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第5章
遺伝子組換え根粒菌・菌根菌の環境放出

ジェフリー・ホール
国際菌類学研究所(英国・サリー州エガム)


はじめに

 分子レベルでの強力なDNA操作法の登場によって、自然の交雑では生じない遺伝子型を持つ微生物を、かつてない精度で作出することが可能になった。こうした新しい遺伝子の組み合わせを作ることによって、既存プロセスの中での微生物の活性を高め、新たな機能を導入することができる。本章では、根粒菌と菌根菌の遺伝子操作、農業生態系におけるその利用、その結果生じる有害性やリスク、メリットに焦点を絞って論ずる。この新たに登場した技術に関して通常表明される国民の関心に応え、不安を和らげるための安全な作業手順の開発も含まれる。

なぜ微生物を遺伝的に改変するのか

 微生物は、農業分野でさまざまな有益な利用が行われてきており、何十年もの間、安全に利用され、人類に多大な恩恵をもたらしてきた。多くの場合、こうした利用は、古典的な手法(自然の突然変異や組換えなど)あるいは分子的手法(部位特異的な変異誘発、DNAクローニング、細胞融合など)を用いて遺伝的に改変された微生物を用いることによって、より効率的に行うことが可能である。分子的手法には、古典的な手法に対して優れている点が2つある。第1に、分子的手法の多くは精度が高く、充分に性質の明らかな改変体を作ることや、場合によっては、DNAのヌクレオチド配列中にある特定塩基の変更を確かめることが可能である。求められる遺伝子型の構築やキャラクタリゼーション(性質決定)の精度が高いため、科学者たちは遺伝子組換え微生物(GEM)の安全性をより的確に判断できる。第2に、分子的手法を使うことによって、古典的な手法では得ることのできない新たな組み合わせを作ることができ、科学者たちは遺伝子交換に対する自然のバリアを飛び越えることが可能になる。しかし、新たな組み合わせの生物学的な影響はわかっていないため、GEMを環境中に放出しようとする際には、事前に個々の遺伝子の組み合わせが持つリスクやGEMに関連する有害性を評価する必要がある。天然の微生物の農業目的での環境への導入には長い歴史があり、リスク評価のもとにできる膨大なデータが得られている。ある種の微生物については、それらの群集内や生態系内での役割が正確にはわかっていなくても、安全に利用できることが明らかだが、よく知られていない微生物が使われている場合、潜在リスクのすべてを評価するのは困難である。

農業における根粒菌と菌根菌の利用

窒素固定

 リゾビウム(Rhizobium)属やブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)属の細菌がマメ科の植物と共生関係を作り、その根に根粒を形成することは、古くから知られている。これらの細菌は大気中の窒素を植物が生育に利用できる形で固定し、植物の収量を増加させる。このため、窒素固定細菌の遺伝的な改良は、大きな関心を集めてきた(Schmidt & Robert, 1985)。実際に、米国では1983年から1989年の間に、R. melilotiに関する申請が規制当局に20件提出されており、この期間のすべての微生物放出に関する申請の55%を占めている(Levin & Strauss, 1991)。
 根粒菌は、土壌微生物叢の一部としてもともと存在しているもので、植物の根と共生する前は単独で生育している。しかし、これらの大部分は活動しておらず、貧栄養環境ではなんとか生き延びているに過ぎず、他の土壌微生物の捕食対象になっている。根粒は、微生物の生育や生残を向上させる保護環境を提供し、植物の死後は、根粒が崩壊すると同時に根粒菌は土に戻る。
 しかし、土壌によっては根粒菌の自然個体群が少なかったり、含まれている根粒菌が導入した作物に根粒をつくらない場合(オーストラリアに導入されたマメ科の牧草など)がある。天然の根粒菌の数を増やしたり、土壌に直接添加して現在いる種の構成を変えることは現実的でなく、種まきの時期に、牧草(アルファルファ、クローバー、ウマゴヤシなど)やマメ類(インゲン、エンドウ、ダイズ)の種子に適当な根粒菌を含む接種材料を接種する。接種菌として用いる新たな根粒菌は、複雑で動的な土壌生態系の中でうまく機能して、競合に打ち勝つ必要があり、米国や東欧では、非土着のマメ科植物と非土着の根粒菌(たとえばダイズとブラディリゾビウム属の一種など)の導入後に生産性が大幅に向上している。
 マメ科植物の最適な生育に必要な窒素を供給する上でもっとも経済的な方法は、窒素固定性を向上させた根粒菌の株を選んで接種することである(Ham et al., 1971)。根粒菌の窒素固定効率は宿主植物によって大きく異なり(Batzli et al., 1992)、菌株を改良する際にはこの遺伝的多様性が利用されている。選択した根粒菌株を用いて共生を高める試みが数多くなされてきたが、適した接種菌を調製する際に主な問題となるのが、土壌中の土着株との競合である。土着の株と競合できるものを選択して、圃場のマメ科植物根粒の大多数を占めるようにする必要がある。競合的根粒形成に影響を及ぼす根粒菌の遺伝子や表現型が特定されており、たとえばブラディリゾビウム属ダイズ根粒菌では血清型が競合性に関係している(Robert & Schmidt, 1985)。

リン酸塩と微量栄養素の獲得

 菌根共生は、担子菌類、接合菌類、子嚢菌類に属する菌類と、すべての草本・木本植物の約85%の根との間に形成され(Harley, 1989)、この中には温帯の国々や熱帯地方における経済的に重要な作物がほぼすべて含まれる。菌根菌は、リン酸塩や他の微量栄養素(主に銅、亜鉛、マンガン)の濃度と植物への輸送にかかわりを持ち、代わりに植物から炭水化物を得る。このため、低リン酸土壌や貧栄養土壌に生育する植物に見出されることが多い。つまり、菌根菌は、農業生態系、園芸生態系および自然生態系における植物の生育、生産性、定着を向上させる大きな可能性を秘めており、特に生産性が極端に低い土地では、土壌の安定や侵食防止の役割も担っている。しかし、植物の生育向上は、菌根を形成する種のすべてに見られるわけではない。土壌の肥沃度やpH、乾燥度に応じて生育を促進させる力は、それぞれの種によって大幅に異なる(Bethlenfalvay, 1992a)。高濃度の重金属やアルミニウム、塩類に適応する生態型も特定されている。
 担子菌類と子嚢菌類に属する菌類は、低・高木の根と2種類の菌根を形成するのが一般的である。第1のタイプは外生菌根といい、菌糸は根の表面および外皮層の細胞の間で成長し、周辺の土壌や落葉落枝層にたくさんの分枝を出して網目状に広がる。環境条件や物理的な条件が適当だと、菌糸は、地上(キノコや毒キノコなど)や地下(トリュフなど)に子実体(有性胞子を生じる構造体)を形成する。これらの菌類では無性生殖による胞子の形成はほとんど起こらないが、菌糸、菌糸束、菌核などの栄養体を形成するものもある。外生菌根は温帯林や北方林に特徴的なもののひとつで、5,000種以上が記録されている。外生菌根菌は宿主特異性があまり高くなく、また、菌根を形成する菌類における緑色植物の選択性もあまり高くない(Harley, 1989)。このため、各樹種が、いくつかの異なる菌根菌種の1つに感染するのが一般的である。
 リゾクトニア(Rhizoctonia)属の担子菌には、ラン実生根の皮層組織の内部に菌糸が侵入して共生する(内生菌根という)ものがある。この共生では相手の菌が優勢になって実生根を破壊してしまうことがあるため、実生根にとっては危険な関係である。しかし、この共生は初期の生育や植物の定着に不可欠で、植物が成熟すると相手の菌は姿を消す。内生菌根はまた、多くの熱帯樹種と担子菌の間にも形成され、多くの樹種が最大で30種の菌根を持っている。
 接合菌類の大部分は、草本・木本植物と共生を形成して菌糸がその根の皮層細胞の間で生育し、嚢状体と呼ばれる大きな袋状の器官や、根の細胞を貫通する樹枝状体と呼ばれる枝状の養分授受器官を形成する。この共生は「嚢状体−樹枝状体(VA)」菌根(VAM菌)と呼ばれ、根への感染の種類としては、きわめて一般的で広範に生じる。VAM菌は、有性生殖することはほとんどなく、厚壁胞子と呼ばれる休眠胞子だけが作られるのが普通である。また、根粒着生・窒素固定マメ科植物と共生を形成する種類としてもごく一般的な菌根菌である(Barea et al., 1992)。土壌は一般に数種類のVAM菌を含んでおり、それらの菌すべてがほとんどの作物の根にコロニーを形成することができるが、宿主や土壌に対する菌株依存性の反応があることから、栄養を最大限に獲得するためには植物と土壌の接点で菌類の連携が必要なことが示唆される(Bethlenfalvay, 1992b)。
 セイヨウショウロ(Tuber)(Fontana, 1977; Mischiati & Fontana, 1993)、コツブタケ(Pisolithus)、キツネタケ(Laccaria)、ワカフサタケ(Hebeloma)、ヌメリイグチ(Suillus)、ニセショウロ(Scleroderma)、イボタケ(Thelephora)、ヒダハタケ(Paxillus)(Jeffries & Dodd, 1991)など、いくつかの属の内生菌根菌が実験室の人工培地上で培養されて接種菌の調製に役立っており、また遺伝子操作も可能だと思われる。
 こうした多くのメリットがあり、評価や操作のためにさまざまな手法が利用できるにもかかわらず(Hayman, 1984)、いくつかの理由でVAM菌が作物生産で広く利用されるには至っていない。
 VAMの分離株は、さまざまな宿主反応を誘発することが考えられるため、現在存在する多くの個体群からもっとも適切な接種菌を選択するのは難しい(Bethlenfalvay, 1992a)。接種菌の調製が難しくコストが高いことや、利用技術がほとんど発展していないことが、この問題を悪化させている。VAM菌はすべて絶対共生菌であるため、純粋培養がきわめて難しい。宿主植物の根または生体の根組織を使った対峙培養(通常は固形培地または液体培地上で行う)による菌株の作出が可能で、これから接種菌を調製することができる(Sylvia & Jarstfer, 1992)。菌根菌の多量の純粋培養はまだできないが、Gigaspora magaritaeが2% CO2とフラボノイドを含む培地中で生育している(Bécard et al., 1992)。こうした手法の開発や改良によって、純粋培養での収量の向上が期待される。

