次へ

エグゼクティブ・サマリー

 本プロジェクトは、バイオテクノロジーの新しい分子技術を用いて、主として根粒菌について開発されたバイオ・ファティライザーに対する検査の拡大、およびその使用に関連した環境に対する安全性の問題を取り扱う原則、およびその実施規範を明らかにするものである。一般的な問題は、根粒菌 (Rhizobium) についての経験や知識に基づき引き起こされたことに留意すべきである。
 ファミリアリティーの概念は、1993年6月に発行された「序章」(バイオテクノロジーにより開発された生物の増加に伴う環境に対する安全性に関する科学的問題についての報告の「序章」)で定義されたように、リスク/安全性の分析やリスク・マネジメントについての必要不可欠な側面を有するものである。バイオ・ファティライザーの増加および使用に関する理論上の枠組み内において、ファミリアリティーの概念は検討中のシステムのあらゆる要素や段階において適用可能である。本「序章」文書は、現報告書を含み、安全性およびスケール・アップについて、その後のプロジェクト毎に再度作成される。
 ファミリアリティーは、新しい分子技術による遺伝子改変体を含むバイオ・ファティライザーに対するリスク/安全性の分析で用いられた知識および経験であり、潜在的な悪影響の同定(ハザードの同定)、リスク・レベルの指定(リスク・アセスメント)、およびそれを管理する適切な方法の提示(リスク・マネジメント)を実施する手順の一部である。
 バイオ・ファティライザーの新しい遺伝形質が与えるほとんどの影響は、小規模フィールド試験の間に判明できるであろう。ただし、規模に依存する安全性効果などの幾つかの課題は、スケール・アップによってのみ明らかにされるであろう。
 潜在的悪影響は、特殊な環境や関連リスクの分析の際に発生した新しい菌株の生物学的特性を基にして同定される。この悪影響は、一部他の生物や環境(ファミリアリティー)について入手可能な情報や、関連する微生物や特殊な環境についての調査に基づいて明らかになる場合もあろう。
 数件のケース・スタディや、他の関連情報を分析して得た科学的原則は、バイオ・ファティライザーの検査および使用の拡大に対する安全性評価のための枠組みを与えるものである。

次へ