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3.繁栄するバイオテクノロジーの自由市場
−資本及び資金の提供と知的財産権の保護−

 新製品を市販する場合に、大手の企業は固有の利点を備えている。この利点には、資金調達力とか規制要件をみたすことや、生産・販売することの専門知識も含まれる。一方、小規模のバイオテクノロジー関連企業は、新製品や新規なアイデアの開発を得意としている。その特長とする所は、小さなチームの一員であることを自覚し、成功に対しては大きな報酬を期待できる従業員の努力と、官僚主義を排して企業家精神に満ちた社風である。このことから多くのことが観察できる。

  1. 政府の政策は、産業界を小企業と大企業の両者が共存できる市場構造としなければならない。小企業は、自らが産業の発明者であり革新者であることを度々証明してきたが、これら発明や革新の商品化には、時として困難を経験している。

  2. 産業界では企業買収は珍しいことではない。小企業が製品を開発した場合、製造販売の専門知識と財源を持つ大企業が、この小企業を買収するのは自然である。このような企業取得と付随する資金の流入が、小企業の事業活動を推進する誘因となっている。したがって、企業買収の自由は、産業界の競争力促進に効果的である。

  3. 行政政策は、小企業又は大企業の何れにも偏向してはならないが、過剰かつ近視眼的な独占禁止政策は不適当である。産業界の発展に伴って、狭義の市場の一隅で、企業が過渡的かつ相対的な便宜を得ることは当然であろう。資金及び危険負担を最小限にとどめる方法として、共同の生産及び研究ベンチャーを振興すべきである。小企業に不利な現在の税法は、産業界に過密状態と多角的大規模製造業に対する過度の依存を引き起こす恐れがある。しかし、大企業はそのバイオテクノロジー部門を重視するとは限らない。

 知的財産権は、開拓的市場で成功する基礎的条件のひとつである。バイオテクノロジーの分野では、知的財産権を適切に定義することは注意深い考慮を要する重要課題である。研究が十分な商業価値を持つことができ、また社会に多くの利益をもたらす者が市場で報いられる様に知的財産権をきちんと定義し保護する法律的枠組み作りに挑戦すべきである。(即ち、市場は社会的利益をとり入れるようにすべきである。)

現在の行政方針

キャピタル・ゲイン税率の低減
 バイオ関連産業、なかでも小企業に対する主要な支援は、キャピタル・ゲイン税率の低減を議会で可決することであろう。草創期にあるバイオ関連企業への投資家は、長期にわたって資金を寝かせておかねばならない。政府提案のキャピタル・ゲイン税率低減法案を議会が可決すれば、新しいバイオ関連事業への投資額が相当に増大するであろう。大企業も、一般的には個人投資家や普通株式への依存度が低いが、キャピタル・ゲイン税率低減の恩恵を受けるであろう。

知的財産権の適正な保護
 合衆国特許商標庁では従来から引き続き改革を行ってきたが、諸外国では、保護を付与するための、及び、権利を行使するための手続を含めて、知的財産権に関する法令の改正が明らかに必要である。行政当局は、多角的貿易交渉(GATT)のウルグアイラウンドで、知的財産権の保護を最優先課題として取り組んでいる。

競争力諮聞会議の具体約政策

稀用薬法の改正
 1983年の稀用薬法は、罹患者20万人以下の疾病用新薬を開発する企業に、一定の便益を供与しており、最大の便益は7年間の独占販売権である。当該薬事法が稀病治療の新薬開発に多大の貢献をもたらしていること、またこのような便益供与がなければ、稀病治療の薬剤は十分に開発されなかったであろうということは、広く一般に認めるところである。1990年11月末現在で、416種の製薬が稀用薬法の指定を受け、47種の製薬が53種類の有効性を認められている。

 議会における当薬事法改正の最近の動きに対して、競争力諮問会議は1990年春に以下の4原則を全会一致で承認した。

  1. 稀用薬法は、稀有な疾病及び症候用治療薬の研究開発を促進する有効な方法であり、基本的に変更すべきではない。

  2. 最近の議会提案は、同法の施行又は有効性を改善するものではない、と当諮問会議は判断する。

  3. 当諮問会議は、同法に基づき授与された権利を、遡及して無効にしようとする如何なる方策にも強く反対する。

  4. 当諮問会議は、食品医薬品局が同法の適用対象を継続して選別し、特別条項を罹患者20万人以下の治療薬開発に制限することを要請する。

 第101議会は閉会間際に1990年修正稀用薬法案H.R.4639を可決したが、ふたつの主要修正事項が稀用薬法の市場独占条項に好ましくない影響を与えるため、ブッシュ大統領は当諮問会議の4原則に従って、同修正法の承認を保留した。

勧 告
3-1 稀病治療用新薬開発に対する経済的優遇措置を排除しようとする稀用薬法の基本的修正に対して行政当局は継続して反対すべきである。食品医薬品局は、同法において用いられる「稀病」の定義に対する関心に対処する行政的提案を立案し、同法が稀病薬以外の治療は対象としないようにすべきである。

バイオテクノロジーにおける知的財産権の確保−特許権保護の改善
 バイオテクノロジーの分野では(技術)革新に関する知的財産権が不確実なことが、産業の発展を阻害している。特許権保護の改善方法として、合衆国法令の修正が提起されており、新規な素材を既知の化学プロセスと組み合わせて使用することは、製法特許にならないとした判例(In re Durden1)を覆す法案が、議会に上程されている。当該判例をバイオテクノロジーの分野に適用すると、製法特許でのみ保護できる(技術)革新の保護を否定することになる。同判例が覆され、このような製法にも特許権が認められれば、特許権所有者は、特許になっているバイオテクノロジーの素材を用いて製造した製品の輸入を阻止できる。

 Bourcher下院議員は、この目的を明確にする法案H.R.5664を第101議会に提出し、また行政当局は、同法案の支持を表明した。

勧 告
3-2 行政府は、バイオテクノロジーの分野等で、製法特許によってのみ保護可能な製品については必要な製法特許保護を行う法律の通過を支持すべきである。

バイオテクノロジー作業部会による追加的改善構想

差別的税制−バイオテクノロジー関連小企業の問題
 1986年の税制改革法では、ふたつの重要条項が、小規模なベンチャー・ビジネスに不利益な扱いになっている。受動的損失に関する新しい規則と、キャピタル・ゲイン税率の平均実績値への引き上げである。これらの修正条項は、特にバイオ関連企業を含む、技術集約型新規事業全体に否定的影響を与えた。行政当局のキャピタル・ゲイン税率低減案は、バイオ関連産業に多大の恩恵を与えるばかりでなく、技術集約型産業全体に対して、産業振興を目指した税制改正の検討を示唆するものである。以下の項目が例としてあげられる。

勧 告
3-3 バイオテクノロジー作業部会は、バイオテクノロジーに影響を与える税制問題を引き続き検討し、成長と革新を妨げる障害を除去する必要性と、税務政策のその他の諸目的とを協調させる方法を提言すべきである。



1 763F. 2d 1406(1985)

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