土壌再生

 先進国では、農業研究の重点が作物生産第一主義から離れ、農業の実施による温帯生態系、熱帯生態系両方の環境への影響に注意が向けられている。世界の乾燥地帯、半乾燥地帯および亜湿潤地帯では、過放牧や森林伐採、無秩序な開墾が原因となって土壌浸食が起こり、多くの地域で砂漠化につながっている。水や栄養分(窒素やリン)が豊富でないこうした生態系の植生回復は、マメ科の木本を用いて始めることが可能である。マメ科の植物は、ストレス条件下での植物の生育を助ける根粒菌や菌根菌と共生関係を作る。地中海沿岸の砂漠化した生態系では、特定のVAM菌や根粒菌を接種した土着のマメ科植物を用いて、砂漠化した生態系を修復しようという試みによって、発芽実績や植物の定着の向上、生物体量の増加がみられた(Herrera et al., 1993)。こうした共生は、やせた土地(Skujins & Allen, 1986; Allen, 1989; Morgan et al., 1990)、リン酸汚染された土壌(Sylvia, 1990)、温帯生態系(Perry et al., 1987)と熱帯生態系での森林再生にも活用されている。

遺伝子改変の手法

 通常、遺伝子の改変では、コード遺伝子の不活性化型変異やこうした因子をコードするDNA領域を削除することによってある形質を取り除く場合と、染色体や内在するプラスミドに遺伝子を挿入したり、ある形質をコードする新たなプラスミドを導入することによって新しい形質を付け加える場合がある。プラスミドは環状の二重鎖で、細菌に広く分布するDNA分子を自律的に複製する。プラスミドは、細胞の成長や生存といった基本的な側面に不可欠な遺伝的性質(表現型)はコードしていないことが多いため、細胞にとっては無くても困らないものである。
 リゾビウムの遺伝物質は、静止した1本の染色体と分子量が大きく(102〜103キロ塩基対)、接合によって交換可能な複数のプラスミドからなる。リゾビウムでは、ニトロゲナーゼの構造遺伝子、根粒形成遺伝子、宿主特異的な決定因子の構成要素が、共生(sym)プラスミドと呼ばれる1個の大型のプラスミド上にある。このほかに、根粒形成や窒素固定にかかわる遺伝子が、染色体や他のプラスミドで見出されている。遺伝子改変のほとんどは、こうしたプラスミド(ほとんどがsymプラスミド)に外来遺伝子を付け加えたり、もとの遺伝子を取り除いたりするものである。
 外生菌根菌の改変は形質転換によって行われてきたが、このプロセスでは、菌糸体と溶菌酵素をソルビトールや塩化カリウムといった浸透圧安定剤の存在下で培養することによってプロトプラスト(細胞壁を除いた原形質体)が作られる。そして、外来遺伝子(そのままの遺伝子)を含むプラスミドが加えられ、ポリエチレングリコールと塩化カルシウムの存在下で菌のゲノムに組み込まれる。形質転換されたプロトプラストは選択培地に広げられ、形質転換体はそこで細胞壁を再生し、菌糸を伸ばす。これまでに、VAM菌や内生菌根菌の遺伝子改変の試みは行われていない。

遺伝子組換え根粒菌と菌根菌

 遺伝子操作によって窒素固定能を向上させた根粒菌の導入は、将来の農業需要に応えるものとして重要になる。化学合成された窒素肥料の投入とそれへの依存が大幅に削減され、肥料生産に使われる化石燃料が保全される可能性がある。湖や川に流れ込む雨水の硝酸汚染が確実に削減されることによって、大きな環境上のメリットが得られる。競合的根粒形成に影響を及ぼす根粒菌の遺伝子や表現型が特定されており、たとえば、運動性と走化性、認識−付着のメカニズムにかかわる細胞表面の多糖類、バクテリオシンの産生、感染速度、他の菌株の根粒形成を妨げる遺伝子産物、基質反応性、土壌基質での生育速度などである。競争力の向上、宿主特異性の解明(hsn遺伝子)、根粒形成(nod遺伝子)、根粒占有率および窒素固定(nif遺伝子)の向上のための改変も試みられてきた。リファンピシン抵抗性、Tn5トランスポゾン、根粒形成性、窒素固定性、さらにpTA2プラスミドを含むマーカー遺伝子も、放出前の追跡装置として挿入されている(Wellington et al., 1993)。リゾビウムのプラスミドを、固定能を持たない種であるAgrobacterium tumefaciensに接合によって移行させた結果、A. tumefaciensはマメ科植物の適切な宿主と共生を始める能力を獲得した(Martinez et al., 1987)。また、長期的な目標として、小麦や大麦のように根粒を形成せず、一般に、健全な発育のために大量の硝酸塩肥料を必要とする植物への感染能を持つ根粒菌を構築することがある。穀物生産におけるコスト削減の可能性はきわめて大きい。
 菌類の遺伝子改変法は、近年大きく進歩したが、あらゆる種類の菌根菌で純粋培養が不可能なことが、この分野の進歩の妨げとなってきた。このため、菌根菌では内生菌根を形成する担子菌のキツネタケ(Laccaria laccata)の遺伝子改変実験が1件報告されているだけで、これは抗真菌剤のハイグロマイシンBへの抵抗性を持たせるために形質転換されたものである(Barrett et al., 1990)。その形質転換体は、分類学的なつながりのない菌類の中で機能することのできる大腸菌(Escherichia coli)やアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の遺伝子を含んでいた。Barret. et al.(1989)では、10種類の外生菌根菌の形質転換の条件が報告されており、Meinharat & Esser(1987)では、ベクターとして用いることができるアミガサタケ(Morchella spp.)のプラスミドの性質が明らかにされている。現在では、共生に有利に働く遺伝子が具体的に特定できれば、外生菌根菌の共生を高められる可能性が出てきている。

