前へ | 次へ

第6章 リスクを最小限に抑える手続き

はじめに

6.1 この章で推奨する手続きは、前章で論じられた遺伝子操作生物の放出によって生じる諸問題をふまえた上で、環境を損なうリスクを減少させる方法である。ここで勧めるものは、第7章で述べる、安全衛生庁(HSE)と、その諮問委員会であるACGMとが現在イギリスで採用している手続きと概ね一致している。潜在的な問題の規模に応じて、リスク同定やモニタリングなど、現在行われている方法を更に進歩させていく必要があると考えられる。さして手間のかからない手続きで、効果的なものを開発することは可能であり、ここで推奨するものは、そのような手続きとして考案したものである。

モラトリアム(実施猶予)

6.2 西ドイツ議会(West German Parliament)(75)に寄せられている報告書の1つに、外来遺伝子の入っている遺伝子操作微生物の放出について、向こう5年間の法規制をするように推奨するものがある。その主張は、微生物の放出における安全性を信頼するほどには、環境における微生物の行動について、現時点では理解が進んでいないというものである。更に、微生物の行動に関する情報を増やすための調査計画も推奨されている。欧州議会(European Parliament)では近年、遺伝子操作生物の放出について、特にモラトリアムを呼びかけている報告書を採用し、全面的な法規制を検討している(146)。

6.3 それと同様の推奨をすべきかどうかについては考察済みである。イギリスでは、次章で述べるように、病原性の生物はすでに法律による統制の対象である。遺伝子操作生物は法律による管理システムの中の適切な場所に組み込まれることになっている。微生物など、病原性ではない多くの生物は、無害か、むしろ有益ですらある。外来遺伝子を挿入されたからといって、そういった生物が必然的に有害な生物に変わってしまうという理由はない。環境における生物の行動に関連する問題は数多くあるが、それは研究室内や、人工的な封じ込め環境で行われる研究によって容易に解決されるものではない。その問題解決のためには、実際の現場で、その場に相応しい方法を用い、慎重に管理された実験が欠かせないのである。丁寧なモニタリングと、そのリスクが無視できる程度のGEOの使用とを組み合わせた実験が実施できるように手配すれば、モラトリアムよりも安全性に寄与するものとなるだろう。従って、全般的に又は特定のカテゴリーに関して、法規制やモラトリアムをすべきではないと考えられる。ここで推奨するGEOの放出についての管理方法を実行すれば、懸念される問題を同定し、それを個々に適切に扱い、必要ならば、未然に防ぐことも可能な筈である。安全であると判断される放出の実施を、環境上の理由で妨げるのは不当であり、本報告書で提案する方法で若干の必要な予防策を講じれば、放出を実施することは可能である。

生産管理

6.4 モラトリアムどころか、ハザード対策の新しい法規制や保護はすべきでないというケースもある。それは、その場にある現行の生産管理のメカニズムが信頼できない場合である。その場合、遺伝子操作された産物のために、別個に管理手段を構築すると、精査に関して、不必要に倍の手間をかけねばならないことが分かっている。更に、農作物の生育や、鉱石から金属を抽出するために利用するバクテリアや汚染された地面を正常に戻すバクテリアの培養など、生産管理のメカニズムがない場所で、通常の産物の中での、GEO又はGEOを含む産物のみに関する管理は、変則的になることが立証されている。

6.5 遺伝子操作生物に関するアセスメントの方法として、生産管理手段が存在する現場では、生産管理手段が主要な道であることは認める。しかし、前章で論じたように、GEOは他の状況では生じない問題を起こすものと考えられる。ある遺伝子操作生物の行動と、普通の過程を経て生まれた産物の行動との差異についての知識は、今のところ初歩的段階である。従って、GEOには規格外の精査が必要である。精査を行う人物は、GEOの行動についての特定の知識とGEOの環境に対する影響を評価する能力とを持ち、通常は産物のアセスメント過程には関わらないものとする。まったく同じ理由から、生産管理手段の存在しない現場でも、そのような精査の必要性が高まっている。いずれ経験が積み重なっていけば、より広範にわたる生産管理手段に対する信頼性を根拠として、GEO専用の管理手段が再考される可能性もある。現在の知識レベルでは、このテーマに着手するのは賢明ではないだろう。それによって起こり得る変則的なものは全て、新しい技術の最先端での研究に対して支払われる代償の一部として受け入れられるべきである。

精査

6.6 はじめに、案件となる放出ごとに行われる、綿密で専門的な精査について考察する。精査によって、放出が原因で生じる特異な事態を見逃す可能性が低くなり、リスクを確実に発見し、処理することができる。この技術開発において、GEO の放出について世界的に知識が不足している段階では、全てのケースで、専門家の集まった国家的な委員会による精査が必要である。これは放出委員会(Release Committee)と呼ばれる。そういった精査に先立ち、よく練られた案件が、GEO開発を行う組織内に基盤を持つ地方的な委員会によって選別され、国家的な委員会に提出されるべきである。こちらは地方安全性アセスメント委員会と呼ばれる。いずれ、こういった地方レベルの委員会に委嘱された精査のみで、放出の類型を同定することが充分可能となるかもしれない。これはアメリカ合衆国で提案されている(76)。イギリスにおいては、放出の経験が相当数得られるまで、そのような手続きは採用すべきでないと考えられる。

