1986年に公表されたOECD報告書、遺伝子改変DNA安全性検討は、産業製品に用いられる本質的に低リスクrDNA生物に適用される「優良工業製造規範(GILSP)」と呼ばれる概念を詳細に論じた。この概念はGILSP資格を与えられるためにrDNA生物が満たさなければならない一定の基準を網羅するものであり、rDNA GILSP生物は宿主株に用いられる最小限の制御および閉じこめ手順と同じ状態下で、大規模に取り扱うことができると規定されている。GILSPの主要な原理は、rDNA生物は派生する前の低リスク生物と同じ程度に安全であるべきであるということである。
GILSP概念の使用あるいはその基礎をなす原理についてOECD諸国において1988年に実施された内部調査によると、同概念は多くの国において国内的なガイドラインとして採用され、また国によっては実施につき現在考慮していることが明らかになった。さらにいくつかの国では、ある限られた範囲の極めて多くのrDNA微生物にrDNA細胞培養と同様にGILSP資格が割り当てられていた。
調査により以下のことが確立された。 | |
− | 現在世界中に多くのGILSP微生物の例がある。 |
− | 実践において取り上げられている範囲で、概念に若干の変動があると考えられる。 |
− | 概念を適用できる方法をよく理解し、特にGILSP基準をさらに詳細に理解することが一般的に必要性である。 |
第一部ではさらに、1986年報告において特定された優良工業製造規範(GILSP)に対するさらなる基準および原則を開発した。それはGILSP生物の使用に関する現在の知識および経験に基づいたもので調査を考慮に入れ、一部、加盟国が提出した特別の場合にGILSP基準を適用することを説明した25例の分析を参考にしている。このGILSP改訂の一部として、1986年報告において元々規定されていた「優良職業安全および保健基本原則」はさらに詳細に規定され「優良職業環境安全および保健基本原則」という表題がつけられた。
第一部において提示された材料はGILSP基準を満たす低リスク生物を特定し、GILSP原則と矛盾しない適切な規範を選択するために加盟国を支援することを意図している。GILSP概念とその基礎をなす原則の種々の応用で知識と経験が増えることはこれらの安全性基準の進化を続けることができることが予測される。現在までの情報は広範囲の生物が、大規模、低リスクで安全に成長していることが証明されている。GILSP基準下で資格を有しない低リスク生物は第1節で詳細に説明した考察に基づいて同じ条件下で扱うように指定されていると考えられる。