土着株と遺伝子組換え株の放出

 細菌の大規模で意図的な放出は、マメ科植物の種子への根粒菌接種によって、ほぼ1世紀にわたって多くの気候帯や土壌型で行われてきた(Catroux & Armarger, 1992)。接種材料は、その土地の土壌や気候条件、また植物の遺伝子型に合わせて、リゾビウムの純粋培養体と、さまざま産地由来の菌株、つまり既知・未知の微生物の混合物からなる。米国や欧州では、ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)などの非在来種が導入されており、単一種を改良した株が、土着の個体群に導入されてきた。その結果、新たな表現型を持つ非土着の根粒菌が、世界中の土壌中で多数定着してきた。Bradyrhizobium japonicumRhizobium melilotiの標識株を用いた組換え根粒菌の土壌への放出が何例か行われている(Wellington et al., 1993)。
 温帯土壌、熱帯土壌での外生菌根菌、内生菌根菌、VAM菌の意図的な放出が多く行われてきたが、これは特に食用作物の生産向上や森林樹の定着、環境目的での土地再生のためである(Jeffries & Dodd, 1991; Bethlenfalvay, 1992a)。例として、シリアでのヒヨコマメへの接種(Weber et al., 1991)、米国フロリダ州でのVigna parkeriへの接種(O’Donnell et al., 1992)、コロンビアでのキャッサバへの接種(Sieverding & Toro, 1988; Dodd et al., 1990)、インドでのキマメへの接種(Sivaprasad & Rai, 1991)、フィリピンでのマツ(Pinus)やユーカリ(Eucalyptus)への接種(Jeffries & Dodd, 1991)などがある。場合によっては菌根菌と窒素固定細菌の二重接種が行われることもあり、カナダでのEleagnusSpheheridaへの接種はその一例である(Visser et al., 1991)。一般に外生菌根菌の接種は、実験室での接種材料の調製に広いスペースと手間を必要とするため、この菌を含む少量の原土壌も一緒に加えられる。現在までのところ、遺伝子組換えの菌根菌の放出は行われていない。

リスク評価

 古典的な操作法や分子的な操作法によって作りだされた新しい遺伝子型を、封じ込めではない生態環境に放出することによってどのような生物学的影響が生じるかは、部分的にしかわかっていないため、それぞれの放出ごとにリスク評価を行う必要がある。リスク評価のための従来の枠組みは、次のことを目的とした分析の各段階を経て、秩序だって進められる。

1. 第1に、新規の遺伝子の組み合わせによって生じる潜在的な有害性を特定すること。
2. 第2に、危険因子への曝露とその影響を評価することや、有害な影響とその実現の可能性の大きさを考慮してリスクレベルを決定することによって、有害性が現実の危害を生じる可能性(すなわちリスク)を評価すること。
3. 第3に、適切な封じ込め手段および管理方法を選択して指定すること(リスク管理ともいう)。

 GEMの放出のリスク評価の場合、1つの事象によって起こりうる結果が非常に多く複雑なため、この方法を適用するのが難しいこともある。これまで科学者は、ごく数例の封じ込め放出実験に基づいた判断、類推、結果に頼ってきたが、現在は、それぞれの実験に伴うリスクを予測するために、もっと定量的なデータが利用できるようになっている。各遺伝子の由来や機能、用いられたクローニング法、そしてそれが放出される生態系は、一般に、その製品に特異的であるため、世界の規制当局の大多数は、事案ごとのリスク評価を採用している。いったん共通のテーマが生じれば、世界中で適用できる一般的な分析基準が採用されるかもしれない。リスク評価では、予想される有害性と見込まれるメリットのバランスを重視すべきである。

根粒菌および菌根菌に関する野外試験の申請・審査に必要なデータ

 環境への潜在的な影響を評価する際には、特定の微生物とその機能、標的となる環境を熟知していることが重要である。リスク評価には、次の情報が含まれなければならない。
1. 遺伝子改変の種類およびそれによって微生物(宿主域を含む)に与えられる性質
2. 導入される微生物から他の微生物叢への遺伝子伝達の可能性
3. 当該微生物およびその定着、生存の生物学的性質
4. 当該微生物の生態系内での機能的役割
5. 意図的な手段(利用法)によって当該微生物が区域内で移動したり、自然(気候の影響)や動物による物理的な媒介によって区画外に移動する可能性
6. 遺伝形質が、意図されたよりも長期にわたり、あるいは標的以外の環境や生物に広がる場合に、生態系の構造や機能に及ぶと考えられる影響
7. 利用にかかわる職員の健康を確保するための手段
8. ヒトの健康と安全を守るための封じ込め手段と管理方法
9. 計画外の放出が生じた場合の緊急時対策(中止手順を含む)
10. 放出を担当する職員の氏名および放出区域の場所と日付(区域の巡回回数を含む)
11. 実験を行う作業者の健康を監視するための計画(実験の作業記録、使用する微生物、発現する遺伝子産物を含む)

 このリストは優先順位を示したものではなく、必要とされる情報の重要性は同等である。リスク評価は、実験(菌株の収集、廃棄物処理を含む)にかかわるすべての職員、管理部門の職員、研究者の代表で構成される遺伝子操作安全性委員会によって、組織内で行われるのがもっとも効果的である。必要に応じて国(政府)の管轄機関から、リスク評価に関する専門家のアドバイスが得られることも必要である。GEMにかかわる実験は、個別にリスク評価が行われるべきで、各実験のリスク評価は、実験終了後、10年間保管されなければならない。計画の大幅な変更によって評価の妥当性が無くなったと疑う理由がある場合には、評価の見直しを行うべきである。

土着および遺伝子組換え根粒菌・菌根菌の放出による有害性

土着根粒菌の土壌中への放出

 リゾビウム属の菌株は、いったん土壌に導入されると安定性がきわめて高いため(Jansen van Rensburg & Strijdom, 1985; Brunel et al., 1988)、外来種や選択した株を導入する前には充分な配慮がなされなければならない。リゾビウムのうち、根粒形成能は低いが競争力が強く、土壌腐食性の菌株を導入すると、あとになって根粒形成能は向上しているが競争力の弱い株を導入できなくなる場合がある。また、根粒の占有率は高いが不安定であったり、窒素固定能が低い株を土壌に導入するとあとから除去するのが難しい場合がある(Weber et al., 1989)。米国の場合、中西部の8つの州ではBradyrhizobium japonicumの血清型USDA 123の競争力が高いために優位を占めているが、この型は窒素固定効率が低く、窒素固定効率がもっと高い菌を排除している。その株がのちに植物に害を与えることや収量を低下させることがわかった場合、この問題は悪化する可能性がある。根粒菌とマメ科植物の有害な相互作用の例として、76あるBradyrhizobium japonicumの血清型の多くの株が誘発する大豆の白化(Minamisawa, 1989)、リゾビウムIHP324株によるキマメの葉巻病、Rhizobium tropici B型株によって誘発されるインゲン(Phaseolus vulgaris)の白化(O’Connell & Handelsman, 1993)などがある。同様に、南部の7つの州では血清型USDA 76が優勢だが、この株はリゾビトキシンの発生率が高い(Fuhrmann, 1990)。Rhizobium tropiciの例は、接種研究で注意すべき点を示すものである一方、この菌は高温、酸性度、高アルミニウム濃度に耐性を持ち、熱帯土壌への接種に適した種の1つと考えられる(Graham et al., 1982)。

GEMの土壌中への放出

 GEMに含まれる外来DNAの存在自体は有害性を持たないが、その表現形質の発現や遺伝物質の移行性への影響が有害性を生みだすかもしれないことに留意が必要である。このため、微生物の遺伝子組換え株の放出案は、科学界内部でも一般国民の間でも大きな懸念を生じさせてきた。GEMの生残、特にその定着や次作物への持ち越し、適用区域からの移行、遺伝子組換えDNAが土着微生物に伝播する可能性、微生物が媒介する生態系プロセスやひいてはより広い生態系の機能や安定性を崩壊させる可能性などへの懸念が大きい。絶滅の危機にある種への曝露や宿主域の変化、マーカーとして抗生物質抵抗性遺伝子を用いることについても考慮がなされている。異なる種の間の遺伝子伝達(遺伝子の水平伝達)や生態系の影響をin situ(原位置)で調査するための手法や方法が最近開発されており、表明されている懸念の解消に役立っている。

