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第5項 ウイルス感染に対するCP遺伝子が媒介するウイルス耐性の潜在的な効果に関連した問題

 コートタンパク質(CP)遺伝子媒介の耐性を利用している50以上のウイルス耐性植物がデータを取るために世界的に実地試験されているが、これらのうち限られた数のものだけが数年のうちに商品化を達成できそうである。OECD加入国で数年のうちの商品化について考えてもよいいくつかのウイルス耐性植物は次のとおりである。

beet necrotic yellow vein furovirus耐性の砂糖大根
tomato mosaic tobamovirus耐性のトマト
potato leaf roll luteovirus耐性のジャガイモ
potato X potexvirus耐性のジャガイモ
cucumber mosaic cucumovirus耐性のトマトとこしょうときゅうり
zucchini yellow mosaic potyvirusとwartermelon mosaic potyvirus 2とpapaya ringspot potyvirusとに耐性を持つウリ科植物
potato Y potyvirus耐性のジャガイモ
potato Y potyvirus耐性のタバコ
cucumber mosaic cucumovirus耐性のタバコ
papaya ringspot potyvirus耐性のパパイヤ

北アメリカとヨーロッパと日本では商品化されるであろうPLRV耐性のラインは耐性の表現型の源としてCPを持たない遺伝子を使用する。PLRVのCPが媒介する耐性は多くの国でも実地試験されている。

 商品化されているいくつかの植物は上記の耐性遺伝子の組み合わせを含んでいる。この文書では特に上記に挙げたウイルスに関係のある情報やデータを強調してみようとする。
 二つの植物ウイルス(や同じ植物の異なったウイルスの菌株)が同時に細胞へ感染したときに、トランスキャプシデーションと相乗作用と組み換えという3つの異なった相互作用が起こることが観察されている。めいめいのこれらの相互作用についての簡単な記述をし、コートタンパク質遺伝子媒介の耐性の使用を通してトランスジェニック植物にウイルス耐性ができるときにそれぞれがどのようにして役割を担うのかの分析をする。

A、トランスキャプシデーション
 ひとつの植物細胞が同時にウイルスの異なる二つの菌株(もしくは2つのウイルス)に感染したとき、ウイルスのひとつがもう一方のウイルスのコートタンパク質によって抱膜される可能性がある。もしもウイルスが両方のウイルスのコートタンパク質によって抱膜されるとしたら、その表現型は表現型的混合(混合抱膜)と呼ばれる。ウイルスが一方だけのコートタンパク質で包まれる場合はゲノムマスクもしくトランスキャプシデーションと呼ばれる(簡単に言うと、すべてに対する論点は同一であるため、トランスキャプシデーションとゲノムマスクという呼び名が表現型の混合現象を含んでいると想定されるだろうということである)。実地において育った植物や木は多様なウイルスに感染していることが知られている(Abdallaら(1985年)、FalkおよびBruening(1994年))が、トランスキャプシデーションはウイルスの虫伝達における実地条件において2,3の例においてしか重要であると報告されていない(Falkら,1995年)。
 トランスキャプシデーションはbarley yellow dwarf luteovirusの異なった菌株の感染において最も研究されており、そこではその現象はコートタンパク質が決定し特別なアブラムシのベクターがウイルスを伝達する実地条件において重要でありえる(Matthews,1991年)。この現象はpotyvirus (BourdinおよびLecoq(1991年)、Lecoqら(1993年))やtombusvirus (Dalmayら,1992年)でも見つかっている(また、似たような結果はnepovirusでも報告されている(Hiriart,1995年)。トランスキャプシデーションの結果である“マスク”ビリオンはほかの宿主植物に含まれるウイルスのゲノムの伝達をしようとすることに十分に機能的であったりなかったりする不適当なコートを持っている。“不適当な”コートや異型のウイルスコートはウイルス感染の後の段階では維持されない、というのもコートタンパク質サブユニットの後の生成物はゲノムの中に運び込まれたウイルスのコートタンパク質遺伝子によって管理されているからである。それゆえトランスキャプシデーションは一時的なものであり、感染しやすい宿主植物に感染しても潜在的な影響はマスクウイルスの感染の最初の段階でしか持続しない。
 いくつかの分類群について、コートタンパク質以外のタンパク質は特定の組織がうまくウイルスを伝達できるかどうかは初期に決定される。これらの分類群にはpotyvirusやcaulimovirus, waikavirusが含まれる(Murphyら,1995年)。このベクター伝達タンパク質はpotyvirusでは“ヘルパーコンポーネント”、caulimovirusでは“アブラムシヘルパー伝達因子”と呼ばれている(Murphyら,1995年)。適切なベクター伝達タンパク質が存在し機能しない限り、ベクター伝達可能な菌株からのコートタンパク質と一緒に集められたトランスキャプシデーションされたビリオンは“異型の”虫のベクターによって効果的に伝達されない(Bergerら(1989年)、Atreyaら,1990年)。それに比べて、ウイルスのコートタンパク質はgeminivirusやcucumovirus対する虫伝達についての明らかな初期決定要素である(Matthews,1991年)。菌類により伝達されるfurovirusとアブラムシにより伝達されるluteovirusにおいて、ベクター伝達タンパク質はコートタンパク質末端のコドンの読み通しによって合成される(Zaccomerら,1995年; Schmittら,1992年; Wangら,1995年)。rice tungro waikavirusはrice tungro bacilliform badnavirusのアブラムシ伝達を要求し、そしておそらくはアブラムシ伝達タンパク質をコードする(Dauguptaら,1991年)。いくつかの分類群において、ベクタータンパク質含まれるタンパク質の性質についてはまだ知られていることはほとんどない。
 トランスジェニック植物におけるトランスキャプシデーションの潜在的な事実について可能性と意義を考えるときに次の二つの論点が重要になってくる。上記に言明したように、もしも耐性植物がコートタンパク質を作らなかったりウイルスの集団の中で機能しないコートタンパク質を作ったりする遺伝子を組み込まれた場合、次のようなこれらの論点については論じる必要はない。