6.7 生物に応じたカテゴリーを設けるべきであり、放出を求める案件は、そのカテゴリーによって異なった扱いを受けるべきであるという意見は多い。例えば、米国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency)で出されている案(76)は、微生物の場合、遺伝子の欠失及び生物内での遺伝子付加によるリスクが比較的小さいことから、短縮された再調査の手続きでよいというものである。カテゴリーへの分類は、魅力的で実現可能な目標ではある。しかし、GEOの放出に関する知識の不足分が補われ、遺伝子工学の実用範囲が大きくなる見込みが確実にあるとしても、現在、精査対象から外される可能性のあるカテゴリーを明確に定めるのは無謀である。環境へのGEO放出の案件ごとに、ケースバイケースの評価をすることが必須なのである。カテゴリーは類似点を基準に定義されるものである。これは有益な方法ではあるが、ハザードの可能性を検討する場合は、相違点を基準にすることが最も重要である。

6.8 カテゴリーに分類せず、ケースバイケースの徹底した検査をすることを強調するからといって、放出の実施について過度な負担を感じる必要はない。多くの放出案件によって出てくる問題には類似性がある。精査を集中すべきところは、環境や生物の目新しい側面である。得られる情報の範囲と詳細は、初期の提出物に義務付けられている内容を上回っている。充分解明されているケースならば、その情報量はもっと少なくてもよい。案件固有の不確定性によって、情報量は左右されるわけである。放出が進行するにつれて得られた情報によって、必要と思われる程度に、情報の範囲と詳細は変更される。

アセスメント委員会

6.9 放出を求める現在の案件によって、種々の新しい問題が生じる可能性がある。前述したように、どんな精査過程においても、その有効性は、その問題に取り組むために用いることの出来る経験と専門技術に大いに依存することになる。第7章で述べるように、HSEとACGMとで、案件となる放出ごとにアセスメントを行うACGMの代行委員会を設けている。そのメンバーは、環境省(DOE)、農漁食糧省(MAFF)、全国消費者協議会(NCC)、保健省(Department of Health)、森林局(Forestry Commission)、自然環境調査局(NERC)といった様々な公共団体の専門家や、多方面の分野の専門家から成り立っている。この代行委員会それ自体を、諮問委員会として再編成することを提案する。その責務と会員資格については、第8章で詳しく述べる。

6.10 地方安全性アセスメント委員会には、国家的な委員会と同じ領域の専門技術は必要ないかもしれないが、遺伝子工学の専門家に加え、生態学者が参加すべきである。他には、出来る限り、関連性のある特定の知識や専門技術を持ったメンバーを任命すべきである。地方自治体の環境衛生監視官(HEO)ならば、地方の地域社会を代表する意味で重要な役割を果たすだろう。よって、地方のHEOにそのような委員を務めてもらうと良い。現在のHEOの責務範囲からは少し外れた対象に対して、知識に基づいた貢献をしてもらうためには、訓練と助言を受ける必要がある。喜ばしいことに、HSE及び環境衛生監視官の組織は、すでにこの方向で動き始めている。

情報及びアセスメント

6.11 精査の実効は、アセスメント委員を務める側の専門技術によって定まるのみではなく、放出案件を出す側が提供する情報の質によっても定まることになる。案件を提出する側は、提出の際に義務付けられるものを正確に理解しなければならない。経済協力開発機構(OECD)が1986年に発表し、高い評価を受けた報告書「組換えDNAの安全性に関する考察」(Recombinant DNA Safety Considerations)(78)は有効である。特にこの報告書によって、環境方面及び農業方面でGEOの放出案件を出す際に検討すべき問題が同定された。OECDでは現在、放出案件のアセスメントの方法について、有用な情報をまとめている。ACGMでは、イギリスで放出案件を提出する者のためのガイドラインを発表しており(パラグラフ7.7)、欧州委員会では、欧州共同体の加盟国に案件を提出している(6)。その他の国々でも、それぞれの要件に応じた情報が発行されている。

6.12 案件には様々なものがあるが、共通項目も多くある。放出側に義務付けられる情報やアセスメント手続きについては、国際的な合意を得ることが望ましいのは明らかである。この報告書の作成時点で、ACGMにおいて、現在までに行われている放出に付随する知識が考慮され、情報とリスクアセスメントに関するガイドラインの改訂が進んでいる。その改訂版ガイドラインの草稿を見ると、国際的合意の獲得に向けた取り組みの最中であることが認められる。このテーマに関する国際的審議における雛型として、政府がその最終版を用いることを期待する。抑える必要のある重要な要素を次にまとめる。