細菌における遺伝子伝達

 環境中での細菌間の遺伝子伝達は、3つのメカニズムのうちの1つ以上によって起きる。接合や形質導入は、伝達中にDNAが保護されるため、環境中で生じる可能性がかなり高い。形質転換では、環境から保護されていないむき出しのDNAの取り込みが行われ、環境中で生じる可能性は比較的低い。

接合

 供与側と受容側の細胞同士の接触を要する疑似有性的プロセス(遺伝子のランダムな組換えは起きない)であり、グラム陽性、グラム陰性両方の細菌で広く起こる。接合の過程で、グラム陰性菌では長く柔軟な線毛または短く固い線毛によって、グラム陽性菌ではDNAの通る孔を通じて、プラスミドが一方の細胞からもう一方の細胞へと移行する。プラスミドが、性線毛の形成など接合のために必要な機能のすべてをコードしている場合、接合性プラスミドという。接合性プラスミドが他の非接合性プラスミドと同一の供与細胞にある場合、非接合性のプラスミドの伝達を媒介することもあり、このプロセスを可動化(mobilization)という。接合性プラスミドを供与染色体に組み込むことによって、染色体遺伝子の伝達に影響が及ぶ場合がある。どの程度の微生物が遺伝子伝達にかかわるかは、宿主や受容体、関係するプラスミドおよび環境要因によって左右される。
 これに関連するテーマが2つある。トランスポゾンの媒介による接合では、トランスポゾン(可動性の特殊なDNA配列)が細菌ゲノムの中でその位置を変え、プラスミドと染色体の間を移動する。トランスポゾンは、プラスミドを持つ細胞と持たない細胞の間での接合伝達能があり、遠縁の微生物間の遺伝子伝達のもっとも重要な手段だと思われる。これらは抗生物質抵抗性遺伝子に含まれていることが多い。逆伝達(retrotransfer)では、受容体が供与細胞から受け取るのと同じ頻度で、供与細胞が受容体からマーカーを受け取り、逆方向の遺伝子交換を行う。

形質導入

 細菌には、1つの細胞に感染してその中で増殖し、その細胞を破って別の細胞に感染するバクテリオファージ(またはファージ)と呼ばれるウイルスが寄生することがある。この種のファージの生活環を、溶菌サイクルという。これとは別に、細胞に感染するが、そのDNAが宿主のゲノムに組み込まれてそれとともに複製されてからゲノムから出て宿主細胞内で増殖し、最後には細胞を破ってより感染性の高いファージを放出するタイプのファージがある。このタイプの生活環は、溶原(またはテンペレート)サイクルと呼ばれる。バクテリオファージ粒子がベクターとなって起きる細胞間の遺伝情報の伝達は、形質導入と呼ばれ、2つの種類が認められる。普遍形質導入の場合、宿主細胞内の各遺伝要素がファージベクターによって導入される確率は等しい。供与染色体の断片が成熟ファージ粒子によって取り込まれる場合、これが起きる頻度は低い。染色体遺伝子とプラスミド遺伝子の両方が形質導入されうる。もう1種類が特殊形質導入で、この場合は特別な遺伝要素だけが伝達する。

形質転換

 形質転換は、細菌に取り込まれた二重鎖DNAが、細胞のゲノムに組み込まれて複製する過程である。細胞が外来のDNAを取り込むには、非コンピテントな状態からコンピテントな(形質転換受容性の)状態に移行しなければならない。菌液の中で、DNAは細胞からランダムな溶解や個体群の一部によるコントロールを受けて放出され、同一の種に取り込まれることもあれば、異なる種に取り込まれることもある。環境中には、崩壊中の細菌細胞から出たり(非意図的または受動的放出)、生体細胞から放出される(意図的または能動的放出)自由なDNAが存在する(Stewart et al., 1983)。土壌中の自由なDNAによる遺伝子の伝達は、機能を持つ染色体DNAやプラスミドDNAの放出、放出されたDNAの定着、受容体となる細胞がコンピテントになること、自由なあるいは粒子を伴ったDNAの取り込み、そしてDNAの伝達という多段階のプロセスを経て、新たに獲得された形質が発現すると考えられる。取り込みと発現ののち、外来DNAは、接合やファージの攻撃による形質導入、自己溶菌による形質転換によって他の細菌に伝達する場合がある。

