実施基準フローチャートの概略
I. 遺伝子改変魚類および貝類を使用した研究を安全に実行するための実施基準の適用性
本基準は、予防原則に基づいている。本基準の質問に対する回答が不明である場合には、使用者は、適切なリスク管理を判断する上で役に立つさらなる質問へと進むよう指示される。
II.A 生存および再生産の審査 − 意図的な遺伝子改変
注1:直接的なアクセスは、自然の水系および、船舶用運河や水系間の水移送(例、灌漑、水道水供給など)を含む人工的な物理的経路を通じて起こりうる。補遺A、表2を参照。 |
注2:これらの経路の全リストは、補遺A、表2を参照。 |
II.A.1 意図的な遺伝子改変の影響
(**もし、「はい」の場合、ひとつのオプションは、研究区画を保護生物種が存在しない場所に移動することである。ただし、このことを考慮する場合には、本基準の他の項目について対応しなければならない。区画移動に伴って起こりうる影響を探るためには、ここでは「いいえ」と答え、続行すること。)
II.B 生存および再生産の審査 − 意図的な染色体操作
注1:直接的なアクセスは、自然の水系および、船舶用運河や水系間の水移送(例、灌漑、水道水供給など)を含む人工的な物理的経路を通じて起こりうる。補遺A、表2を参照。 |
注2:これらの経路の全リストは、補遺A、表2を参照。 |
II.B.1 意図的な染色体操作の影響
II.C 生存および再生産の審査 − 種間交雑
注1:直接的なアクセスは、自然の水系および、船舶用運河や水系間の水移送(例、灌漑、水道水供給など)を含む人工的な物理的経路を通じて起こりうる。補遺A、表2を参照。 |
注2:これらの経路の全リストは、補遺A、表2を参照。 |
II.C.1 種間交雑の影響
III. 自然再生産との干渉の可能性
IV.A 生態系への影響 − 意図的な遺伝子改変
IV.A.1 生態系への影響 − 改変遺伝子の遺伝子移入の影響
IV.B 利用可能な生態系に関連した障壁の可能性
II.B.1 生態系への影響 − 再生産以外の相互作用の可能性
IV.C 生態系への影響 − 再生産への干渉の影響
V. 生態系の構造および過程に対する影響
VI.A リスク管理 − 特定リスク
管理するよう指示された特定リスクを下記のリストから選択すること。 |
*事故による脱走: |
保護個体群に対するリスクの管理 II.A.1から
事故による脱走なし/無視できるレベル
保護個体群には、準絶滅危惧種、絶滅危惧種、危惧種が含まれている。リスクは、この個体群での遺伝子流動、再生産への干渉、移入交雑である。
純粋生物種の個体群損失に対するリスクの管理 II.C.1から
事故による脱走なし/無視できるレベル
これらのGMOは、不稔性ではなく、親/近親生物種が存在するが、これらはいずれも保護生物種ではない。懸念事項は、親あるいは近親生物種が種間交雑によって遺伝子移入し、それゆえこれらがもはや独特の生物種を構成しなくなるため、影響を受けた生物種の遺伝的多様性の進化的に重要な構成部分が損失するリスクである。
個体群数度での減少に対するリスクの管理 IV.A.1あるいはIV.Cから
受容できる数は、影響を受けた個体群の数度が適応度の低下、遺伝子移入した後代(IV.A.1)、あるいは再生産への干渉(IV.C)の結果から低下することに対し、これを避けることができる数より事故による脱走数が確実に低いものである。
IV.A.1から:これらのGMOは、不稔性ではなく同一生物種/近親生物種が存在するが、これらはいずれも保護生物種ではない。
IV.Cから:これらのGMOは、不稔性で染色体あるいはその他の遺伝子改変を保有するか、稔性/不稔性の四倍体か、不稔性の種間雑種である。
生態系の過程の変更に対するリスクの管理 Vから
事故による脱走なし/無視できるレベル
これらのGMOは、利用可能な生態系で再生産が可能であり、不稔性ではなく、同一生物種あるいは近親種が存在しない。生態系の過程での有害な変更のリスクが存在する。
事故による脱走数が自分の研究プロジェクトにおける受容できる数よりも確実に少なくなるようにするため、下記にリストされたカテゴリから適切な障壁を選択すること。プロジェクトの立地および障壁のデザインの詳細については、リスク管理推奨事項の文章を参照すること。 |
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VI.B リスク管理 − 情報の不足
本基準の予防的なアプローチにより、リスクを評価する情報が欠乏している場合には、リスク管理の目標は、事故によるGMOの脱走が無い/無視できるレベルでなければならないことが要求されている。 |
*事故による脱走: |
II.A.1での情報不足
事故による脱走なし/無視できるレベル
これらのGMOの遺伝子改変による表現型に対する影響は不明である。さらなるリスク管理は不可能である。
IV.AあるいはIV.A.1での情報不足
事故による脱走なし/無視できるレベル
これらのGMOは不稔性ではない。同一生物種あるいは近親種が利用可能な生態系に存在するが、これらはいずれも保護生物種ではない。GMOの全体的な表現型に対する精通度が不足し、再生産の可能性および適応度が不明であるため、利用可能な生態系の構造あるいは過程に対してこれらがもつ影響を判断することができない。
IV.B.1での情報不足
事故による脱走なし/無視できるレベル
これらのGMOは不稔性ではなく、同一生物種あるいは近親種が利用可能な生態系に存在しない。利用可能な生態系において、これらの再生産に対する障壁の存在は知られていない。GMOの全体的な表現型に対する精通度が不足し、再生産の可能性および適応度が不明であるため、利用可能な生態系の構造あるいは過程に対してこれらがもつ影響を判断することができない。
IV.Cでの情報不足
事故による脱走なし/無視できるレベル
これらのGMOは、染色体あるいはその他の遺伝子改変を有する不稔性であるか、不稔性の種間雑種、あるいは四倍体である。同一生物種あるいは近親種が利用可能な生態系に存在するが、これらはいずれも保護生物種ではない。
影響を受ける個体群に対する再生産での干渉の影響を審査する、あるいは密度依存性因子と再生産への干渉の組み合わせによる結果を審査するには情報が不足している。
事故による脱走GMOが無い/無視できるレベルに確実になるよう、下記にリストされたカテゴリから、自分の研究プロジェクトに適切な障壁を選択すること。プロジェクトの立地および障壁のデザインの詳細については、リスク管理推奨事項の文章を参照すること。 |
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表1 遺伝子改変された魚類、甲殻類、軟体動物においてありうる表現型変化のクラスおよび例
クラス |
表現型変化の例 |
生態系への影響 |
代謝 |
- 成長率 |
- 被捕食者サイズの移行 |
物理的因子への耐性 |
- 温度 |
- 好む居住場所の移行 |
行動 |
- 再生産 |
- 生活史パターンの変化 |
資源あるいは物質の利用 |
- 食物利用 |
- 生態系的限界からの開放 |
個体群調節因子 |
- 新規の疾患耐性 |
- 個体群および群落の動態の変化 |
再生産 |
- 様式 |
- 個体群および群落の動態の変化 |
形態学 |
- 形および大きさ |
- 種間相互作用の変化 |
生活史 |
- 胚および仔魚の成育 |
- 生活史パターンの変化 |