  1. マスクウイルスを作り出すためにトランスジェニック植物により作り出されるコートタンパク質は十分な量があるのか。トランスジェニックされていない植物でウイルスが見つかる同じもしくは異なった組織の中でもコートタンパク質は見つかるのか。
  2. マスクウイルスが作られたとしたら、新しい生物学的特質(ベクター伝達や宿主領域)を持ったり、トランスキャプシデーションのどんな影響も予測できたり意義のあるものだったりするのだろうか。

 すべての分類学上のタイプの植物ウイルスによる複合感染が自然においては常識であるので(ZinkおよびDuffus(1972年)、DavisおよびMizuki(1987年)、Duffus,1963年)、植物ウイルスの間で自然に起こる異型のトランスキャプシデーションの相互作用の例についてまだ認識されていないことは数多くあるであろう。しかしながらこれまでの研究は異型のトランスキャプシデーションの相互作用がほとんどの複合感染の中で特定の感染でのみ起こるということを示している。トランスキャプシデーションが起こる従来のものとトランスジェニックウイルス耐性植物の両方についての証拠がある(Rochow(1972年)、Matthews(1991年)、Farnelliら(1992年)、Osbournら(1990年)、Dalmayら(1992年)、HoltおよびBeachy(1992年)、Lecoqら(1993年)、Maissら(1994年)、CandelierおよびHull(1993年))。
 トランスジェニックウイルス耐性植物の商品化が差し迫るとともに、ウイルスコートタンパク質発現トランスジェニック作物の使用が異型のトランスキャプシデーションの相互作用が起こる可能性が増加するかどうかや、もし可能性が増加するなら重大なリスクが生じるのかどうかということが重要な考察となってくる。科学者たちがトランスジェニックウイルス耐性植物における潜在的なトランスキャプシデーションの頻度を算定しようとするための方法のひとつは、似ているが感染しやすくトランスジェニックでない植物でのコートタンパク質の量とトランスジェニック植物に組み込まれたコートタンパク質の量とを比較することである(上記の論点1)。同じくらいであるかそれ以下であるコートタンパク質の量はトランスキャプシデーションの頻度が自然に起こる複合感染において起こる頻度と同じくらいであるか減少するかということの予測へとつながる。
 二つ目の考察はトランスジェニックでない植物の中でウイルスが普通に感染する同じ組織においてトランスジーンコートタンパク質が合成されるかということである。もしコートタンパク質合成が同じ組織の中で起こるとしても、ほかの植物組織へと制限される別のウイルスとの新しい相互作用が起こることはない。もしも植物が感染しやすい関係のあるウイルスによって感染したら、トランスジェニック作物の中に検出されるトランスジーンコートタンパク質の量は増加するかもしれない(Farnelliら(1992年))。検出できるコートタンパク質トランスジーンの増加はトランスジーンmRNAでのコートタンパク質の増加というよりもむしろマスクウイルス粒子でのコートタンパク質の安定の結果であろう。トランスジェニック植物が実地条件においていつもどおりに感染する一般的なウイルスを接種したときにトランスジェニック植物の中で検出されるコートタンパク質トランスジーンとmRNAの量の測定は慎重である。
 OECD加入国でこれらの考察が規定する評価の過程に入っていく例の一つにAsgrow Seed Compan’s ZW20かぼちゃがあり、このかぼちゃはそれぞれのコートタンパク質遺伝子の発現によりzucchini yellow mosaic potyvirus (ZYMV)とwatermelon mosaic potyvirus 2 (WMV2)に対する耐性が組み込まれている。ZW20の再検査は合衆国によって行われた。この統一見解の文書を準備したときは、これだけがOECDの加入国で植物の農業的な使用に必要な検査を完了させたウイルス耐性植物であった。ZW20植物の検査では、一致するウイルスが通常検出される同じ植物組織においてコートタンパク質が発現するということと、ZW20植物の中でつくられるコートタンパク質の量は自然に感染した植物の中での量と比べて同等もしくはそれ以下であるということが結論付けられた。ZW20の中でトランスジーンRNA濃度は増加していなかったが、検出されたトランスジーンコートタンパク質の量はpapaya ringspot potyvirus (PRSV)に感染した後に増加していた。PRSVに感染したZW20の中で検出されたトランスジーンコートタンパク質の量はPRSVに感染したかぼちゃの中で見つかった量よりも少なかった。きゅうりのキュウリモザイクウイルスやZYMV、WMV2に対して耐性を持つAsgrowの次のかぼちゃのライン(CZW-3)の検査では、トランスジェニック植物をPRSVで対抗するときにトランスジーンの増加はまったく見られなかった。
 異型のトランスキャプシデーションがウイルスのコートタンパク質を発現するトランスジェニック植物で起こることは証明されてきた(Osbournら(1990年)、Dalmayら(1992年)、HoltおよびBeachy(1992年))。Lecoqら(1993年)はアブラムシ伝達可能な菌株からのコートタンパク質遺伝子を発現する植物がアブラムシ伝達でない菌株(アブラムシ伝達因子でないことタンパク質の中で不完全である)で対抗するとき、異型のアブラムシ伝達の菌株が見つかることを証明した。別の大切の疑問はトランスキャプシデーションはより間接的に関係のあるウイルスとでも起こるのかということである。Candelier-HarveyおよびHull(1993年)はアルファルファのアルファルファモザイクウイルス(ALMV)のコートタンパク質を発現する植物がきゅうりのキュウリモザイクウイルス(どちらもBromoviridaeの仲間)に感染したとき、CMVのゲノムはALMVを含む粒子に抱膜される。ALMVは虫ベクターが知られていないため、ベクターの特質の変化を評価することはできない。もし実地におけるウイルス感染の結果としてこれらの植物で異型トランスキャプシデーションが起こるとしたら、少なくとも2つの重大な結果が考えられると思われる。一つ目はトランスジェニック作物における異型トランスキャプシデーションは新しい子ビリオン(異型トランスキャプシデーションの結果として生み出されたもの)のベクター伝達を作り変え促進するということである。二つ目は(異型トランスキャプシデーション相互作用の結果生じたのではない)“普通の”ウイルスが容易に組織的に移動することのできない植物種に作物が属しているときにトランスジェニック作物における異型トランスキャプシデーションが生じた子ビリオンのトランスジェニック作物への組織的な移動を促進するということである。もしも一つ目のシナリオが起こり、ウイルスがトランスジェニック作物との異型トランスキャプシデーション経由でベクター伝達を得たのなら、新しい病気の発達の可能性はトランスジェニック作物やそのほかの作物においてより大きくなるのだろうか。耕作の状況や地理的な場所、ベクターのタイプやその存在量、局所的な作物やそのほかの因子は国によって大きく異なるため、すべての場合に対する答えを予測することは不可能である(Falkら(1995年))。そこでこれらのシナリオについてそれぞれに論じてみる。