細菌内の遺伝子伝達に影響を与える要因と土壌中の根粒菌間で遺伝子伝達が起こっている証拠

 土壌中の細菌の間で遺伝子の水平伝達が起きているのはたしかだが(Stotzky, 1989)、野外土壌の組成はきわめて変わりやすく、不規則な気候の変化にさらされているため、研究が困難である。このため、遺伝子の伝達(GEMの環境中への放出に制約を与えるものでもある)に環境因子が与える影響を研究するのに、主に土壌マイクロコズム(モデル生態系)などのモデル系を使った実験研究が行われてきた。GEMから土着の微生物への遺伝物質の伝達が、基質濃度や個体群密度の条件が現実的な自然環境のもとで(データが予測値として意味をもつためには不可欠である)研究されるようになったのは、ごく近年のことである。
 当初、遺伝子組換え細菌の環境中への偶発的放出による危険性としては、細胞間の遺伝情報の伝達手段としての接合に注目が向けられたが、それは、プラスミドが同定されている細菌の多様性が、この現象が広く起こっていることを示していたためである。土壌環境は、微生物群集の密度と活性を維持しているため(多くは一時的なものあっても)、細胞同士の接触はいつでも起こりうるが、侵入排除、宿主と外来プラスミドの不和合性、供与DNAの侵入を認識して妨げる制限修飾系などが、伝達を防ぐバリアとして働く可能性がある。接合には、供与体と受容体双方の代謝状態が高いことが必要で、土壌中では生育基質が乏しいために代謝状態が低いことが多いが、根圏や根の表面ではそれが高い場合がある。
 初期の研究では、土壌中でのプラスミドの伝達頻度を明らかにするのにモデル系や無菌土壌が用いられた。これによって、一般的な土壌細菌の同一種の株の間や(Weinberg & Stotzky, 1972; Graham & Istock, 1978)、一般的な土壌細菌とRhizobium frediiの間で(Richaume et al., 1989)プラスミドの交換が行われることがあることがわかった。粘土、有機質、土壌pH、温度のすべてが伝達頻度に影響を与えていた(Richaume et al., 1989)。無殺菌の土壌での研究では、エンドウのプラスミドであるpJB5JIと生育の速い根粒菌株の間の伝達や(Kinkle & Schmidt, 1991)、Bradyrhizobium japonicumからブラディリゾビウム属の複数の株へのr68.45プラスミドの伝達が認められた(Kinkle et al., 1993)。しかし、pJP4プラスミドでは、ブラディリゾビウム属の2つの株にしか伝達せず、一定の特異性が見られた。接合による土壌中での遺伝子伝達は、生理学的バリア、環境バリアが数多くあるにもかかわらず、たしかに起こることが証明されている。
 根粒内でDNAの伝達が起こっているかどうかは、明らかでない。無菌系では、エンドウ根粒内の根粒菌(Johnston & Beringer, 1975)とアルファルファ根粒内のRhizobium meliloti(Pretorius-Gruth et al., 1990)でプラスミドの伝達がみられた。無殺菌土壌では、Kinkle et al.(1993)によって大豆根粒内のブラディリゾビウム属根粒菌の接合伝達体(transconjugant)が見出されたが、どちらの親株も存在しなかったことから、接合伝達体によって無性の根粒がコロニーを形成し、土壌中の根圏ないし根表面で接合が起こったと考えられる。有機体の添加や植物根の存在によって、プラスミドの伝達は促進された(Kinkle & Schmidt, 1991; Kinkle et al., 1993)。
 形質導入は、環境面で重要な細菌やバクテリオファージの多くで起こり、一部の種では染色体DNAやプラスミドDNAの伝達の主要なメカニズムであると考えられる(Novick et al., 1986)。形質導入によるDNAの伝達は、土壌中のグラム陰性菌の間で起きるが(Germida & Khachatourians, 1988; Zeph et al., 1988)、もっとも研究されている大腸菌の場合、遺伝子の伝達は低い頻度でしか起こらない。ただし、大部分のファージでは宿主域がきわめて狭く、遺伝子拡散のベクターとしてはたらく可能性は限られている(Reanney et al., 1983)。バクテリオファージは根粒菌の主なグループのすべてから単離されており(Staniewski, 1987)、in vitroで遺伝子交換のベクターとしてはたらく可能性が示されている。普遍形質導入はRhizobium melilotiR. leguminosarum、Bradyrhizobium japonicumのいくつかのファージで起き、特殊形質導入はR. melilotiのファージで起きるが、すべて溶原(テンペレート)サイクルで増殖する(Sik et al., 1980; Buchanan-Wollaston, 1979; Shah et al., 1981; Svab et al., 1987)。溶原サイクルでの増殖は根粒菌の一部やBradyrhizobium japonicumでも見出されているため(Abebe et al., 1992)、形質導入によって異なる根粒菌の間で遺伝情報の伝達が起こっている可能性は大きい。
 現在までのところ、土壌中での根粒菌間の形質転換は認められていないものの、それが起こる可能性は存在する。土壌マイクロコズム(純粋な砂または砂−粘土のモデル、または自然土壌)を使った研究では、土壌中で形質転換が起こりうることが示されている。Pseudomonas stutzeriAcinetobacter calcoaceticusは、土壌抽出物中で高い頻度で形質転換を起こすと考えられ(Lorenz & Wackernagel, 1991; Lorenz et al., 1992)、Bacillus subtilisは、ミネラルに関与するDNAを取り込むことができる(Lorenz & Wackernagel, 1991)。土壌や表土は、DNAを粘土粒子と結合させたり、ヌクレアーゼによる分解から保護してDNAを保護し、それによって形質転換が自然に起こる微生物環境が形成されたり、DNAの取り込みの可能性が高まっていると考えられる(Greaves & Wilson, 1970)。細菌種の多くは、土壌中でDNAを取り込むための自然の受容能を発達させており(Lorenz & Wackernagel, 1988)、プラスミドDNAは充分に長期間定着して、コンピテントな受容細胞によって取り込まれることができる(Romanowski et al., 1992)。土壌中には、DNAの絶え間ない生産と放出によって細胞外の遺伝子プールができており、細菌によるサンプリングが可能になっている。土壌中での細菌間の形質転換も起こりうるが(Stotzky, 1989)、データが不足しているため、細菌による遺伝子の取り込みや発現の可能性を予測するのは困難になっている。細胞密度が低いと、土壌中での形質転換の可能性はさらに低くなると考えられる。
 土壌微生物群集のメンバーの間では、これら3つのプロセスのすべてが同時進行していると考えられる。土壌生態系の中で遠縁の微生物が遺伝子交換を行う可能性があるかどうかは、次のプロセスに依存する。つまり、挿入(宿主細胞で起こりうる外来DNAの制限または修飾)、宿主ゲノムへの取り込み、遺伝子の定着と発現、である。これは、同一種のクローン間のほうが、遠縁の微生物間でよりも頻繁に起こる可能性が高い。伝達の成功に影響を与える要因として、細胞密度、ファージの数、有効なDNAの濃度、ヌクレアーゼの活性、温度、密度、栄養状態、宿主の生理学的状態などがある。理屈の上では、遺伝学的な障壁を超えるように実験室で操作された微生物は、野外で他の微生物に遺伝子を伝達する可能性があるが、自然界での伝達は稀であり、文献的にもあまりみられない。
 土壌微生物の多くは、人工培地上ではストレスや休眠のために培養することができなかったり、まだ培養の実績がないという問題は、いまだに解決されていない。飢餓条件下では、細菌はごく小さな生きた細胞(超微小細胞)を作ることができるが、この細胞を標準培地での培養によって検証することはできない(Colwell et al., 1985; Roszak & Colwell, 1987)。実際、培養不可能な微生物群集の一部には、大きな遺伝的多様性が存在すると推定されている。こうした微生物群が、特定の組換え遺伝子が逃げ込む受け皿になり、特殊な遺伝子プローブを用いれば認識できるが、従来の培養法では認識できないものになる可能性がある。

土壌中での根粒菌の定着―生態学的検討

 導入された生物が定着するか、改変の過程で組み込まれた遺伝物質が定着することで、遺伝子伝達の結果生じた新たな遺伝子の組み合わせが定着したとみなされる。土壌中には複雑な土着の微生物叢があるため、微生物が土着の微生物と競合してコロニーを形成するには、基質をいち早く利用したり、最大成長率を高めたり、抗生物質を産生するといった有利な形質が必要になると考えられる。自然のDNAの場合でも組換えDNAの場合でも、細菌群集において生存、定着、複製、繁栄するかどうかは、宿主とその遺伝子型(競合性、基質利用性、環境域、宿主域)、新たな遺伝子と細胞の表現型に及ぼす影響、伝達の頻度、変異性、細胞の環境によって生じる選択圧など、多くの要因に左右される。新たな組み合わせのうち定着する可能性があるのは、土着の遺伝子型に比べて適応度1が高いものだけである。一部には実験室内で高い適応度1を示すものもあるが(Hartl et al., 1983; Edlin et al., 1984)、ほとんどのGEMは、付け加えられた機能の保持や発現にかかわる代謝的負荷のために不利な条件にある。しかし、たとえば環境毒素の存在下での生存性を向上させたり、基質を代謝する能力を向上させることによって適応度を変化させれば、改変によって定着能を向上させられる可能性がある。GEMの定着性や、ゲノムの安定性や発現に影響を及ぼす環境要因には、土壌型、栄養分や湿度、pH、温度、阻害性の化学物質、捕食・競合といった生物学的要因がある(Stotzky & Babich, 1984)。長く定着している微生物群集は、外来の微生物の侵入に抵抗するため(Liang et al., 1982)、植物の根圏のような環境で増殖が起こる可能性は低く、密度や多様性がより低い環境のほうが、可能性が高い。
 土壌中に存在するリゾビウム属の種はほとんど活動しておらず、貧栄養状態の不利な環境で単に生存しているだけと考えられている。これらの菌類が植物の根と相互作用すると、栄養が豊富で、鞭毛虫などの真核生物による捕食やウイルスや他の細菌による攻撃から保護される環境に入ることになる。このため、特定のニッチ(根粒)を占拠することによって、競争に直面しながらも生き延びる力が向上し、その結果、外来の根粒菌は、いったん土壌に導入されるときわめて安定であることが多い(Brunel et al., 1988)。土壌中に導入された根粒菌の生存を向上させる環境要因には、植物の根圏、粘土含有量、温度、接種数などがあり、生存を低下させる要因としては、捕食や水分の上昇がある(Wellington et al., 1993)。
 自然選択は、孤立しているが遺伝的に進んだ群集に有利に働くため、既存の群衆内で新たな表現型(そして遺伝子型)が定着する可能性は高まる。しかし、単なる遺伝的な変化は、細菌が他の微生物群集のメンバーとの競争に直面した場合、これを弱らせることもある。こうした問題があるにもかかわらず、プラスミドやトランスポゾン、染色体の組換えによるDNAの導入あるいはDNAの削除は、土壌マイクロコズムの根粒菌の生存に対して一定した影響は無いことがわかっている(Wellington et al., 1993)。