(a) 資格、訓練経験なども含む個人の身元証明
(b) 放出の目的
(c) 地理学的及び環境上適切な情報など、案件の放出の場所
(d) 生物学的及び生態学的に適切な情報など、原種となる生物、全てのベクター、合成されたGEOについての記述
(e) 発生する可能性のある不必要な影響なども含む、GEO生産の操作についての記述
(f) 現場の準備、放出の時機と方式、それに続く現場の撤去作業や除染作業の全てに関する手配
(g) 関連性のある先行する放出に関する全ての情報なども含む、環境への潜在的な影響
(h) 手配のモニタリング
(i) 予想外の事態に備えた緊急時対策
(j) 事前に行われた地方的なアセスメントと諮問の結果

6.13 この情報を付託すれば、提案する側が案件の放出について完璧なリスクアセスメントを行っているという事実に説得力を持たせることが出来る。また、この情報程度の詳細があれば、放出委員会はその案件の放出に関連するリスクについて、充分に知識に基づいた判断を下すことが出来る筈である。重要な問題の中でも特に抑えておくべきことを次に挙げる。放出が行われる土地における改変されていない生物の生息範囲。その生物の病原性又は毒性の有無。宿主範囲の変化あるいは生物の毒性の変化など、遺伝子操作を施した結果としての行動上の変化。GEOと、GEOにとっての捕食者や害虫や餌となる可能性のある生物との関わり。GEOの安定性と、遺伝子転移の可能性。風その他の手段によるGEOの散乱の影響。休眠状態になる能力など、GEOの生残特性。GEOが衰弱していく程度。

6.14 こういった諸問題には、研究室や封じ込め施設での経験が義務付けられる面がある。とはいえ、現在の知識で、安全性についての確固とした解答を必ず出せるとは限らない(99)。進行中又は計画中の調査プログラムは、知識の溝を埋めるのに役立つ筈である。このテーマについては第10章で詳しく述べる。

リスク同定の手法

6.15 こういった取り組みは大切なことだが、ある手続きを補足する必要がある。その手続きを経ることにより、それがなければ検討されない場合もある可能性に思い至り、起こり得る全ての結果について充分に検証し、重大なハザードを見過ごす可能性を最小限にとどめることが出来る。研究者たちは、放出について熟考を重ね、あるいは助言をし、可能性のあるハザードを同定するという課題に取り組んでいる。本報告書の事実確認の際、我々は、彼らの気配りと徹底的な姿勢に感銘を受けた。しかし、放出委員会により、それ以前の研究の中に、幾つか手法があることが分かった。特にHAZOP(Hazard and Operability)解析は、化学プラントでの作業環境において、様々なハザードにさらされる中で試され、有効性が確認されている。HAZOPでは遺伝子操作生物の放出によるハザードの同定について考慮されているわけではないが、知る限りでは、封じ込め実験作業として研究室の設計仕様と作業過程に応用され(81)、GEOを利用した産物を作ることに成功している(82)。HAZOPに従えば、ハザード同定に対して体系的に取り組むことが出来る。実行チームには、プラントの設計仕様と作業過程に関心を持ち、起こり得る予想外の出来事について想像力に富みかつ慎重な考え方をする専門家が選定される。更に詳しい情報は、クレッツ(Kletz)(79)や化学工業協会(Chemical Industries Association)(80)の論文など、若干の資料で見ることができる。

6.16 HAZOP解析では、(工業プラントの)設計仕様の各要素に順番に着目し、「NONE」(原料が流れないなど、意図した設計仕様が得られない場合)、「MORE OF」(流量や圧力や温度の増加など、量的に増加した場合)、「LESS OF」(流量や圧力や温度の減少など、量的に減少した場合)、「PART OF」(混合物の成分を1つにするなど、質的に減少した場合)、「MORE THAN」(不純物など、意図した結果の他に余分なものが発生した場合)、「OTHER THAN」(操業の開始や停止や保全に関し、意図しない事態が発生した場合)といった「ガイドワード」を利用して、計画された作業過程のパターンから逸脱している可能性がないかどうか、チームが体系的に徹底した調査を押し進め、逸脱の結果についてアセスメントを行い、想定していないハザードの処理に必要なものを検討する。解析の進捗に従い、各段階を表形式で記録する。それぞれの「GUIDEWORD」(ガイドワード)について、ガイドワードの適用によって発見された作業過程意図から逸脱する可能性のあるものが、「DEVIATION」(逸脱)の項目の下に記録される。次に、逸脱の「CAUSE」(原因)について、起こり得る「CONSEQUENCES」(結果)について、最後に、採られるべき「ACTION」(対応策)について記録される。対応策の内容は、ハザードを排除するために採られるべき手段や、追加情報収集のための調査などである。結果が有害ではないと判定される場合の対応策は要らない。事件が起こる原因は、知識や経験が不足しているからではなく、設計仕様が複雑だからであるという仮定に、この手法は基づいている。ハザードを発見するためには、体系的だが想像力に富んだ分析が必要である。