 シナリオ1A、トランスジェニック作物における変化したベクター伝達と病気の発達。もしも植物ウイルスのベクター伝達がコートタンパク質を発現するトランスジェニック作物の感染の結果としての異型トランスキャプシデーション相互作用結果として変化され促進されるとしたら、このことがトランスジェニック作物でのさらなるウイルス拡散と病気の発達の原因となるのかどうかは知られていない。このシナリオでは異型トランスキャプシデーションとしての新しいトランスジェニック作物へのどんなウイルス拡散もコートタンパク質発現トランスジェニック作物から得られるコートタンパク質を含んでいるとする。もしもこれらのマスクウイルスが同じ場所での別のコートタンパク質発現トランスジェニック作物へと跡でベクター伝達されるとしたら(二次拡散)、そのような植物に果たして感染できるだろうか、できないだろうか。ある実験においてOsbournら(1990年)は抱膜されていないRNAとして存在するTMVの菌株(DT1)(この菌株のコートたんぱく質は不安定である)を使い、U1菌株から得られる機能的なコートタンパク質を発現するトランスジェニックタバコに挑戦した。この実験でU1コートタンパク質を発現するトランスジェニックタバコにマスクビリオンが摂取されるとき、このタバコは感染に対して耐性を持った。またコントロールとしてのトランスジェニックでない植物は予想された症状を示した。このことはその植物がマスクビリオンに対して耐性を持っている場合、マスクビリオンの二次拡散が起こりそうにないという考えを立証した。
 トランスキャプシデーションは研究室の条件下では検出されるが、自然の条件下での実地試験は異型トランスキャプシデーションされたビリオンの二次拡散がありえそうかどうかをはっきりさせるだろう。トランスキャプシデーションの潜在的で生物学的影響を決定するための長年続いている実験の一部として、Dr. Gonsalvesとその共同研究者は実地条件におけるトランスキャプシデーションの生物学的影響があるかどうかを決定しようとしてきた(Gonsalvesら(1994年)、FuchsおよびGonsalves(1995年))。そこでは、高いアブラムシ伝達性のCMVの菌株やWL菌株からのコートタンパク質を発現するメロンやかぼちゃやウリ科の植物を育てた(そのコートプロテインはキュウリウイルスにおけるアブラムシ伝達の唯一の決定要素として知られている)。使用される植物のラインによって、発現するコートタンパク質トランスジーンは比較的高い濃度や低い濃度になったりする。1993年と1994年の生長期にこれらの植物は実地で育ち、アブラムシ伝達ではないCMVの菌株(菌株C)を摂取させようとしてみた。研究者たちはトランスキャプシデーションされたアブラムシ伝達されるCMVに対し、摂取させたトランスジェニック植物と摂取されていない健康なコントロール作物を見た。このトランスキャプシデーションされたCMVは菌株CからRNA入っており、植物のトランスジーンから得られたWL菌株からのコートタンパク質で抱膜されている。これまでのところ、摂取されたトランスジェニック作物から健康な形質転換されていない作物へのCMV Cの拡散は検出されていない〔似たような症状は1995年からの実地試験で明らかに現れている(Fuchs、非公式データ)〕。これらの実験は植物がいつもどおりに生長し、アブラムシベクターが豊富に存在し、CMVがこれらの作物に対して深刻な問題になっている場所において行われている。そのほかのウイルス作物のシステムを使った更なる研究はそのほかのウイルス作物のシステムと環境条件における(シナリオ1Aにたいする)これらの発見を確かめようとするのに役立つ。