根粒菌の伝播と拡散

 根粒菌は、その利用の最中に、土壌からの浸出、表面の水や粒子中での流出、風による拡散、動物や人、機械による輸送によって、区画外に広がる可能性がある。実際には、大部分の土壌微生物は土壌粒子としっかり結合しているため、輸送はきわめて限定的であることが多い。昆虫による拡散を管理するのは、野外環境では難しいと考えられるが、野外試験の規模が小さいため、往々にして見過ごされている。しかし、蛍光性シュードモナス(Pseudomonas)属の野生型と組換え株は、栽培時の種子への接種後、葉の組織上や草食昆虫内で検出されており(Klüpfel & Tonkyn, 1990)、ベクターによる拡散が重要であることを示している。

菌根菌における遺伝子伝達と拡散

 遺伝情報の拡散は、栄養生長、胞子の散布、菌糸の接合を通じて起こりうる。外生菌根菌やVAM菌の菌糸は、宿主植物に限定されず、周辺の土壌中に伸びて近傍の他の植物に感染することもある。このプロセスは、植物がそれぞれの根の間にある菌糸の網の目によってつながるまで数回、場合によっては繰り返し行われることがある。外生菌根菌によって形成される菌糸のネットワークを通じて、糖質が植物から植物に移動することがある(Read et al., 1985)。菌糸が成長する過程で新たな核が形成される場合、遺伝子は宿主植物によって覆われる部分全体、さらには周辺の土壌に広がることになる。
 外生菌根を形成する多くの担子菌の菌糸は、吻合と呼ばれるプロセスによってたがいに融合し、複雑な網の目を形成する。土壌中では、和合性の菌糸が出会い、細胞壁が崩れて融合し、それぞれの原形質と細胞小器官が混ざりあって、一方の菌糸体からもう一方への遺伝子の伝達が起きる。しかし、ある種のなかで吻合が起こるのは一部の菌糸体だけである。一部は不和合性の反応を示すため、こうした菌類では吻合の際のグループが形成されることになり、これが同定に役立つ場合がある(植物病原菌のリゾクトニア(Rhizoctonia)の場合など)。他の担子菌では吻合のグループがあまり知られておらず、遺伝子組換え菌根菌の放出が検討される前には、充分な研究を行う必要がある。
 外生菌根菌は、地面の上に子実体を形成し、そこから空気の流れや昆虫への付着によって胞子が拡散する。子実体は、各種の動物(哺乳動物、軟体動物および人間)に食べられる可能性もある。子嚢菌の菌根の一部は地下に子実体を形成し(トリュフ)、それを摂食する動物への誘因物質として作用する揮発性の化学物質を産生するが、この動物が菌類を掘り起こして摂食し、菌類の胞子が動物の糞中に拡散する。遺伝子は、子嚢菌や担子菌の子実体がもともとあった場所から遠く離れたところに拡散する可能性があり、胞子が溶解や損傷したのち、形質導入によって動物の腸内細菌に組み込まれる可能性もある。
 VAM菌の場合、吻合や風によって拡散する有性胞子の形成は起こらず、土壌中や根組織中に厚膜胞子を形成するだけである。これらの厚膜胞子が地表にきた場合は風によって拡散する可能性があるが、頻繁に見つかっているのは拡散をもたらす齧歯類の腸内である(Silver-Dowding, 1955)。VAM菌の菌糸も細菌や細菌様生物を含み(Scannerini & Bonifante, 1991)、その厚膜胞子には土壌中に生息するツボカビ綱菌類のいくつかの種が寄生するが(Paulitz & Linderman, 1991)、こうした微生物に遺伝子が伝達するかどうかはわかっていない。

菌根菌の土壌中での定着

 菌根菌は、休眠胞子として、植物組織内の菌糸体として(特に樹木の場合)、土壌中の菌糸として、そして菌核(菌糸の集合体で耐性がある)として長い期間定着することができる。これらは、土壌中で菌糸が成長したのち、接種区画から離れた場所で形成される可能性があり、遺伝子組換え菌根菌が広く拡散することになる。

遺伝子組換え根粒菌・菌根菌が生態系プロセスに与える影響

 導入された組換え根粒菌が土壌中で大規模に増殖する力を持っていると、その場所の窒素循環を乱す可能性がある。根粒菌が窒素循環に及ぼす影響についてはデータがないものの、土壌潅流システムに導入された5例のGEMの効果をみると、4例でアンモニア化成や硝化作用、脱窒素作用への影響や、これらのプロセスを担う微生物群の個体群動態への影響はみられなかった(Jones et al., 1991)。1例のGEM、つまりプラスミドを運ぶEnterobacter cloacaeの菌株だけは、対照の非改変の宿主と比較して硝化作用とNO3-が若干低くなったが、生態学的に大きな影響を持つほどの大きな変化ではないと考えられる。
 組換え根粒菌と標的外の宿主が共生することによって適応度1が向上し、土着の植物が追いやられることになる可能性もある。同様に、組換えによる遺伝子型が、ある外生菌根菌に競争優位を与えるとすれば、それと共生する植物が、他の菌根を形成する種や形成しない種に対する競争優位を獲得し、それらを排除することもありうる。その遺伝子型は、土壌中での拡散を受けて、自らの能力を向上させる別の菌根形成種に共生する能力を持つ可能性や、以前は菌根を形成しなかった植物の菌根形成を誘発する可能性もある。残念ながら、土着の菌根菌あるいは土着や組換えの根粒菌の放出後の研究は、大部分が植物群落の組成の変化を測定しておらず、宿主の活力への影響はわかっていない。この分野の研究には大きな関心が持たれるべきである。

潜在リスクを軽減する手段

 リスクの軽減は、汚染除去手段、環境中での遺伝子調節、環境中での遺伝子伝達の防止、不能化による封じ込め、環境中での拡散のモニタリングなどによって実現することができる。導入計画には、試験区画周辺で放出微生物をモニタリングするための適切な方法を含まなければならない。モニタリングによって、その微生物の有効性、生残、伝播、遺伝的安定性に関するデータが得られ、不測の拡散や生物学的影響を発見することができる。

汚染除去

 第1次試験のためにGEMが放出されている封じ込め環境の汚染除去は、高圧蒸気殺菌(オートクレーブ)や消毒剤の使用によって実現することができる。しかし、野外の区画は外来要因の多い環境であり、作物や共生生物に悪影響を及ぼす可能性があるため、こうした方法は、試験の終了時にも緊急時にも用いることができない。その代わり、野外区画での汚染除去法は、野外区画に放出される植物病原体の管理を目的として開発された方法に基づいて行われてきた。これらの方法では主に、作物残渣の焼却、土壌の耕転や除去、オートクレーブ処理、また殺生物剤の使用などが行われる(Smitley & McCarter, 1982; National Research Council, 1989)。いくつかの方法が提案されてきたが、試験が行われて充分に評価されているものはごくわずかしかない。従来の植物病害防除法では、放出されたGEMが充分に管理できず、土着の微生物に悪影響を及ぼす場合もあるという結果が出ており(Donegan et al., 1992)、野外区画では、より効果的で選択的な防除法の開発が必要であることを示している。

遺伝子構築

 細菌内では遺伝子の交換が現実に起きるため、伝達の可能性を最小限に抑える遺伝子の組み合わせを用いることが望ましい。一般に、遺伝子は、標的微生物の染色体上に導入するか、非接合性かつ可動化されないプラスミド(固有または導入されたもの)上に導入するべきである。

環境による遺伝子調節

 遺伝子は、環境中で意図される機能にもっとも適した誘導刺激に反応するプロモーターによって制御することができる。リゾビウムの場合、根の浸出液中に存在するフラボノイドなど、植物の二次代謝産物を加えることによって、遺伝子の発現を誘発することができる(Firmin et al., 1986)。このため、根粒菌は、マメ科植物の根があるところだけで遺伝子を発現する。