6.17 遺伝子操作生物の放出と、化学プラントの作業過程とは、多くの点で異なる活動ではあるが、HAZOPの方法論は生物学的な状況にも適用可能であると考えられる。そこで、熱心に支援してくれる遺伝子工学に携わる科学者たちと共に、その成否を確かめるべく小規模な研究会を設立することにした。参加者全員の名前のリストを付録6に挙げる。

6.18 研究会によって、GEOの放出にHAZOPを応用するのは困難であろうという結論が出され、それを変形した手法が考案された。混同しないように、それはGENHAZと呼ばれている。今のところGENHAZの運用も試験も充分ではない。しかし、これまでの参加者全員の間では、GENHAZが完全に開発されれば、それがなければ見過ごす可能性のある、環境に対する影響の同定が容易になるという結論に達している。その結果、その詳しい手続きの説明と具体例などを、便覧に記載できる段階になるまでGENHAZの開発と試験が続行されることになった。その情報によって、放出を計画する全ての団体が、GENHAZ解析に着手できることになる。

6.19  HAZOP解析の場合は、大規模な新しい化学プラントなら、数週間の時間を要するかもしれないのに対し、小規模な改変ならば、解析には1回のミーティングで充分ということもあり得る。GENHAZ解析の場合は、案件となる放出が、先行する放出と類似しているなら、比較的短時間で済む場合がある。一方、案件となる放出に先行するものがないなら、GENHAZ解析は複雑となるか、環境に対する重大なリスクの原因となるため、一層の献身的な取り組みが必要とされるかもしれない。HAZOPの目的を果たすような手続きの適用に関わることは、もしそれが考案できれば、リスク削減と、社会に対する安全の保証に寄与することが出来るものと考えられる。HAZOPを用いるケースでは、計画立案の初期段階で、安全性に疑問を抱くような問題に加え、作業過程上の潜在的な問題に気づいた結果として、実行時に改善点が得られるという利益も期待できるだろう。

6.20 しかしながら大切なのは、HAZOP――即ちGENHAZ――によって判明するのは状況の一部に過ぎないと銘記することである。それが予見できないものに対する留意となる。ただそれにより、出来事が発生する確率、例えば研究室で観察された遺伝子転移のメカニズムの現実における程度についてなど、現実の疑問に対する解答が得られるわけではない。そのような疑問を検討するために、化学工業ではHAZAN(ハザード分析)として知られる手法が別にある。第10章で述べる研究は、GEOの放出に関連のあるこういった疑問について、解答を出すために有効となる。

ミクロコスム(微小生態系)

6.21 ミクロコスムとして知られる人工的な環境の中では、放出に先立って遺伝子操作生物の行動を吟味することができる。そういった環境の構築は、環境へのリスクを減少させる実用的な方法となり得る(83)。ミクロコスムの1つの類型は、原野や湖などの自然環境から採取された試料を、温室内や育成室内、研究室の水槽内に設置した形をとるものである。このねらいは、管理する実験領域内を、環境的に出来るだけ現実に近い状況にすることにある。他には、例えば、ある生物の行動について特定の面を分析するために、無菌土や蒸留水などから人工的に構築できるミクロコスムもある。

6.22 ミクロコスムは、環境に対して影響する可能性のある化学物質の分析に幅広く利用されており、研究室での分析と野外試験との間の段階をなしている。遺伝子工学では、ミクロコスムが次の事柄の評価に役立つことがある。即ち、GEOの遺伝子の安定性、遺伝子転移の可能性、遺伝子の発現における特有の環境パラメーターの影響、GEOの生残能力、GEOが環境に悪影響を及ぼす可能性である。しかし、ミクロコスムの設計管理に関連する多様な理由から困難になるのは、得られた結果を、ミクロコスムの実験から環境における生物の行動に至るまで関連付けるということである(84)。加えて難しいのは、複雑な食物網の中で、本来、陸地や海洋といった広大な領域を覆うように生息する鳥類や大型の動植物の、環境における行動についての研究に、ミクロコスムを利用することである。ミクロコスムの持つ可能性を全て引き出し、放出に関連するリスクを減少させるためには、こういった論点での調査が必要なのである。