 シナリオ1B、そのほかの作物におけるにおける変化したベクター伝達と病気の発達。もしも異型トランスキャプシデーションがコートタンパク質発現トランスジェニック作物において起こるとしたら、結果として生じるマスクビリオンがトランスジェニックでない別の植物や作物に対する“新しい”ベクターによって伝達されるということもまた可能である。このシナリオではトランスジェニック作物が(異型トランスキャプシデーションされたウイルスについての)“新しい”ウイルス供給体として供給をし、新たな植物へとウイルスを拡散するとしてみよう。しかしながら異型トランスキャプシデーションされたウイルスの第2の作物への拡散は最初の拡散、つまりトランスキャプシデーションが異なる植物種に行われるトランスジェニック作物からの拡散だけである。いったんこのトランスキャプシデーションされたキメラビリオンが新しいトランスジェニックでない宿主に感染すると、これらの植物における唯一のキャプシドタンパク質の源がすでにビリオン自身のゲノムであるので、ウイルスの核酸によって決定された表現型に再びとどまる。トランスジェニックでない植物の集団を通した二次的な拡散を行うこれらのウイルスにとって、それらはそれらのオリジナルのベクターによって拡散されなくてはならず、それが存在したりしなかったりしている(Falkら(1995年))。どんな最初の拡散の潜在的な影響に対する配慮とともに、多くの植物ウイルス、特に1年生の作物の植物ウイルスにとって、ウイルス拡散の最も共通した経済的に重要なかたちは二次拡散である (Simons(1959年)、Alderz(1978年)) 。最初の拡散は数少ない限られた数の植物でしか一般的に起こらず、ほとんどの場合経済的に重要な損失にはならない。それに比べて二次拡散はすばやく起こり、最初の初期感染する植物から数多くの健康を保っている植物への拡散を含んでいる (Matthews(1991年)) 。そこで、もし上記の例においてトランスジェニック作物がトランスキャプシデーションされたキメラビリオンの初期拡散の源として働くとしたら、初期拡散からの病気とウイルスの発生は限られた範囲に収まるだろう。トランスジェニックでない植物での二次拡散は野生型ウイルスの天然のベクターがすでに存在していた場合においてのみ起こる。しかしながら野生型ウイルスの天然のベクターがすでに存在していた場合は二次拡散と同様に初期拡散に対しても天然のベクターが供給でき、どちらの拡散でも野生型ウイルスが拡散できる(Falkら(1995年))。もちろんこのシナリオの場合もウイルス拡散の疫学を扱っており、場合ごとに検査が必要であるウイルスやベクター、局所的な特別の条件に大きく左右される。

 シナリオ2、トランスジェニック作物への新しい組織的な拡散に起因する病気の発達。最初の感染部分から植物のいたるところへのウイルスの移動は組織的拡散と呼ばれ、ひとつ以上のウイルス遺伝子の発現(専用の移動タンパク質やコートタンパク質やウイルスタンパク質)と許容できる宿主植物とを要求する(Hull(1989年)、Maule(1991年)、Dawsonら(1988年)、Marchouxら(1993年)、Dolja(1995年)、Croninら(1995年)、Valkonenおよび(Somersalo(1995年))。これらのウイルスの最初の感染部分から動けない場合、これらの感染は潜在的といわれる。限られた場合において、宿主種の潜在的な感染の原因となるウイルスは第二のウイルスによって宿主が感染したときもはやそれ以上は制限されない。これらの数多くの研究(AtebekovおよびTalinsky(1990年))においてこの補助的で独立的な移動に対して単独でその能力があるのかどうかについては決定できていないが、与えられた移動タンパク質が描写されていないウイルスの分類群について、コートタンパク質が動作の初期の決定要素であるという考察が特筆されている。もしトランスジェニック作物の中で発現するコートタンパク質が潜在的な感染の原因となるウイルスの動きを促進するとしたら、コートタンパク質がめったにもしくは決して受容体宿主植物に感染しないウイルスからのものである限りこのことは重大な関連ごとである。また、もしもコートタンパク質が受容体宿主植物に広く流布するウイルス由来のものだったとしたら、潜在的に感染するウイルスとの新しい相互作用は存在しないだろう。このシチュエーションは後数年の間に商品化されると思われるトランスジェニック作物については事実である(第5項を見よ)。このことはウイルスと同じ細胞の中でトランスジーンが発現することを想定している。このタイプの相互作用が更なる検査を必要としているいくつかのシチュエーションがある。

