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 バイオテクノロジーにおける安全性の問題は多年にわたり科学技術政策委員会の優先度の高い懸案であった。
 1983年、本委員会は産業、農業、および環境にrDNA生物を使用することの安全性を検討するために全国専門家グループを創設した。その結果、1986年に「組み換えDNA安全性についての検討」という表題の報告で一般ガイドラインが発表された。1988年、OECD科学技術および産業理事会は環境理事会の協力を得て、同報告の追跡調査プログラムに取りかかった。全国専門家グループの主要なタスクは1986年報告で提示された安全性検討を更新し、さらに発展させることであった。本報告は全国専門家グループが指令書において優先的に注目した二つの領域、すなわち安全な大規模の産業生産および小規模のバイオテクノロジーの実験的フィールド研究の一般的原則と基準を詳しく説明するものである。

報告は二部からなる。
第一部では産業生産における低リスクrDNA生物の取扱いにつき1986年報告において特定された優良工業製造規範基準をさらに開発し基本的原則を再検討する。
第二部は低リスクまたは無視できる(小規模)リスクの遺伝子改変された植物および微生物を用いたフィールド研究の設計に関する指針である。同指針はそのような研究に一般的な原則、すなわち試験所リリースから生産リリースまでの試験に連続的に適用できる「優良開発原則」(GDP)を導入する。その連続性は28頁に多段階(第1段階、第2段階、第3段階)で図式的に示した。一般的にはそれぞれの段階は図に示したように数回行われると考えられるが、ある状況においては満足すべき結果が一回の段階で得ることができることが認識された。したがって場合によっては、現在の経験および適切な知識に照らし合わせて第1段階から第3段階まで一歩一歩進んでいく形で前に進む必要はないと考えられることを理解するべきである。

 本報告に示した科学的な原則は、バイオテクノロジーの安全な使用についての科学的な基礎に関するコンセンサスの策定--1986年に開始された--過程を円滑にするものである。全国専門家グループは指令書に含まれるその他の問題を継続して検討しているが、--その中でバイオテクノロジーが研究および食品の安全に適用されている--ますます増加する産業的な応用および実験的フィールド研究につき時宜を得たガイダンスを加盟国に提供するために、本報告は遅滞なく公表すべきであることが合意された。

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