段階的取り組み

6.23 リスクは、新しい生物の開発において、各段階で導き出される不明確なものを確実に限定することによって、更に減らすことが出来る。これは2種類のレベルで影響する。1つめは、放出が研究室の段階から普及する段階に進むまでの経過が、一連の段階を経るごとに、封じ込めの度合いが徐々に緩和される筈だということである。段階とは、例えば、研究室から始まり、温室、単一の野外試験、より広範な試験を経て、完全な商品化に至る(78)。こういった段階を産物が移動するにつれ、漸次、様々な団体に精査の責務がかかる可能性がある。例えば、研究室での封じ込め作業に関してACGMで見落としがある場合、その計画導入代行委員会(Intentional Introduction Sub-Committee)(パラグラフ7.8)で、野外試験及び他の放出に関するアセスメントを行うことになる。そのため、計画導入代行委員会の調査は、生産管理と重複したり、特定の制定法で規制しなければならない放出に関して、他の機関が行う調査と部分的に一致したりする可能性がある。こういった様々なアセスメントを行う団体の間では、密接な連携が必要であると共に、アセスメントの情報や、実施されている放出の結果についての情報を取り交わす協定が必要である。

6.24 2つめは、実施される放出を革新するための取り組みは、各ステップで行われた改変が、受容できない程度の不明確なものを導き出さないように、段階的に行われるべきだということだ。付録5のパラグラフ2-17で述べる、ウイルス学研究所(Institute of Virology)のバキュロウイルスの放出が、この取り組みの1例を示す。最初の野外試験では、芋虫を冒すウイルスが使用された。ウイルスの広がりをモニター出来るようにする改変は、1個のマーカー配列を入れるのみであった。次の試験では、さらに1ステップの改変が行われた。環境におけるウイルスの生残能力を下げたるために、そのウイルスを弱体化したのである。その次のステップは、ウイルスの弱体化によって、ウイルスのタンパク質の発現能力が影響されたかどうかを確かめるために、発現が芋虫でモニター出来る1個の遺伝子をそのウイルスに加えることだった。これは結局、そのウイルスの芋虫に対する毒性を増加させる1個又は複数個の遺伝子の追加へ導くことを意図したものである。

生残性の制限

6.25 放出された生物の環境中での生残及び複製の確立が非常に小さいと分かれば、放出に関連する全てのリスクは、ずっと減少するだろう。大量販売される農作物の多くの変種及び数種類の家畜は、すでにこの制限を受けている。例えば、トウモロコシは、すでに種子を落とすことが出来ない。農作物の中には、繁栄させるために、肥料や灌漑、あるいは他の栄養や保護が欠かせないものがある。同様に家畜の中にも、高い品質の家禽などは、人間に依存しているものがある。遺伝子操作されたそのような動植物の変種には、類似した特性がたびたび見受けられる。

弱体化システム(DEBILITATION SYSTEMS)
環境中での生残適応力が小さい遺伝子操作生物を作る1つの方法は、生残のために特定の栄養素を外部から供給する必要があるように、その代謝経路に手を加えることである。こういった栄養素はGEOの成長を意図する環境において供給されるものである。いったんその栄養素の供給が断たれれば、その生物は死に至る筈である。この取り組みで不利な点は、GEOに意図される目的に必要な効果を、この弱質が減少させる可能性があることだ。加えて、この方法による弱体化が最大限に働く環境下では、この生物は自然に存在する生残に必要な養分を充分に得、自立的に生残可能な場合がある。幾らかの土壌バクテリアやヒト病原体など、自然に存在する生物は多い。そういった生物は栄養補給の問題で非常に培養しにくいにもかかわらず生残可能なのである。

もう1つの取り組みは、GEOに自殺遺伝子と呼ばれる遺伝子の配列を組み込むものであろう。その生物の目的が達せられた時に自殺遺伝子を発現させ、生物を死に至らしめるのである。例えば、あるGEOが特定の汚染物質を分解するために遺伝子操作される場合がある。その生物自身に対して毒性を持つ物質をコードする遺伝子と、汚染物質がない場合のみ、発現できるような制御領域を持った遺伝子とを、生物に付加することが可能であろう。汚染物質の濃度が減少すれば、毒性を生み出す遺伝子がGEOを殺す毒素を発現することになる。この発想を基にして様々に変形させた方法が実行可能である。例えば、その生物の生残に不可欠な機能を持った遺伝子を、汚染物質がある場合のみ機能するような制御領域に結合するものである。別の手続きとしては、外部から供給される少量の誘導化合物に反応する毒素を発現する遺伝子の付加があるだろう。

環境中のGEOの生残性を制限するための多くの取り組みは、目下、研究中である。克服すべき難題の中には次のような問題がある。GEOが休眠状態にある場合、誘導物質又は阻害物質にGEOが反応しない可能性がある。更に、自然淘汰の過程で、突然変異体又は弱体化システムを無効にする別の変化をしたものが、優先的に選択される可能性がある。他の可能性としては、弱体化遺伝子がその生物を強化する遺伝子と連携するようになるというものである。このように、特に遺伝子が生物を死なせずに弱体化させる場合は、1個体群全体に、突然その遺伝子が拡がる可能性がある。