  1. トランスジーンを供給するウイルスは多くの土地で広く分布しているかもしれないが、異なった土地では異なった菌株が存在しているかもしれない。トランスジーンコートたんぱく質の生物学的特性が別の土地に存在しているウイルスの菌株の特性と同一であるかどうかは検査の必要がある。
  2. コートタンパク質トランスジーンを供給するウイルスがある土地に存在していないとしたら、トランスジーンコートタンパク質と潜在的な感染の原因となるウイルスとの間に新しい相互作用があるかもしれない。しかしながら、ウイルスが経済的に重要な病原体ではないウイルス耐性植物を立証するように国の取り締まり機関が要求することは想像できないわけではないがありえそうもない。
  3. もしもトランスジーンコートタンパク質を供給するウイルスがその土地には存在しているが、普段は受容体トランスジェニック植物の種とは異なった植物の種に見つかるとしたら、トランスジーンコートタンパク質と潜在的な感染をするウイルスとの間の新しい相互作用があるかもしれない。

 すべての場合において、もしも受容体宿主の潜在的な感染の原因となるウイルスが知られているとしたら、コートタンパク質が組織的な動作を促進するどうかを決定するために容易に行われる試験を導き出すことができる。トランスジェニック植物におけるウイルスの移動が重大な病気の減少につながるかどうかはそれぞれの土地におけるウイルスや植物や環境的条件に左右されるだろう。またウイルスがトランスジェニック植物から動くかどうかはその伝達の様式、特にウイルスのベクターが存在しているかどうかとトランスジェニック植物に与えるかどうかに左右される。
 非定型トランスキャプシデーションの潜在的なこうかに関する役立つ実験のすべてが完了したわけではないが、2つのOECD加入国が提出したレポートは非定型トランスキャプシデーションにより引き起こされる可能性のある損失関連についてある結論に達した。これら2つの国で達した結論とはすべての加入国で必ずしも適用されるわけではない。“Risks to the Agricultural Environment Associated with Current Strategies to Develop Virus Tolerant Plant Using Genetic Modification”と題された英国農林水産大臣へのレポートの中でHenryら(1995年)は“トランスキャプシデーションは有限の単転写、つまりトランスキャプシデーションされたゲノムがいったん新しい宿主に導入されると自身のコートタンパク質を使用する状態に戻るため、トランスキャプシデーションは問題ではない、というのが一般的な見解である”と言明している。合衆国の農務省に対してAmerican Institute of Biological Sciences (AIBS)によって用意されたウイルス耐性についての研究会のレポートにおいて“感染するウイルスのゲノムは修飾されていないので、トランスジェニック作物によって作られたコートたんぱく質とウイルスRNAのトランスキャプシデーションは長くは影響しない”という、似たような結論へと到達した(AIBS、(1995年))。
 要するに、ウイルスコートタンパク質遺伝子に保護された植物からのトランスキャプシデーションされたウイルスの潜在的な影響は感染しやすい作物の多様なウイルス感染による影響以上に深刻なことはないということが一般に予測できるということである。しかしながら疑問の残るあるウイルス分類群とのいくつかの場合がある。これらの潜在的な影響の多くは一般に蓄えられた研究経由やさまざまな発展の間に述べることができる。

B、相乗作用
 時折、2つのウイルスが同時に自然に植物へと感染したときにそれぞれのウイルスが単体で感染したときよりも症状が厳しくなることがある。この現象は相乗作用と呼ばれている(Matthews(1991年))。相乗作用的な感染はしばしば厳しく病気がかった売ることのできない作物を生じさせる。相乗作用は特徴が述べられ、PVXやPVYを使って最もよく研究されている。多くの相乗作用的なウイルスの組み合わせはウイルスのひとつとしてpotyvirusを含んでいる(表1を見よ、表1にはいくつかの相乗作用的相互作用を載せてあり、それらはDr.V.Vance(South Carolina大学、U.S.A)によって準備された)。〔ここでの議論は症状が大きくなる効果を持つウイルスの相互作用に限定してある。ほかの特別な相互作用、たとえばbrome mosaic bromovirusの存在下で大麦に組織的に移動するTMVの能力(HamiltonおよびNichols(1977年))などについては議論しない。〕
 耐性植物がほかの植物ウイルスに感染したとき、コートタンパク質媒介の耐性は意図的でない相乗作用的な症状の発現をするのだろうか。potyvirusコートタンパク質遺伝子は相乗作用に巻き込まれないため、トランスジェニックpotyvirus耐性植物と何かほかのウイルスの感染は相乗作用的な相互作用という結果を生じないであろう。相乗作用に含まれる特別なpotyvirusが数年のうちに確認されそうである問いことも書いておくべきである。これらの遺伝子の個性は調査中であり、研究はゲノムの5´末端上の3つの潜在的な候補遺伝子、N-プロテアーゼ、ヘルパーコンポーネント/プロテアーゼ、機能の知られていない50キロダルトンのタンパク質(Vanceら(1995年))に絞られる。〔予備の兆候とは相乗作用的な症状の原因である単独の遺伝子はPVYとpotato X potexvirusにおけるヘルパーコンポーネント−プロテアーゼ遺伝子であるということと同じ遺伝子がPVYとタバコのタバコモザイクウイルスとの間の別の相乗作用的な症状の原因であるということである(Vance、非公式のデータ)。〕
 組み換えやトランスキャプシデーションと違い、相乗作用は新しいウイルスの創造の可能性とは関係ないため、その影響はある意味経済的というより農学的である。相乗作用の可能性を見極めることはトランスジェニック作物のプラントの農業的な能力を査定することの大切な要素であり、潜在的な相乗作用は品種改良において使われる基本的な評価の間に評価されそうである。