環境中での遺伝子伝達の防止

 細菌の場合、自己伝達に必要な遺伝子の削除、自己伝達能がなく可動化されにくい小さなプラスミドをクローニングベクターに用いること、新たな遺伝物質を細菌の染色体に配置することによって、遺伝子の伝達を防止することができる。放出されるリゾビウムが土壌生態系内の土着の個体群との競争に打ち勝って望ましい機能を果たすには、短期間は生残していることが不可欠である。しかし、意図された実用期間を超えて定着する場合には、自殺遺伝子などによる封じ込めが必要な場合もある(Molin et al., 1987)。
 自然条件における菌根菌の遺伝子伝達の防除法を考案するには事前に多くの調査が必要になる。VAM菌間で遺伝子が伝達する可能性は低いものの、外生および内生の菌根を形成する種の間での伝達の可能性は大きいかもしれない。菌糸の吻合や、担子胞子や子嚢胞子の形成が起こらないようにするために、遺伝子組換え菌根菌は不能化する必要がある。宿主特異性を持つように菌株を改変することによって、標的以外の植物宿主への伝播は起こらなくなる。

放出後のGEMの生残によるリスクの軽減

 リゾビウム属の在来や土着の菌株はすべて温帯土壌で生存することができるが、植物の生育を伸ばすために生存を確保することのほうが重要であるため、生残性を抑える試みはほとんど行われていない。放出される微生物が与えられた役割を実現するためには、一定期間生残することが不可欠であることがほとんどだが、意図的に放出したGEMが環境中に長期間生残するのは望ましくない。このため、偶発的な放出が起きた場合に、生残しないようにするための予防措置が開発計画に組み込まれていなければならない。
 農業目的で放出される微生物を完全に物理的に封じ込めるというのは事実上不可能であり、生残性が低い、増殖能の低い、予測される環境の変化(季節による寒暖)への抵抗性が低い、あるいは目的である特定の機能を失いやすい菌株が選ばれている。追加的な栄養要求を組み込むことも可能である。低温感受性や高温感受性あるいは有害物質の蓄積に反応する致死遺伝子を、ゲノムや用いる細菌株による根粒の形成を抑える植物の遺伝子型に組み込むことが可能だが、これによって効果を発揮しないうちに菌株が死滅してしまうこともありうる。
 一定の環境条件のもとで活性化し、細胞に死をもたらす致死遺伝子(自殺遺伝子)を組み込むことによって、細胞が複製できないようにすることが可能である。致死遺伝子の活性化の時期は研究者が決めることができ、in vitroの宿主細菌間ですばやく伝達させることができる。このほか、防衛遺伝子の発現のレベル、時期の変化や、これが発現しない場合に有効になる遺伝子を使うこともできる。例として、バクテリオシンや制限酵素エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子や、R1プラスミドにあって細菌細胞を幅広く死に追いやるhok(宿主致死遺伝子)などプラスミドによってコードされる致死遺伝子がある(Molin et al., 1987)。自殺因子を持つこのほかのプラスミドとして、毒素分解活性が最大の時には有毒物質の存在下で生存できるが、活性がない場合は代謝的負荷を課し、その微生物を競争上不利にするものがある。致死遺伝子によってGEMを制御することのデメリットは、それによって組換えDNAが一時的に形質導入可能な状態になるかもしれないことである。しかし土壌中での分解速度は速く(Greaves & Wilson, 1970)、分解したDNAの残存期間は非常に短いため、野外条件でこうしたことが起きる可能性は低いと考えられる。
 これまでの実績では、現在までに用いられたコンストラクトのすべてで、細菌個体群の死滅が不完全だった(Cuskey, 1992)。内部のプラスミドがなくなって(切り取られて)いたり、突然変異や組換えによるプラスミドが条件による表現型を与えなくなっているものが生残菌として単離されており、致死遺伝子の利用を無条件に推奨するには、事前にさらに研究が必要であることを示している。
 菌根菌にも同様に自殺遺伝子を導入することが可能で、細菌など他の生物由来の遺伝子をクローニングすることができると考えられるが、いまのところ何もわかっていない。VAM菌の場合は、厚膜胞子を形成しないように改変することができると思われる。

導入微生物の検出

 導入されたGEMのリスク管理に不可欠な要件の1つとして、圃場接種試験で放出された土壌細菌の検出と計数に大きな重点が置かれてきた。その結果、土壌中の細菌の消長を調査する方法の開発には多くの関心が集まってきた。従来の方法では、選択培養法や蛍光抗体法が主流だったが、これらの方法は、GEMの検出や計数には感度が充分でない。土壌中にきわめて低濃度で放出された微生物の検出法や、原位置(in situ)での検出法に重点が置かれるようになっている。
 細菌の検出や同定は、クローニングしたマーカー遺伝子を利用して行うことができる。こうした遺伝子は、正常な発現や安定的な遺伝を示し、菌株の生残性への影響や土壌生態系の他の生物への伝達能があってはならず、植物の生育に影響を及ぼしてはならない。抗生物質抵抗性や重金属耐性を持つ遺伝子、生物発光(原核生物のluxAluxB遺伝子や真核生物のluc遺伝子)、赤色色素(プロジギオシン)、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ(xylE遺伝子)、ポリガラクツロナーゼ(pglA遺伝子)の産生に関与する遺伝子や、発色性のβ-ガラクトシダーゼのlacZ遺伝子やlacY遺伝子は、宿主、受容体、接合伝達体内でクローニングすることができる。抗生物質抵抗性遺伝子は、宿主に大きな代謝的負荷を引き起こすことが多く(Lee and Edlin, 1985)、抗生物質抵抗性の微生物の増殖を招く可能性があるため、マーカーとして用いるのは避けるのが望ましい。しかし、複数の抗生物質に抵抗性を持つ細菌はもともとの環境に多く存在することから、警戒は行き過ぎである可能性も示唆される。
 外生菌根菌の検出では、通常、実験室での単離と寒天培地上での培養ののち、子実体の形成や既知の試験菌株との反応が起きるかを調べる。VAM菌は絶対共生菌であるため、検出法には感染した根の検査も含まれる。ほとんどの検査法では、トリパンブルー、クロラゾールEまたはフクシンで根を透徹・染色するため、菌類の菌糸は死滅してしまうが(Phillips & Hayman, 1970)、樹枝状体の自己蛍光や細胞蛍光分析法(Bianciotto & Bonfante, 1992)、菌類が持つアルカリフォスファターゼの組織化学染色法だと、in situで検出できる可能性が高い(Tisserant et al., 1993)。外生菌根菌でもVAM菌でも、検出には特殊な遺伝子プローブの利用が大いに有用である。
 土壌微生物のうち培養が可能なのはごく一部であるため、自然環境のもとで隠れている微生物の特定の遺伝子や定着している組換え遺伝子を検出するには、直接抽出したDNAの分析が有効である。通常、土壌からのDNAの抽出が必要になるが、他の技術はin situで用いることができる。現在利用できる技術の例として、形質転換試験、免疫学的手法、染色体やプラスミドに挿入された合成オリゴヌクレオチド配列と相同性を持つ特異的DNAプローブまたはRNAプローブの他(Holben et al., 1988; Hahn et al., 1989)、蛍光標識(Hahn et al., 1992)やPCR法(Steffan & Atlas, 1988)もin situで用いることができるが(Tebbe & Vahjen, 1993)、阻害物質となるフミン酸を除去しなければならない。Rhizobium melilotiをmini-Tn5をベクターとしてホタルルシフェラーゼ遺伝子で非放射性標識することによって、生育率や標識株と野生型株のなかでの生残に影響を与えずに、平板当たり105CFU以上の株がある中からR. melilotiを検出することができた。この方法は、細胞の生物体量の定量にも利用できる(Cebolla, et al., 1993)。Yang et al.(1991)は、インゲン根粒内のリゾビウムのRNAの位置を特定し、植物組織における位置の特定法を示した。
 微生物群集や土壌型、水分はきわめて多様であり、微生物と宿主が生育期に活発な相互作用を行うことは、環境上のリスクを予測する際に野外データが重要であることを示している。こうした分子的手法は、圃場区画からの細菌の伝播をモニタリングするのにも使うことができる。微生物の伝播や拡散の予測には数理モデルも有効であり、消長・輸送(fate and transport)モデル(Corapcioglu & Haridas, 1984; Strauss & Levin, 1991)やマルチメディア・モデル(MICROBE-SCREENなど)が、大気や地表水、土壌に放出された微生物の拡散や消長を評価するために開発されている。消長・輸送モデルと用量−反応モデルとの組み合わせ、あるいは宿主個体群の性質に重点を置いた感染モデル(epidemic model)も、GEMの放出による環境リスクの予備評価に有用である(Teng & Yuen, 1991)。鳥類、昆虫類、他の植物への伝播が調査されることはほとんどなく、さらなる研究が必要である。