6.26 生物、特に微生物に弱体化メカニズムを組み込む方式が研究されているのは、環境における不必要な残留性によって生じるどんなリスクをも極小化するためである。この取り組みについては、上の囲みで述べている。このシステムは、完全に効果があるとは限らない。上の囲みでその理由が説明されているが、意図されたGEOの機能が働くほど生残期間が長くないために、弱体化されたGEOが実用的ではないという状況もあり得る。それでもやはり、放出に関連するリスクを減少させるためには、多くの場合で弱体化が役立つ可能性がある。特に役に立つのは、残留性が重要ではないと思われる研究において、実験的な野外試験を行う時である。

6.27 生物を弱体化させる手法を使用することにより、それがなければ決して利用されないような、環境に有害な可能性があると分かっている生物の利用が奨励されるかもしれない。弱体化する遺伝子又は形質が失われれば、この生物は損害の原因となる可能性がある。このリスクは、精査過程におけるアセスメントの対象となるだろう。そのリスクがあるからといって、この構想が揺るがされるとは考えられない。遺伝子操作微生物が放出案件となる際は、弱体化メカニズムの使用は、必ず考慮されるべきである。

浄化

6.28 放出したGEOの駆除又は残留性制限の見込みについては、信頼性が上がっている。動植物や微生物を扱う病院や封じ込め施設で、多くの除染方式が開発されている。それには、隔離、化学殺菌、熱処理、光処理、加圧蒸気処理、焼却を様々に組み合わせる必要がある。パラグラフ5.42に、自然に存在する有害な生物を、環境から根絶している幾つかの詳細な例がある。

6.29 イギリスその他の地域で行われている遺伝子操作生物の試験放出では、付録5で述べるように、その生物の蔓延防止及び実験完了後の生物の確実な除去の手配を具体化している。農業食糧研究協議会(AFRC)のケンブリッジ植物科学調査研究所(AFRC Institute of Plant Science Research at Cambridge)でのジャガイモの実験(付録5パラグラフ23-34)では、人間の手で花をもぎ、雑草を抜き、ジャガイモを掘り、その後、慎重な処理(表9)を行う必要があった。自然環境調査局(NERC)のウイルス学研究所(NERC Institute of Virology)での芋虫ウイルスを用いた実験(付録5パラグラフ2-17)では、昆虫や動物によってそのウイルスが蔓延するのを防ぐために、実験地域を網で覆い、実験終了時に除染する必要があった(表10)。そのような方式は、制限の多いGEOの野外試験では実用的かもしれないが、より広範な放出には向かない。生物が、広範囲に及ぶ適応できる環境を見つけることになれば、第4章で論じた幾つかの外来種と同様に、実質的に管理不可能であると証明されることもあり得るのだ。従って、浄化及び除染の可能性は常に考慮に入れられるべきだが、やはり、いったん放出した生物、特に微生物の環境からの根絶は完全に可能とは限らない、という仮定に基づいた作業をするのが賢明であろう。

モニタリング

6.30 GEOの放出と同時に発生するモニタリング手続きについては、厳密に行うことの重要性を強調し過ぎてはならない。ここで使用される「モニタリング」という用語は、放出が認可された条項と、放出を統御し安全に実施するためのガイドラインとに、厳密に従って実施されていることをチェックする作業と、放出結果の記録作業との両方の意味で用いられる。どちらの作業においても、慎重な配慮が必要である。

6.31 放出側は、放出委員会によって、放出の実施方法について、実施のための一般的な助言と、その放出に固有な説明との、両方の明確な助言を受けるべきである。放出の実施方法とは、安全確保の手配、モニタリングの手配、浄化の手配、偶発的な事件の扱いの手配などである。こういった手配が遵守されているかどうかについては、必要な訴訟を起こす権限を持つ適正な訓練を受けた監督官によるチェックを受けるべきである(パラグラフ8.21)。

6.32 関連性のある放出の結果に関しては、個別にモニタリングが必要な面が幾つかある。実験的な放出の場合では、放出側は当然、その実験結果の記録に関心を持つことになる。しかし、GEOの放出における放出側の利益は、より大きな公共の利益と比較すれば、相対的に小さい場合がある。最低でも、より多くの知識が得られ、環境におけるGEOの行動に確信が持てるようになるまでは、放出側にモニタリングを実施させるように義務付けるべきだと考えられる。さらに必要と思われるものは、パラグラフ6.39-6.43で論じている、より広範でより一般的なモニタリングである。

6.33 案件についてのアセスメントを行う際、放出委員会は、放出側によって実施されるべきモニタリングの範囲、方式、手配を考慮に入れるべきである。モニタリングの対象には次の内容が含まれるべきである。即ち、放出現場の隣接地域、風下や下流、あるいは現場に出入りできる車両ルート上における以下の項目など。