C、組換え
 組換えとは二つの核酸の分子の間でのヌクレオチドの交換として定義される。ウイルスゲノム間での組換えは遺伝性の永続的な変化である。組換えられたウイルスのゲノムの持続性はオリジナルの宿主細胞の中で復元する能力という点の適合性や親ウイルスの存在下での復元能力、宿主への組織的拡散能力、もしくはほかの宿主植物への上手な伝達に依存している。
 組換えの割合とウイルスの組換えの検出の因子は次のものを含んでいる。それらの因子とは、配列、核酸の分子間の構造的な類似性、細胞下の部分と核酸の濃度、それに生長することができるウイルスのゲノムを形成するのに要求される組換えの回数である(Lai(1992年))。二つの普通に生じるウイルス間や選択圧が存在していない条件下において実地で育った植物の二つのウイルス菌株間での組み換えの頻度は決定されていない(Henryら(1995年))し、意味のあるように計るのは困難もしくは不可能である。組換えは進化の時間の枠を超えたウイルスの変化の重要なメカニズムとして仮定され、進化の間にもとても頻繁であっただろう(SimonおよびBujarsky(1994年)) 。最近では、多くの知られている属からのたくさんのウイルス菌株のヌクレオチド配列が公表されている。配列のデーはかなり異なっている分類群のある遺伝子は組換えによって生じたのだということを示している。そのほかの場合では、ウイルスの単独の遺伝子が明らかに異なる分類群のウイルスから得た配列を含んでいることがわかったが、一方でほかのすべての非常に関係のあるすべての菌株はこの配列を持っていなかった〔これらの出来事をすべて載せるのはこの文書の範囲外である。しかしながらいくつかの論文が読者に更なる情報を与えてくれる。(KooniaおよびDolja(1993年)、Murphyら(1995年)、Sanoら(1992年)、Edwardsら(1992年)、LeGallら(1995年)、Pappuら(1994年)、Gouldenら(1991年)、MayoおよびJolly(1991年)、Reversら(1995年)、GibbsおよびCooper(1995年)〕。たとえば農業的な耕作の実践の発達やずっと長い時間枠で組み換えが起こるなどの理由から、今のところ、これらの組み換えが起こるかどうかを決定することは不可能である。しかしながらより短い時間枠、言い換えれば科学として植物ウイルス学ができてからのウイルスゲノムの安定性についての証拠はある。第一に、TMVの生化学的特質は過去の世紀からずっと著しく安定している(FordおよびTolin(1983年)、Dawson(1992年))、第二に、DutchとWisconsin(U.S.A)は約20年におけるめいめいの国の研究室使用によりアルファルファのアルファルファモザイクウイルス菌株425の部分菌株、生化学的特性において明らかに重大な変化のない5つのアミノ酸変異へと導くいくつかのヌクレオチドの変異を得た。
 農業におけるウイルス耐性トランスジェニック作物の潜在的な使用はトランスジェニック作物が使用されるときに組換えに関する次のような疑問を強調させる。

  1. トランスジェニック作物が使用されたとき組換えの機会が増えるため自然におけるウイルスの組換えの全体の割合は増加するのだろうか。
  2. どんな因子が組換えの割合に影響を与えるのだろうか。そしてその割合は親分子の濃度に比例するのだろうか。
  3. 形成されたどんな組換え体もおそらくは親ウイルスと競って成功していくのだろうか。

