OECD加盟国は、モダンバイオテクノロジーによる農産物および工業製品の商業化およびマーケティングに向けて急速に動いている。従って、これらの国々は、不必要な貿易障害を避けるため、これらの製品を評価する法制化を調和する必要性を認識している。
1993年、「モダンバイオテクノロジーによる農産物の商業化」がOECD環境政策委員会および農業委員会の合同プロジェクトとして設けられた。このプロジェクトの目的は、モダンバイオテクノロジーによる農産物の規制監視において、特に、加盟国が安全性を保証し、監視政策をより透明化かつ効率化して貿易を促進する努力を助けることである。これらの製品の市場化に向けて影響を及ぼす規制監視に関連した国内政策を精査することを主眼としている。
このプロジェクトの第一段階は、これらの製品の規制監視に関する国内政策に焦点を合わせた調査であった。モダンバイオテクノロジーによって生産された製品についてのデータの要求ならびにデータ評価の手法についても調査された。この調査結果は、OECD環境論文集No.99モダンバイオテクノロジーによる農産物の商業化:調査結果(1995)で公表された。
続いて、バイオテクノロジーの農産物のための規制監視の様々なシステムについて認知し、理解を改善し、様々なアプローチの類似点や相違点を確認し、これらのアプローチの調和に向けたさらなる研究におけるOECDの最も適切な役割を確認することを目的とするOECDワークショップが1994年6月3日から4日、ワシントンDCで開催された。加盟16カ国、非加盟8ヶ国、ヨーロッパ委員会、いくつかの国際機関から、環境バイオセイフティ、食品の安全性、変種種子検定といった領域の約80名の専門家がワークショップに参加した。モダンバイオテクノロジーによる農産物の商業化に関するOECDワークショップの報告書が環境論文集No.107として公表された(1995)。
調和に向けた次の段階として、バイオテクノロジーにおける規制監視の調和に関する専門家グループは、加盟国間で相互に容認できるコンセンサス文書をまとめることを開始した。その目的は、加盟国間の情報交換を推進し、各国における努力の重複を防ぐために、モダンバイオテクノロジーによって開発された新しい植物種の安全性評価における一般的要素を確認することである。これらの一般的要素は、宿主種もしくは穀物および遺伝子生産物という2つの一般的なカテゴリーに分かれる。
精査において最初に選択された遺伝子生産物は、ウイルス耐性であった。専門家グループは、ウイルスのコートタンパク質遺伝子の使用によって特別に開発されたウイルス耐性作物を考慮するうえで関連する情報を確認する文書の作成をタスクグループに課した。専門家グループは、探求されるべき2つの“核”となる問題を確認した。すなわち、(1)遺伝子組換えおよびトランスエンカプシデーション(「トランスカプシデーション」とも呼ばれる)のようなメカニズムによる新ウイルスの創造、および(2)トランスジェニック植物が他の原産ウイルスに感染した際の相乗効果の可能性についてである。
最新の科学技術上の進歩を反映するために、コンセンサス文書は「モジュール方式」でまとめられた「生きた文書」となるであろう。すなわち、最初の文書で示された項目に関連して、改訂したり新しい項目を追加するという融通性をもたせることを許しうることとした。従って、コンセンサス文書の使用者は、OECD事務局にそのような関連した新しい科学情報および追加項目の提案を通知することが求められる。
本文書は、指導国である米国によって作成された。特定のリスクアセスメント作業により、あるいは国内会議および科学会議からの資料をもとに、加盟国によってまとめられた資料に基づいている。規制当局、商業用トランスジェニック植物の評価責任者、あるいは将来商業化されるトランスジェニック植物の設計および開発従事者による使用のために技術援助することを意図している。