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C(2000)86/ADD2

バイオテクノロジーの規制監督の調和に関する作業グループの報告書

要旨

1.OECDのバイオテクノロジーの規制監督の調和に関する作業グループによるこの報告書は、OECDの新規食品・飼料の安全性に関するタスクフォースの報告書を補うものである[C(2000)86/ADD1]。この報告書は、遺伝子操作生物の利用を含むモダンバイオテクノロジー製品の食品生産への利用が、環境安全性にどのような意味を持っているかに特に焦点を当てている。その意味で、この報告書は、生物多様性が食品や遺伝資源の究極の源であることから、生物多様性の保全と密接に関係する環境安全上の考慮事項も含んでいる。本報告書は、現時点で食品バイオテクノロジーの観点から最も開発が進んでいる農作物に重点をおいている。また、食品生産における微生物についても、多少検討を行っている。動物バイオテクノロジーを利用した商業利用については、依然として大部分が開発途上であり、本報告書においては、優先事項として検討されていない。

2.OECD作業グループヘの参加者の殆どは、環境安全性の確保に責任を持つ省庁で働いている。殆どのメンバー国は遺伝子操作生物の安全利用を確保するために、規制システムを随分前から持っており、これらの省庁が遺伝子操作生物の環境安全性評価を行う必要性が生じたのは新しいことではない。最初の野外試験は1986年に実施され、今日までに世界中で何千もの試験が実施されている。遺伝子改変作物の最初の商業利用は、1990年代半ばに開始された。遺伝子操作作物の大多数は、野外試験においても商業利用においても、トウモロコシ、大豆、綿、菜種、ジャガイモ、トマトといった重要な商取引農作物である。環境影響や便益の評価経験のレベルは国や地域によって異なっているが、総体として、環境リスク/安全性の評価者達は、ほぼ15年間の経験を蓄積してきている。

3.環境安全性評価と食品安全性評価の目的は異なっており、殆どの管轄権において、それらを異なった省庁が実施している。前者(環境安全性)では、環境影響に焦点が当てられてられているのに対し、後者(食品安全性)では、人の健康への影響に焦点が当てられている。しかしながら、製品の特性化は環境安全性評価及び食品安全性評価の共通の要素である。使用される情報にも共通点がある。例えば、環境安全性評価者も食品安全性評価者も、ある生物の遺伝子改変が毒性影響を生じるかどうかを知る必要がある。前者(環境安全性の評価者)は、非標的種への毒性の有無について知ろうとし、後者(食品安全性の評価者)は、人の健康への潜在的インパクトについて関心を持つ。双方の目的は明らかに異なっているが、結論に達するために双方はしばしば類似の手法を使用する。本作業グループは、環境安全性評価と食品安全性評価が別々になされ、明らかに異なるものであっても、環境リスク/安全性評価者達は食品安全性評価者達と引き続き協力していく必要があると考える。

4.各国で得られた経験はOECDを含む様々な政府間フォーラムにおいて共有されてきた。リスク/安全性評価に利用される多くの概念や原則が、OECDを通じて国際レベルで合意されており、これには例えばファミリアリティの概念がある。また、OECDのコンセンサス文書のような種々の実用的なツールも数多く作成されている。これは、(例えば宿主生物や形質に関して)メンバー国が合意した情報を含んでおり、リスク/安全性評価において重要である。

5.規制の調和は、1995年の本作業グループ設立時からの主要な目標である。これは、リスク/安全性評価の際に使用される情報及び安全性を評価するために使用される手法が、各国において出来るだけ類似したものになるようにするための試みである。調査の利点は明らかである。これにより、加盟国間の共通理解を増し、不要な重複が避けられ、効率を高めることになる。そして一方では、安全性を高め、不必要な貿易摩擦を避けることに繋がる。

6.本作業グループは、いくつかの対応必要事項および将来取り組むべき課題を確認した。これまで、調和に向けて数々の努力がなされてきたが、もたらしうる利益が十分現実のものになるためには、更なる前進が必要である。特に、この文書は各国の所管当局が同様の情報を利用し、同様のリスク評価手順を踏んでいると思われるにもかかわらず、異なる結論に到達する事があるという事実について言及している。この理由の幾つかは明らかである。例えば、異なる国のリスク/安全評価者達は各々異なる環境を扱っている。一方で、本報告書は、その他の(明らかな理由とは異なる)あり得る理由も確認している。本作業グループは、製品承認システムにおける加盟国間の違いの理由を確認するために、より多くの努力が必要であると考える。

