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第1項 概論

 本文書は、バイオテクノロジーにおける規制監視の調和に関する専門家グループの支援によってタスクグループにより作成されたものであり、規制担当官、バイオテクノロジーによって生産される新製品の開発者などの関係者に情報を提供する際に使用される一連の文書の1つとして意図された。
 本文書は、植物種をウイルス耐性にするウイルスのコートタンパク質遺伝子の使用に関連する全ての科学実験を決定的にあるいは広域に精査することを意図としておらず、また、どのようにしてそのような植物の農場試験、規制緩和、商業化のための要求を見直すべきかをいかなる国の規制当局に対して指令することも意図していない。(ウイルス耐性トランスジェニック植物に関する他の情報については、Hull(1990年、1994年)、de Zoeten(1991年)、ManskyおよびHill(1993年)、FalkおよびBruening(1994年)、Palukaitis(1991年)、Tepfer(1993年、1995年)、Wilson(1993年)を参照。)本文書は、むしろ、コートタンパク質遺伝子介在の保護によりウイルス耐性をもつ作物に関連した特定の問題を有する加盟国における経験の現状を述べることを試みている。本文書は、科学文献だけでなく加盟国のリスクアセスメントならびに国内会議および科学会議の報告を含む広範囲の情報源を引用している。現在の「科学技術水準」を獲得する努力で、未だ科学界により十分かつ慎重な評価を得ていない予備的な情報も含まれている。そのような情報の箇所には「予備」と示されている。
 本文書で論じられる問題は、規制担当官がコートタンパク質遺伝子介在の保護によりウイルス耐性となった作物に関連して考慮する諸問題の集積である。その焦点は、生物が導入される特定の環境と関係なく議論される問題に限定される。従って、ウイルス耐性植物の栽培、ウイルス耐性植物から他の作物あるいは野生同類植物への遺伝子転移の可能性あるいは可能性のある効果に関連するいかなる問題も、本文書の範囲外である。これらは、どの国でも規制当局による規制上の審議に含まれるであろう有効な考察ではある。本文書は、加盟国における可能性のある農業経済学上への影響も、そのような作物の国際的な市場性に関連する他の問題も取扱っていない。
 本文書は、その代わりに、そのような遺伝子組換え植物の数種の天然ウイルス群に対する、あるいはウイルス感染の強さに対する効果の可能性に焦点を合わせている。特に、専門家グループは、ウイルス耐性を与えるためにウイルスコートタンパク質を暗号化するある特定のウイルス遺伝子の使用に関連するとして、本文書で考慮されるべき3つの問題を確認した。これらの問題のうちの2つは、トランスカプシデーションおよび遺伝子組換えで、新しいウイルス型を生じさせるものとして知られている分子メカニズムである。3つめの問題は、他のウイルスによる感染に対し特定の導入されたウイルス遺伝子が示す特定の相乗効果の可能性である。これらは、時に少なくとも4種の異なる生物、すなわち、2種のウイルス、1種のウイルスベクター、1つの宿主植物種を含む生物学的に複雑な現象である。これらの現象は、全てのウイルスについて完全に、また詳細には理解されておらず、あまりよく理解されていない面を究めるための多くの研究が加盟国において進められている。いくつかの例において、本文書における議論は、大抵の情報が知られている、あるいはリスクの問題が最も明確に確認されうる植物性ウイルスの特定の分類群に集中している。
 本文書は、CP遺伝子によって媒介されるウイルス耐性作物に関連している植物のウイルス群およびウイルス性疾病に影響を及ぼす3つの確認された分子メカニズムを考慮するうえで生じたバイオセイフティの問題の扱いに関連した要因についての加盟国の見解の一致点を述べている。これらの問題に関する現在の科学情報は、問題に特定の科学的に根拠のあるリスクアセスメントおよびこれまで開発された種のバイオセイフティ評価を管理するには充分であろう。このことは、そのような精査をした後、各国の行政当局および規制担当官が特定の種の解除および商業化の権限を与えることを可能とする。本文書は、そのような考察結果に関する詳細で決定的な一般的結論を提供することも、各国に対してどのようにしてそのような審査が完結するのかを助言することも企てるものではない。加盟国は、そのような審査がケースバイケースの原則に基づいて行われることに同意している。ある種の問題についての特定の評価の結果は、個々のウイルス耐性作物に関連しているので、例証の目的で記述されている。

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