 ウイルスによるダメージは作物種における損失のもっとも不変な可能性を引き起こすため、ほとんどのトランスジェニック作物は宿主細胞に規則正しく感染するウイルスからのコートタンパク質遺伝子と似たような条件で組み込まれるようである。組換えを達成したとき、これらのウイルスからの配列は受容体作物での自然な複合感染と比べて新しい組換えを発生させる可能性を引き起こしそうもなく、以下で議論されるある状態が与えられる(宿主作物に整然と感染しないウイルスからの遺伝子は時々実験的もしくは別の目的のために導入され、この中での議論が必ずしもそれらの例に適応するとは限らない。)。データを取るために実験的に処理されてきたほとんどのウイルス耐性遺伝子において目標となるウイルスに対する効果的な耐性をもたらすトランスジーンはウイルスに感染された植物に見られるレベルに比べて、とても低いレベルで普段は発現している。たとえばAsgrowのZW20かぼちゃにおいて、感染したトランスジェニックでない植物は類似するコートタンパク質により形質転換されたZW20植物の100倍の濃度のウイルスRNAを持っている。低い発現はウイルス耐性を与えるときに効果的に現れるため、科学者や栽培者が高いレベルのトランスジーン生産物が発現される新しい作物の種類を作るための強制的な理由が現れることはありえないとは言わないがほとんどないであろう。この問題についてはAIBSのレポートが次のように書き残している。それは、「組換えに対するこれらの低い発現のレベルの影響は不確かである。トランスジーンRNAの濃度が高いほど組み換えの機会が多いと仮定しても、われわれは意味のある範囲は何かを知らない。好ましくない組み換えの割合に関して何がトランスジーン転写物の濃度を高くしたり低くしたりしているのだろうか。今のところRNAやタンパク質の濃度を意味のある規則で損害の測定へと換算する方法がないため、この情報(トランスジーンRNAの濃度)は作用を調節するのに役に立たない。」(AIBS(1995年)というものである。しかしながらこれらの量的な不確かさが与えられていても、ウイルスの特性や環境、それに上述の第3項で簡単に述べた病気の圧力の評価という背景の情報のタイプは役に立つ。
 コートタンパク質に媒介される耐性の使用は組織が特別なウイルスとほかのウイルスとの新しい相互作用の可能性を開く。植物が組織的に感染する場合(たとえばウイルスがすべての細胞で見つけられたとき)、トランスジーンの細胞の位置はおそらく主要な組織ではない。それに比べて、師部に限定されたウイルスからのコートタンパク質トランスジーンを耐性に使用したとした場合、トランスジーン転写物やその遺伝子生成物と師部のない組織においてのみ複製をするそのほかのウイルスとの新しい相互作用の可能性を増加させる。これらの新しい相互作用は修正された症状、伝染するウイルスの虫伝達、トランスジェニック作物への感染するウイルスの修正された動きなどの結果を生み出す。しかしながらトランスジーンと感染するウイルスと結果として生じる組換えウイルスとの間で起こる組換えが競争的である限り、その効果はトランスジェニック作物に限定され、制限される。潜在的感染を結果として生じさせるウイルス感染がこの作物において知られているとしたら、大切なパラメーター(動き、症状、虫伝達)の点からトランスジーンとこれらのウイルスとの相互作用は実験的に評価される。
 トランスジーンmRNAと抵抗するウイルスのゲノムとの間の組換えの潜在的な頻度を実験的に見積もるためにトランスジェニック作物を使用したり、2つのウイルス(もしくは2つのウイルス菌株)間での組換えの割合を決定しようとしたりしてきた。DNAウイルス(SchoelzおよびWintermantel(1993年))やRNAウイルス(GreenおよびAllison(1994年))のどちらか一方から得られる配列を発現するトランスジェニック作物において、ウイルスのトランスジーンと不完全な対抗ウイルスとの間の組み換えは高い選択圧の下で機能的で感染できるウイルスを回復させるということがいくつかの実験で証明されている。これらの結果は不完全なウイルスが摂取されたときウイルスの配列を発現する植物においてもいつかは組換えが起こるということを立証している。この分野に対する強い興味のおかげで数年のうちに組換えに影響する因子についてのさらなる情報がよりよく理解されるであろうということが予想される。組換えを扱うすべての実験の結果は結論を引き出す前に、注意深く解釈しなくてはいけない。というのもどんな単独の実験計画もそれぞれの潜在的な環境条件とそれぞれのウイルス分類群とに焦点を当てる目標であることはなく、ある想定と状況もそれぞれの実験計画のうちだからである。これらの実験について解釈するときに考えるいくつかのポイントがある。

  1. トランスジェニック作物はウイルス感染に対して感染しやすいかそれとも耐性を持っているのか。何人かの科学者たちは組換えを研究するための実験的システムを発達させたが、そこではウイルスの配列を発現するトランスジーン作物はトランスジーンを供給するウイルスによる感染に対して感染しやすい。感染しやすいトランスジェニック作物において、感染したウイルスからのウイルスRNAの量は耐性植物における量より多く、したがってより高いRNA濃度は実験的なシステムにおいて組み換えの可能性を増加させる。すべてではないがほとんどの商品化されたコートタンパク質遺伝子を含んでいるトランスジェニック作物はトランスジーン配列を供給するウイルス(もしくは菌株)による感染に対して耐性を持ちそうである。
  2. 実験における選択圧とは何であろうか。AIBSのレポート(1995年)は次のような定義を定めた;「高い選択圧は組換えウイルスに好都合に働く条件として定義され、たとえば組み換えが起こらない限りウイルスが生長できないような状態のことである。また低い選択圧とは実験の条件下において新しい表現型が組換え体に競争的有利さを与えないような状態のことである。」意味のある比較を行うために二つのウイルス(もしくは二つの菌株)の間での組換えの割合は自然界で起こるその組換えの割合と比較しなければならないため、ウイルストランスジーンと感染ウイルスとの間での実験における選択圧のはっきりとした理解は重要である。二つのウイルス(もしくは二つの菌株)の間での自然な組換えの割合は高くも低くもなるのである。
  3. ウイルスにとっての自然な宿主において実験はできるのだろうか。もし組換えウイルスが作られたら、野生型のウイルスと競合するのだろうか。組換えの割合は宿主組織によって影響される(Lai(1992年))。宿主植物もまた感染ウイルスの突然変異の割合に影響を与える(Dawson(1992年))。Nicotiana種は研究されているウイルスの自然な宿主ではないが容易に形質転換し成長するので、ウイルス学者たちはNicotiana種を実験的な宿主としてよく使用する。ひとつの例として、カリフラワーモザイクウイルスの自然な宿主の幅はアブラナ属の仲間に限られる(Matthews(1991年))が、このウイルスにおける実験はなすかの植物において行われてきた(Takahashiら(1989年)、Baughmanら(1989年)、SchoelzおよびShepherd(1988年))しかしながら、組換えウイルスはどちらの親ウイルス(感染ウイルスやトランスジーンを得るウイルス)の自然な宿主ではない宿主植物への伝染力の増加(たとえばより厳しい症状など)が観察される。組換えウイルスが得られたら、感染ウイルスやトランスジーン配列を供給するウイルスの自然な宿主の中で競合的になるかどうかを判断することがもっとも適切である。
  4. 実験室や温室での実験と比較すると実地条件で行われる実験は追加の利益が得られるだろうか。抑制された条件下での試験に対し、実地での実験に何か論理的もしくは概念的なアドバンテージがあるのかどうかは実験による。しかしながら実地試験ではその場所の広く流布しているウイルスの菌株を含むベクターによる植物の接種や、ほかのウイルスなどを含む別の病気や害虫の存在を含む、商品化された作物に見られる自然なストレスの下で植物が育てられる。

