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IV.重要な安全性要因

すべての特別実験の安全性を決定するうえで重要な要因は:
導入される遺伝子/遺伝物質をはじめ用いる生物の特性
研究場所および周囲の環境の特性
適切な実験条件の使用

生物の特性

 一定の生物は広い範囲の条件下で使用しても低リスクまたは無視できるリスクであると考えられる特性をもっていると考えられる。既知の有害な影響を有する他の生物は、実験の設計が緩和法および/または研究生物またはその遺伝子物質を制限された研究場所に閉じこめることによりこれらの有害な影響が生じる可能性を低減できる状況をもたらすと仮定した場合にフィールド実験を受け入れることができる。しかし緩和法および閉じこめは大多数の微生物を用いる場合よりも植物を用いる場合に容易に達成できることは認識しなければならない。

研究場所の特性

 研究場所は低リスクまたは無視できるリスクのフィールド試験を設計するため、および研究の目的に適合するように選択するべきである。「場所」という用語は適切な研究プロットおよび周囲の環境の適切な部分を含むものである。
 研究の安全性は、適切な研究につき広範囲にわたる歴史が存在し、播種および確立がその場所を超えては認められない場所と同等の場所を選ぶことにより増強することができる。
 研究の小規模の段階においては、影響を受ける環境は一般的に他の段階よりも局所的であるので、研究者は以下のような例を特定することにより安全面から最も適切な研究場所を選択できることが望ましい。

重要な生態的な考慮および/または特別の地勢的な場所における安全性に関連する環境的考慮(例えば高潮、激しい土砂流出)
気候条件
サイズ、例えば物理的な面積
影響を受ける特別の生物相への近接に関する適当な地勢的位置

実験条件

 科学的に受け入れられ、環境的に健全なフィールド研究には、仮定の設定や目的についての言明;生物導入のための特別な方法論の開発、モニターおよび緩和;植栽の密度と処理パターンなど実験設計の正確な説明;収集する特別データの説明;統計的有意検定の分析法などの慎重な実験的な設計が必要である。
 低リスクまたは無視できるリスクの小規模フィールド研究の設計には以下を含む:影響を受ける特別の生物相への近接に関して適当な地勢的位置を選択する;例えば大きさと設備、気候的な特性などの研究場所の特徴化;申請の質および頻度を含む導入プロトコルの設計;場所の準備および栽培の選択法;閉じこめ、汚染除去、モニターおよび緩和の選択法;研究に適用できる処理の設計;実験を早期終了させる必要がある場合の適切な安全性、適用および偶発事故計画の処理手順の開発
 特別の生物または特質について考える場合、あるいは水性環境などの特別な環境に対しては追加的条件が必要と考えられる。
 これらのフィールド実験を設計し実施する研究者は、植物および微生物を用いた小規模フィールド研究を実施するためのプロトコルおよび実践コードを開発するに際して以下の事項を慎重に考慮するべきである。

  1. 改変生物の数を実験に適する最小の実際的なレベルに維持する。
  2. 試験場所を越えた分散および確立を制限する措置をとり、適当な場合にはこれらの措置を補完する。
  3. 実験中も終了後も、実験場所内の生物を適切にモニターする。実験中、実験終了時、実験後に、適当かつ必要な場合は意図しない有害な環境的効果を避けるために、あらゆる制御または緩和措置をとる準備をしておく。
  4. 当初の研究場所の外部で確立された生物の存在につき、適当な場合には転移された遺伝子情報の存在につき試験する。
  5. 当初の研究場所の外部で環境的に有害な影響を避けるために、適当かつ必要な場合は、制御または緩和措置をとる。
  6. 実験の終了および廃棄物処分の手順を開発する。
  7. 研究に関係するすべての人々のために適切な保護手段/教育、研修を提供する。
  8. 結果に関する記録を維持して、その試験を実施する。

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