野外試験

 生態系への潜在的影響が大きい場合のリスク評価には小規模野外試験が有益だが、試験規模が小さいために包括的リスク評価(鳥類、昆虫類、哺乳類への移行など)ができないという口実も使われてきた。野外放出によって、見逃されたり誤って分析された結果が明らかになる可能性もありうる。

今後の傾向

 環境中での組換え微生物の消長や影響に関する知識が不足しているため、遺伝子工学の進歩によって得られる恩恵はなかなか表に現れてこない。これは、基本的な微生物生態学への研究資金提供が世界的に不足していることの直接的な結果である。しかし、現在では、分子生物学を基礎とする先端手法が、根粒菌間の種内および種間での遺伝子交換の推定や、土壌中のきわめて少数の微生物の検出、土壌中での微生物の伝播の追跡やモニタリング、その環境への影響の評価に利用されている。
 リスク評価を必要とする根粒菌の放出に関しては、土着、組換えともに、現在は定量的なデータがある場合が多い。リゾビウム属では、野外試験の環境中で接合や形質転換あるいは形質導入による土着個体群への遺伝子伝達がみられたという報告は現在までのところない。したがって、伝播、遺伝子交換、栄養循環の破壊に関して以前から懸念されていたことの多くは沈静化している。膨大な数の商業目的によるマメ科植物用の接種材料がほぼ1世紀にわたって、環境に悪影響を及ぼすことなく土壌中に添加されてきたことから、これは意外なことではない。
 あまり知られていないフランキア属(Frankia)の細菌は、リゾビウムよりも広い宿主植物と共生することができ、ハンノキやソリチャ属(Ceanothus)といったものも対象とするほど幅広いため、窒素固定のためのパートナーとして大きな関心を集めている。フランキアを、栽植密度を高めることが可能な針葉樹など、通常の宿主域以外の植物に感染するように改変するのは比較的容易だと思われる。
 遺伝子工学は、窒素固定細菌を特定の作物に合わせて改良する際の精度を大幅に向上させ、これまでより慎重に性質決定したより安全な製品を生みだすことができる。GEMの放出を伴う利用の大部分では、GEMがその機能を終えた後に消失したり自然破壊する必要がある。これに対して、窒素固定研究の最終目標の1つは、土着の土壌細菌との激しい競争を克服して、土壌中の微生物群内に定着する窒素固定細菌を作出することである。規制の枠組みでは、定着がデメリットではなく必要条件であるとの考え方がなく、こうした捉え方への注目が必要である。
 改変による菌根菌の改良の可能性ははかりしれず(Hirsch, 1984)、キャッサバ(Pistorius & Verschuur, 1989)、マツやユーカリノキ(Swart & Theron, 1990)などに及ぶ多様な作物に対応するものが提案されてきた。しかし、菌根菌に関する研究のほとんどは、栄養循環や作物改良に重点が置かれている。このため、菌根菌が野外の他の菌類と遺伝物質を交換する能力、他の菌類や他の土壌微生物との相互作用、土着および導入された菌根菌の伝播、そして環境中での生残や定着に関するデータが不足している。土壌中での検出法は、根粒菌と比べるとまだ開発の初期段階だが、DNAプローブなど菌根菌の検出に適していると考えられるものもある。GEMの放出によるリスクを評価する際にはこうしたデータが不可欠であるため、これまで遺伝子組換え菌根菌の放出は行われておらず、規制の枠組みがよく整った国では、相当な基礎研究が行われるまでは放出が行われる可能性は低い。細菌に用いられる方法は試行段階であり、その原理は菌根菌に応用できる。
 これとは反対に、内生菌根菌は、特にランの種子への接種として実験室で利用される可能性が高い。寄生されることなく実生が定着できるように改変した菌を導入することは比較的容易である。菌から植物への遺伝子の伝達(起こるとすれば)はモニタリングすることができ、その植物の放出(販売または環境への再導入)前の菌の定着は試験することができる。

今後の放出と規制

 環境への悪影響がないことを示すおびただしい数の過去の事例を無視した不合理な懸念は、無視すべきである。これまでの事例によって、先進国における現在のリスク評価法や規制の枠組みが間違っていないことが明らかになっており、国民の間にある懸念を緩和するのに大いに役立ってきた。しかし、GEMを安全に作出することができるという科学的な確証が強まっているにもかかわらず、国民の懸念は依然根強い。科学者と国民とでは危害についての認識に違いがあるため、リスク評価だけでは国民の受容の問題を解決することはできない。研究が幅広く受け入れられるためには、科学者たちはバイオテクノロジーが社会・経済システムに与える影響を考慮しなければならない。

規制と国民の懸念

 リスク評価のためにどのような規制の枠組みを選択するかは、リスク評価のために必要なデータの種類、ひいては申請が認められるために必要なデータの種類に影響を及ぼす。ある技術の初期におけるリスク分析で重要なのは、前例としての価値、つまり今後のリスク分析がそれに基づいて行われるのが一般的であるという点である。1980年代初めに、カリフォルニア州で、遺伝子組換えによって氷核活性を低めた細菌(Ina-)の放出案に関するリスク評価を米国環境保護庁(USEPA)が初めて行って以来、多くの経験が得られている。現在、リスク評価が必要な導入案に対しては、定量的なデータ、スクリーニング基準、論理的な推論が適用できるようになっている。伝染の可能性は低いものの、仮にそれが起きれば、国民の信頼は低下し、疑念が大きくなるもととなる。そのため、可能性としてはきわめて稀なリスクに対処するための法的、財政的そして緊急時の対応策を盛り込むことが重要である。規制の枠組みは、その根拠をリスク評価に置くべきであり、国民の議論や試験地域の選定に関する情報を盛り込むべきだが、商業上の配慮からこれが妨げられる可能性もある。

GEM放出に関する国際的な規制

 GEM研究の規制のための政策は、北米(米国およびカナダ)、欧州(特にEU諸国)、オーストラリアで特によく整備されている。これは、これらの国々の歴史的な科学基盤や、こうした技術が比較的豊かな国で急速に発展したことによる。開発戦略では、限りある資源をもっとも合理的に利用するようにしなければならないと同時に、製品が安全に消費者に届くようにしなければならない。途上国でのバイオテクノロジー規制の整備にまつわる複雑な状況の背景にはいくつかの要因があり、バイオテクノロジーの研究や試験にかかわる機関が多岐にわたっていること(国際農業研究センターや、世界銀行、米国国際開発局、EU、国連食糧農業機関、国連工業開発機関などの資金提供機関など)、途上国の政府や研究機関、民間企業や各種の環境団体などが挙げられる。規制の枠組みや資金の不足、意思決定能力への信頼の欠如、国際機関との連携の不足、リスク評価のための資金や技術的な専門知識の不足、さらには規制によって科学的な発展が抑えられるのではないかという懸念が一体となって、信頼できる規制政策の立案の妨げとなっている(Cohen & Chambers, 1991)。規制のための社会資本がなかったり整備されていない場合や、資金的な制約のために行使されていない場合もある。国民との協議が実施できなかったり、データを収集したり環境への影響を評価するための手段がない場合もある。このため、国の規制体系が整わないままに承認が与えられている(Cohen & Chambers, 1991)。その結果、援助国は、受け入れ国が支援する遺伝子工学関連研究が、その国の健康や環境の保護のための基準を満たす条件の下で行われ、規制当局の認可を受けることを主張している。それぞれの生態系によって性質がまったく違い、未知の挙動があるため、受け入れ国での野外試験はおいそれと行うことはできない。しかし、バイオテクノロジーに進出している途上国は、導入時のコストを負担することなく、先進国の経験や専門知識から多大な恩恵を受けることができる。

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1 ここでの「適応度」とは、生態学的な意味で、「他の生物との競争の中で生残・定着する能力」をいう。

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