塩素は、水および廃棄水の処理で最も頻繁に使用される消毒剤である。淡水に塩素を添加した場合、塩酸および次亜塩素酸が形成される。
Cl2 + H2O = 2H+ + Cl- + OCl-
純粋な淡水では、主要な消毒および漂白物質は、次亜塩素酸(HOCl)あるいはそのイオンである次亜塩素酸塩(OCl-)である。海水では、次亜塩素酸は天然に発生する臭素イオンと反応し、次亜臭素酸(HOBr)を産生する。次に、淡水あるいは海水中のアンモニアが、次亜塩素酸あるいは次亜臭素酸と反応し、クロラミンもしくはブロマミン(例、モノクロラミン(NH2Cl)あるいはモノブロマミン(NH2Br))を生成する。これらのすべてのハロゲン化合物は、混合物の消毒および漂白特性に寄与する。
海水あるいは容器の消毒をする際のOCl源としては、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の5.25%溶液であるCloroxが使用される。Cloroxは、簡単に手に入り、他の次亜塩素酸源と比較して取り扱いがより安全である。
自然海水は、大型生物および破片を除去するために、フィルター(バッグ、カートリッジ、砂フィルター)を通過させることができる。その後、Cloroxを必要に応じ、使用前および使用後の海水を消毒するために加える。海水は消毒を確実にするため、少なくとも4時間は安置する。塩素は、海洋生物の胚および幼生にとって毒性を持つため、この海水を脱塩素する必要がある。脱塩素するためには、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)の結晶を淡水の湯で溶解し、塩素化された海水に加える。混合が確実に均一となり、それにより適切な脱塩素が行われるよう、海水は曝気しなければならない。水泳プールの検査で使用されるタイプの塩素検査キットが、すべての塩素を除去したことの検証に適している。
表C1 海水および汽水の消毒で使用されるCloroxおよびチオ硫酸の量:種々のタンク容量における例
容器 |
容量 |
容量 |
Clorox |
チオ硫酸ナトリウム |
大型ガラス瓶 |
5 |
19 |
5 |
0.2 |
ゴミ箱 |
40 |
113 |
20 |
0.5 |
タンク |
100 |
380 |
67 |
1.7 |
タンク |
400 |
1514 |
150 |
5.0 |
タンク |
1000 |
3785 |
350 |
12.0 |
* チオ硫酸ナトリウムは、Clorox添加から4時間後までは加えないこと。