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III. 実質的同等の適用法を示すケーススタディ

  本章に述べたケーススタディは、バイオテクノロジーを手段として作られた新しい製品または食品成分の安全性評価への実質的同等の適用法を説明することを主な目的として選択されたものである。これらは実際の評価や規制審査ではなく、選ばれた食品または食品製品の安全性に関する注釈と解すべきではない。これらは、各例に示された専門家個人によって作成されたものである。食品の安全性とバイオテクノロジーに関する作業部会は各例を検討し、加盟国当局もそれらに関してコメントすることができたが、各例の結論についてのコンセンサス作りはおこなわれていない。

  これらのケーススタディのコンセプトと原理は、食品の安全性だけを論じたものである。環境問題は、食品の安全性とバイオテクノロジーに関する作業部会の任務の範囲外にあるため、ここでは検討されていない。

  ケーススタディで数値が提示されている場合、例えば、新製品と伝統的製品の成分比などが掲載されている場合には、その数値は発表されている出所から取った。これらの研究の一環として新しく化学的分析は行っていない。このような数値はできる限り、同じあるいは同様の手法を用いて出し、摂取した生物の一部に関するものである。

例に示した情報の概略

例は以下の一般的な概略にしたがって作成された:

  1. 検討するコンセプトの要点
    1. 連続体(幅、つながり)のコンセプト
      例えば、レアオイルの用途を(マーガリン、ショートニング、サラダ油および植物油)の伝統的な用途から離乳食に拡大すること

    2. 一時的な留意点
      例えば、1970年代および1980年代における伝統的ななたね油あるいはレアオイルのエルカ酸含有量は、今日の伝統的な栽培品種のなたねに比較して数値が高い

    3. 以下は害を生じないという“合理的確実性”のコンセプト
      a. 意図する用途、および
      b. 予想される摂取条件

      例えば、評価した証拠に基づき、レアオイルは伝統的使用法に関して予想される最高の摂取条件で(すなわち、20-30才の男性)、他の植物油と同じ行動をすることに“合理的確実性”が存在する。しかし、これは離乳食については適用されなかった。

    4. 実質的同等のコンセプト
      例えば、レアオイルを伝統的ななたね油やその他の一般に摂取されている植物油と比較してみると、懸念材料であるエルカ酸が低レベルであることを除くと、同一の基本成分によって構成されていることが明らかになった。

    5. 変異性のコンセプト
      例えば、アルカロイド・トマチンの濃度は、熟したトマトよりも未熟なトマトのほうがはるかに高い

    6. 逐次評価(本質的同等の確立に続いて、評価を行うもの)

    7. 実質的同等の判定におけるマーカー遺伝子の評価
      例えば、Tn5由来のカナマイシン抵抗性は、現在医療分野で利用されているカナマイシンに対する有効性なない。

  2. 生物/製品
    消費者の摂取する生物/製品は何か?

  3. 伝統的製品の評価
    手法/留意点/結果

    この生物/製品は伝統的にどんな評価をうけているか?例えば、トマトの場合、新種が開発されると、植物育種家によって評価されるが、マイコプロテインには、伝統的な評価の手順がないかもしれない。トマトを評価する場合、あるいはいくらか懸念がある場合には、有毒化合物のトマチンが検討される可能性がある。この評価の結果は、通常トマチンのレベルは問題にはならないかもしれないが、問題になるケースもあるだろう。(状況を記載する)

  4. 伝統的評価に利用できるデータベース
    あなたの国/部門にはこの製品の評価に有用な情報を持つデータベースがあるだろうか?(例えば、デンマークの国立農産品品質管理協会の開発した食料製品の汚染物質のためのデータベース[COBA])

  5. 新規の成分/製品(特性と原産地を含む)
    この製品がなぜ新規の製品と考えられるのか?例えば、ジャガイモは、これまでに食品として摂取したことがない虫害抵抗の遺伝子を含んでいる可能性があり、あるいはマイコプロテインはこれまで食品として考えられたことがないかもしれない。

  6. 新規食品として追加の評価の手順
    追加の手順あるいは評価が行われているか、あるいは新規食品には通常の評価の手順で十分か?

  7. 評価の手順の理論的根拠
    評価の手順の理由について簡単に記載

  8. 作成者の名前と住所

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