7.リスク管理に関する問題は、国により状況が異なる特別な分野であり、さらによく理解される必要があるリスク管理手法は通常、リスク/安全性評価の際に確認されたリスクを最小化し、緩和するために適用される。科学に基づいた、あるいは技術的な手順には、例えば、特定の作物品種を空間的に限局することや、特定作物品種の利用を特定地理的場所に制限することが含まれうる。また、商業用途での使用許可後に、遺伝子改変製品を確認または監視するための方法も含まれるかもしれない。本作業グループは、各加盟国におけるリスク管理政策について、加盟国間の共通理解を高める必要があると考える。

8.加盟国間で強い相違があり、特別な困難が見られるのは、科学的不確実性の管理に関連するすべての議論である。科学的不確実性は、明らかにリスク/安全性評価者達やリスク管理者達が普通に取り扱っていることであるが、予防的対応をGM食品のリスク/安全評価およびリスク管理に適用すべきか否か、あるいはどのように適用すべきかについては、国により明らかな違いがある。この問題についての各国間の相互理解を増すために、対話を継続する必要があることは明白である。

9.第一世代の遺伝子操作生物の環境リスク/安全性評価に開しては多くの経験が得られているが、世界市場におけるGM製品の量や種類の拡大に伴って、新たな環境安全上の問題が生じてくるであろう。生物の範囲、形質の数、および意図的放出が行われる地理的場所の全てが、将来増加するかもしれない。このことは、ファミリアリティのような現在受け入れられている概念の適用に対する挑戦となるであろう。さらに、異なる地域的環境および農業の状況については、引き続き考慮されることであろうし、環境リスク/安全性評価において、異なった結論を導き出すかもしれない。生物の環境との相互作用に関するより詳細な洞察は、不確実性を減らすかもしれないが、例えば、長期間の非直接的な影響に関する新たな疑問を提起するかもしれない。本作業グループは、環境リスク/安全性評価者達は、リスク/安全性評価手法をレビューし続けるべきであり、経験を交換するとともにリスク/安全性評価および監視手法の更なる改善に向けて協力し続けるべきであると考える。

10.遺伝子操作生物のリスク/安全性評価におけるもう一つの挑戦は、リスク/安全性評価の経験を有する国々によって得られた知識を、非加盟国を含め、その知識を必要とする全ての人々に伝えることである。最近の数年間、OECD、特に本作業ループは、情報交換の仕組みとデータベースを確立してきた。OECDにおける情報交換システムであるBioTrack(本作業グループが作成した)は、野外試験や製品の承認に加えて、加盟国における規制や規則作成に関する最良の情報源の一つである。BioTrackはWorld Wide Webを通じて一般の人にも利用可能である。さらに、BioTrackは、非加盟国をカバーするUNIDO’s(United Nations Industrial Development Organization)BINAS(Biosafety Information Network and Advisory Service)とも密接に関連している。しかしながら、特にG7/8の国々からこの分野において未だ能力構築中の国々への、リスク/安全性評価に関する経験の伝達を促進するためには、まだやるべきことが多く残されている。このことに関連して、本作業グループの上位委員会(OECD環境政策委員会)がバイオテクノロジーの環境的側面に関する大規模な会議を提案していることを言及しておく。

11.この文書は、いくつかの他の政府間機関の活動について言及している。例えば、UNIDOおよびCDB(Convention on Bioligical Diversity)事務局は、本作業グループの会合に定期的に参加している。さらに両機関は、本作業グループのコンセンサス文書に非加盟国の専門家の意見が取り入れられるようにした。2000年1月の生物多様性会議バイオセイフティ議定書の採択は、生物多様性に対する遺伝子操作生物の影響を評価し、バイオセイフティクリアリングハウスを通じで情報を交換するための、地球規模のシステムの土台を築くことを目指したものである。バイオセイフティ議定書には、遺伝子操作生物の環境評価の実施に関する能力構築を促進する条項も含まれている。ここでの経験は、各政府間機関の相互交流、および技術文書や専門的知見の共有が、活動の重複を避け、バイオテクノロジー製品のリスク/安全性評価に関する理解の促進につながるであろうことを示している。

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