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第二部
優良開発原則(GDP)遺伝子改変植物および微生物を用いた小規模フィールド研究の設計ガイダンス

背  景

 1986年OECD報告組み換えDNA安全性検討は「環境または農業的応用における生物の潜在的なリスクの評価は産業的な適用の潜在的リスクの評価よりも開発が遅れている」という結論に達した。同検討では「rDNA生物の評価の方法は一般に農業および環境において伝統的に改変された生物を広範囲に使用することから得られた現在存在するデータベースの類似性によってアプローチすることができる」とまで言われている。1986年報告はまた「研究過程および開発過程の間のステップバイステップで評価するためには、rDNA生物を適用することが環境へ与える潜在的リスクは最小限にするべきである」ことを示した。
 この領域における推奨事項は「生きた生物の環境的影響およびヒトの健康への影響に関する相当のデータが存在しており、リスク評価の指針として用いるべきである」と注意している。そしてまたrDNA生物を適用した結果の予言、評価、およびモニターを改良する研究を奨励するべきであると特に言及している。このような応用の規範となる一般的、国際的ガイドラインの開発は1986年に未だ「時期尚早である」と判断された。「潜在的なリスクの再検討は適用する前にケースバイケースで実施するべきである。ケースバイケースとは特別な提案に関連する評価基準を個々に検討することであるが、多様なクラスの提案が排除されると考えられるので、あらゆるケースが国内当局またはその他による検討が必要であることを示唆しようとするものではない」ということが推奨された。
 1988年4月、バイオテクノロジーの安全性に関するOECDの全国専門家グループが1986年報告に対する追跡調査プログラムの必要性を考察するために会議を行った。グループはプログラムの一部は低リスクまたは無視できるリスクの小規模フィールド研究の安全性評価に対する包括的なアプローチを特定する一般原則を開発するべきであると決定した。原則は--優良開発原則(GDP)という名称を付けられた--開発されることになったが、一方、各国は1986年報告に定義された一般的なケースバイケースのアプローチを使い続けた。
 同会議ではGDPは農業的試験および他の型の環境的な試験のいづれに対しても十分に適用するべきであり、そして単一の文書にこうした種類の応用に対する原則を適切に規定することは可能であるという合意があった。

 主題の重要性と複雑性、その広範囲な関心を前提として、この部分の初期バージョンは1990年3月に議論や公的なコメントができるようになった。
 現在のバージョンは環境主義者、産業界、労組、公衆、および一般の政策決定者などからの意見を検討し評価した結果得られたものである。

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