議長、秘書で構成されている。投票権のあるメンバーは、ASTAから植物育種家1名、ASTA全体の代表者1名、NAAICから公共育種家1名、ARS-USAからの育種家1名である。秘書と議長がAOSCAを代表している。評議会は育種の歴史、種子の増殖、収量、持続性、害虫抵抗性、その他の特別な特性について、情報を検討し評価する。評議会は、特徴的であり保証を受けるに値する品種をAOSCAに報告する。全品種に関して、NAVRBから有利な措置を受ける特性が、保証アルファルファ種子評議会の刊行物、および民間会社や多くの州立農業試験場による刊行物に記述されている。
アルファルファ品種の米国での承認は、植物品種保護(PVP)をメリーランド州ベルツヴィルのPVP事務所から受けることによっても得られる。そのために必要な情報は、NAVRBでの標準検査データの必要事項とほぼ同じである(Foxら、1991年)。しかし、PVP事務所では、それぞれの新品種をアルファルファデータベースと比較し、当該品種が性能の点で特徴があることを確認するが、これに対しNAVRBは育種環境に基づいてユニーク性があるものとみなす。PVP保証を受けた品種のほとんどは、当該品種とその特性に対する認知が確実に最大限のものとなるよう、NARVBにも提出される。PVP保証は国際市場で最も有用であり、米国内で認知されていない世代の種子の販売に対する制限としても有効である。

d) 市販された品種の監視

現時点では、米国内では市販されたアルファルファ品種に関する定期的な監視は行われていない。現在使用されている品種の95%以上は、業界が公開したものか、公共機関が開発し企業に種子増産と販売を委託したものである。品種の所有者が、原種子および保証種子販売のいずれをも管理している。保証制度が品種の純度を保証している。保証のために承認された各品種の特性は詳細に公表されており、そのため品種が意図的に不正確に述べられる理由はほとんどない。
北米の公共および民間のアルファルファ研究界は、共同で現在の問題に対するモニターと研究に取り組んでいる。情報交換はNAAICおよびその3つの地区会議により促進されている。北米懇談会議は偶数年に、地区会議は奇数年に開催されている。新しい害虫、害虫の新品種もしくは新しい生物型の発生が、これらの会議で検討される。公共および産業界の科学者によるNAAIC委員会が設立され、育種のための方法論あるいは新しいタイプの害虫抵抗性に対する評価のための方法論を展開している。方法が妥当であると証明され次第、方法は標準検査と見なされNAAICにより公表される(Foxら、1991年)。
米国における品種性能に関する他のフィードバックの情報源としては、各州内での飼料普及専門家および栽培家と業界の代表の間での相互連絡がある。品種性能の問題で検出されなかったもの、あるいは無視されたものは数少ない。新品種の急速な回転率は、性能問題が対処されることのさらなる保険となる。一般的に品種は、保証種子の生産が確立した年か、その翌年に全国アルファルファ品種検討評議会に提出される。これにより栽培農家への迅速な発売が保証される。北米アルファルファ市場は非常に細分化されており、多くの独立した種子販売者が自分の品種だけを独占的に販売している。過去5年間は、毎年30〜40の新しい品種がNAVRBによって承認されてきている。新品種が多数に昇った原因は、新しい特性すなわち複数小葉の開発、新しい害虫抵抗性、多数の企業によるアルファルファ種子のマーケティングなどである。この傾向はこれから数年にわたって続くものと思われる。

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