―― 当GEO及び全ての導入遺伝子の分布、
―― 環境に対する当放出の影響、
―― 全ての生態学的な予想外の出来事。

モニタリングしなければならない環境への諸影響は、ケースによって著しく異なる。しかし一般的には、全ての影響についてのモニタリングが必要であると思われる。即ち、関連のある種に及ぼす影響、放出された生物が害虫や寄生虫あるいは捕食者に及ぼす影響、放出現場の内部又は付近の大気や土壌や水中に及ぼす影響、現場又は付近での放出後の作業に及ぼす影響についてである。

6.34 放出側は、実験終了時にモニタリングの結果を委員会に報告すべきである。また、示唆的な予想外の出来事が起きた場合は、直ちに報告すべきである。実験完了後も、放出の性質に応じた適正な期間中、正規のモニタリングを継続し、合意によって定められた手配により結果報告すべきである。重要なのは、モニタリングの設計仕様を、明白なものに集中するだけではなく、予想されない出来事を捉えるように意図することだ。この種の事柄の全てを確実に捉えるのは不可能であろうから、放出側は過度な条件を強いられるべきではない。しかし、モニタリングの手配を練り上げる際に、ある程度、想像力を働かせることは必要である。

6.35 環境における遺伝子操作生物の生残と分布の追跡手法は、モニタリングの必須要素であり、実験的な放出に加えて、大量販売される産物にとっても重要なものとなる。これに関連して、付録5(パラグラフ20及び21など)で、同定及び追跡が可能な独特な遺伝子の配列の利用について言及している。放出されるGEOには、遺伝子操作を受けた結果、同一生物の同定が出来る生物がある場合がある。しかし、GEOの放出の成り行きが更に解明されるまでは、放出されるGEOの全てに同一生物の同定が出来るマーカー配列を挿入することが望ましいかもしれない(85)。理想を言えば、追加した遺伝物質の環境中での動きが、元のGEOとは関わりなく追跡できるように、マーカーに永続性を持たせ、追加した遺伝物質と関連づけるべきである。これは特に、微生物の場合に重要である。

6.36 1個の同定可能な塩基配列のみから成るマーカーの存在によって、特別に準備された遺伝子プローブを用いて容易くGEOを同定することが出来る。抗生物質耐性マーカーが使用される場合もある。パラグラフ4.11ではこの実施について述べている。パラグラフ5.41で推奨したような、導入遺伝子の遺伝子配列の完全な解析も、GEO同定を促進することになる。

6.37 マーカーが使用されても、放出したGEOの分布と、その中の導入遺伝子の分布とのモニタリングは困難な場合がある。鳥、魚、昆虫など遺伝子操作された小動物については、厳密な封じ込めは条件付けられていないが、逸出(いっしゅつ)や、全ての野生の近縁生物を用いた育種や、遺伝子操作された形質の分布に関して、諸問題が提起される可能性がある。すでに懸念されているのは、望ましくない特性を持った放出である。例えば、養魚場からマスが逃げる場合や、マウスなどの小動物が研究室から姿を消す場合である。巻き貝のような、小さな比較的に動かない無脊椎動物でさえ、点在する池の間の相当な距離を、恐らく他の動物の力を借りて、移動することが出来るのである。より大きな哺乳動物、特に飼いならされている動物ならば、問題はもっと少なくなる筈である。

6.38 花粉、種子、胞子は、広大な範囲を移動できる。トランスジェニック植物の放出の際には、遺伝子が広がるリスクを排除するために、花の咲く部分と実の成る部分とを定期的に取り去っている場合がある(パラグラフ6.29)。微生物の場合も、モニタリングが困難である。例えば、現在、土壌微生物の種の10%未満は、研究室内で培養できないと推定される(8)。また、微生物が死んでいるのか単に休眠状態にあるだけなのかを確定するのが困難な場合もある。更に、自然に存在する微生物の個体数量における変動については、ほとんど知られていない。

6.39 一般的な環境のモニタリングは、特殊な放出のモニタリングとは異なるが、やはり予想外の変化の発見又は試験の役に立つ場合がある。イギリスで実施されているそのようなモニタリングは、すでに相当数に昇る。その作業を行うのは、様々な公共団体はもちろんだが、イギリスには幸運にも、公ではない個人や組織が多くある。長年にわたる生物学的記録の積み重ねは、彼らの熱意と献身によるものである。DDTの環境的影響が発見され、ついにその法規制が導かれたのも、ハヤブサなどの猛禽類の個体数における減少を指摘したアマチュアの鳥類学者たちのおかげである。その減少が猛禽類の卵の殻が薄くなることに起因するという事実と、卵の殻が薄くなることとDDTの使用との相関性とは、博物館所蔵の複数の卵を調査することによって得られた。その博物館の卵自体、大部分が熱心なアマチュアによって調査以前に収集されたものであった(これは最も合理的な活動ではあるが、ちなみに現在なら違法活動となる)。