 組換えウイルスが細胞の中で形作られる場合(トランスジェニック植物の中もしくは複合感染中のどちらかで)、その組換え体は細胞の中で複製の過程に加わったり、植物の中で組織的に移動したり、新しい病気の原因となったりするのだろうか。莫大な子供ウイルスは複製の過程の中で明らかに機能しない。多くのウイルスにおいて、そのRNAはコートタンパク質によって抱膜され、細胞内でのウイルスのRNA合成はとめられるか検出されないレベルにまで低下するかし、ウイルスやウイルスがほかの植物に伝達されるか子供たち経由で伝達されるかどうかによって、植物細胞が死んだときに退化する(Matthews(1991年))。組換え体が定着する可能性は多くの因子に左右され、その中には感染ウイルスとそのほかの自然に植物へと感染するウイルスとの競合や、選択圧に影響を与えるすべての追加因子(たとえば温度、ベクター、宿主植物など)を含んでいる。二つのウイルス間やウイルスとウイルスから得られるトランスジーンの間での組換えの結果生じた新しいウイルス病の発達の可能性を予測することは、細胞内におけるウイルスの集団生態と植物へのウイルスの動きについてのかなりのレベルの理解と、ウイルスがどのようにして病気の原因となるのかということのメカニズムについての更なる理解とを必要とする。
 組換えウイルスの形についての多くの議論や新しい菌株の検出は植物に誘導される症状やヌクレオチドの配列に関してウイルスの菌株が均一であるということに影響を与える。調査されているすべての単鎖のRNAゲノムは独特のヌクレオチドの配列としてではなく、一致する配列の周りの関係のある配列の変異体の集合物として存在していることがわかってきた。この配列の微小不均一性は自然の母体の中にいつも存在している(Hollandら(1982年)、Domingoら(1985年)、Morchら(1988年))。ウイルス配列におけるこの微小不均一性はいくつかのウイルスについて“準種”の概念へと導く(Eigen(1993年))。ウイルスのレプリカーゼにおける転写機能の欠落と細胞ごとに作られる大量のウイルスRNAという結果が考えられる。
 いくつかのウイルス(たとえば、soilborn wheat mosaic furrovirusなど)はいくつかの遺伝子の中に大きな変異を持っていることが知られている(Matthews(1991年))が、ほとんどの変異型は1つか2つのヌクレオチドの変異を持っている。変異型は症候学上の変異によっても見つけられる。タバコの木に部分的な組織障害を作り出すPVXはしばしばリングスポット的な部分障害の生産を引き起こす(Matthews(1949年))。ササゲに白い傷を作るtobacco necrosis necrovirusの菌株はしばしば赤い傷を与える原因となる(Fulton(1952年))。そのため、ウイルスのRNAの微小不均一性は多くの変質と見た目の違いがない配列の変化を結果として引き起こす。もちろん多くのウイルスは十分に異なっていて独特の個性が与えられていてよく特徴付けられた安定した菌株を持っているため、単体のウイルスには配列と植物に誘導される症状の両方で、さらなる変わりやすさが存在している。
 今のところウイルスの組換えにおいてさらなる研究が蓄えられているが、二つのOECD加入国のレポートは新しいウイルスの出現により引き起こされる潜在的な損失についてのある結論に達した。これら2つの国が到達した結論は必ずしも適用されるとは限らない。Agricultural and Agri-Food Canadaに対するレポートの中でRochonら(1995年)は“この国において新しい病気を発見して制御する今の方法がトランスジーンとそのほかのウイルスとの間の組換えの結果生じた新しいウイルスを制御するのに適しているようである。”という結論を下した。また、USDAに対するAIBSのレポート(1995年)では“トランスジェニック植物を使おうと使うまいと、新しい植物ウイルス病は発達していき注意が必要であろう。”と言明することで結論を下した。
 間違いなく多くの新しい作物は現れてくるウイルスや存在しているウイルスの新しい菌株に抵抗するように発達させていく必要があるだろう。長期にわたる農業的生産性と環境とを保護していく間、新しい変種の生物学的安全を保障するための科学的な分析の適切な利用はこれらの病気の効果的な制御となるだろう。

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