6.40 イギリス諸島植物学会(Botanical Society of the British Isles)の行った被子植物の初の全国的調査の後、1964年に地球生態学研究所(Institute of Terrestrial Ecology:ITE)で、生物学記録センター(Biological Records Centre:BRC)が設立された。BRCに集まっている動植物の種に関するデータを供給したのは、およそ60の異なる団体であり、その大部分がボランティアで、個人も多かった。その現場記録カードには、種の在・不在が記録されている。最近では、観察記録を行う際、グリッド照合と日付に加えて、天候条件や現場の特性について詳述するように奨励されている。より大規模な植物学会、鳥類学会、昆虫学会からは、1平方kmのグリッドにつき記載のある体系的な調査結果が提示されている。そのデータベースには、現在およそ400万件の記載がある。そのデータは、ある程度、地理的なバイアスにかけられる。その理由は主に、ボランティア関係者が、比較的、国の人口密集地域に集中しているためである。例えば、イングランド南東のデータは、他の地域のデータより多い。BRCのデータは、イギリス国民、研究員が利用でき、種地図と詳細な記録との両方の形で提供される。

6.41 BRCは、全国消費者協議会(NCC)との密接な協同の下、保護する価値のある種について、モニタリングに力を注いでいるが、全般的な自然環境事情にも関心を持っている。猛禽類やサギの中にある農薬残留物が、1963年以来モニターされている。この研究はITEによって行われ、NCCに報告される。BRCとMAFF野生生物事件データベース(MAFF Wildlife Incident Data Base:WIDB)との間に密接な結びつきがあれば有益であろう。WIDBは、報告を受けた事件における野生生物の死亡原因の分析に関わっている。更にMAFFは、害虫や有害な種のモニタリングと同様に、狩猟動物、ミツバチ、家庭用の愛玩動物など、経済的に重要な種のモニタリングに関わっている。

6.42 ボランティア組織や上述した団体での作業上、適切な場所での実施について、モニタリング活動には調整の余地があると考えられる。環境のモニタリングへの体系的な取り組みの進展を図るためには、その目的に相応しい指標生物だと証明される可能性のある、比較的少数の動植物の種だけに、モニタリング対象を絞った方がいいかもしれない。この調整作業の推進及び資金提供には、環境保護のための責務の一部として、環境省(DOE)が先頭に立つべきであると考えられる。

6.43 遺伝子操作生物の放出によって生じる結果を、確実に受容できるようにし、予想するという過程において、環境のモニタリングは不可欠な要素である。モニタリングに関わる困難や費用を軽視することは出来ないが、その重要性は非常に大きい。直ちに明らかな金銭的見返りはないかもしれないが、長い目で見れば、富を有効に使ったということになるだろう。

精査

6.44 遺伝子操作生物の放出に対する懸念と、その高額費用との主な理由は、遺伝子改変が生物に及ぼす影響と、合成されたGEOが、生物、生態系、環境全体に及ぼす影響との不確定性にある。たとえ込み入った新しい諸問題が間違いなく現れることになるとしても、放出を経験することによって、この不確定性は小さくなる。環境保護に関心を持つならば、獲得された経験内容を、放出に関して助言する責任のある人物が、国際的な基準で利用できるようにすることが、最もその意に適うことになる。

6.45 放出の実験から得られたある結果が、商業的に価値がある場合があり、放出側がこの結果を合法的に保護し、それ以上、知られないよう望むことがあり得る。しかし、重要だと思われることは、環境の安全性と関係のある情報は、その内容の性質が、好ましい、好ましくないにかかわらず、放出委員会に伝えられるべきだということである。放出委員会で最初になされるべきことは、情報の種類を、実験終了時に受け付けることにするような情報内容か、あるいは実験中でも受け付けられる情報内容なのか、確定することであると思われる。これは当然、実験のモニタリング要件と密接に関わることになる。

6.46 放出委員会では、放出の結果について得られた情報のレヴューを定期的に実施すべきである。レヴューを実施すれば、全てを教訓とした、新しい放出案件のアセスメントへの確実なフィードバックが促進されることになる。公共の利益を拡大する事項を含むと思われるレヴュー結果の公表については、商業的に注意を要するあらゆる素材を保護する義務を条件として検討されるべきである。

6.47 更に、アセスメントを実施する団体間で行われる国際的な情報交換も、放出案件のアセスメントに役立つ有益な素材を提供する。この問題について、欧州委員会(European Commission)は、加盟国間における定期的な情報交換を提案している。我々はこの決断を支持する。OECDでは、放出に関する国際的なデータベースの開発が提案されている。欧州委員会はこれに協同している。この種の情報が国家の枠を越えて蓄積されれば、放出活動の初期において、あらゆる環境問題と遺伝子操作生物の放出との関連性の調査と、その確定との、両方に測り知れない恩恵がもたらされるだろう。

前へ | 次へ