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背景

 OECDのバイオテクノロジーにおける安全性に関する国内専門家グループ(GNE)は1990年に、バイオテクノロジーにより生産した新たな食物もしくは食物成分の安全性を評価する科学原理の詳述に特に注目して、食物安全性の研究を最優先し、早急に開始することに同意した。その結果、モダンバイオテクノロジーに関連するような、食物安全性を調査する目的の研究グループが設立された。合衆国のヤング医師は、GNE研究グループIV「食物安全性とバイオテクノロジーに関する研究グループ」の長に選ばれた。

研究グループIVの専門家は、この研究の基礎となる多数の概念、取り組むべき問題、GNEが明示する要求に対処するために使用する研究方法または過程を確認した。研究グループの調査事項はGNEが承認した。調査事項に設定される研究の範囲と目的に関するいくつかのポイントに注目すべきである。

1990年10月の設立後、研究グループの最初の主要任務は、モダンバイオテクノロジーに由来する食物の安全性評価、すなわち概念と原理に関する報告書を作成することであった。この報告書は1993年にOECDで出版され、陸生微生物、植物または動物由来の新しい食物もしくは食物成分の安全使用に焦点を絞っている。 この報告書は、新しい食物あるいは食物成分の安全性評価に関与する人による使用を目的にしている。この報告書は、安全使用の歴史を有する従来の食物との比較をベースにした、現代のバイオテクノロジーに由来する新食物または改変食物あるいは食物成分の安全性評価に対する科学的研究法を詳述している。この研究法は、実質的同等性の概念をベースにしている。研究グループは実質的同等性を、当時の食物安全性の問題を扱う最も実用的な方法であると考えた。

この研究グループの最初の報告書が完成するまでは、水生由来の生物に関する研究を延期する理由が多数存在した。長く環境に適応してきた多くの陸生動物種、植物種と対照的に、ほとんどの水生食物生物は事実上、野生生物であり、なじみが少ない。さらに、一部の水生食物生物は外部からあるいは内部から生産する毒素を含有することが知られている。これらの毒素は陸生生物が生産する毒素と異なっており、このことは、水生生物に特有の安全性考察が推測的に可能であることを示唆している。

OECDシンポジウムの議事録
ノルウェーバイオテクノロジー諮問委員会は、王立衛生社会問題省とともに、1992年6月10-12日にノルウェーのベルゲンで、水生バイオテクノロジーと食物安全性に関するシンポジウムを主催した。シンポジウムには2つの目的がある。水生バイオテクノロジーと食物安全性の現状の「スナップ写真」を作成こと、ならびに陸生生物に関連する以前の研究では扱われていないと思われる現代水生バイオテクノロジー特有の食物安全性との関係を確認することである。

13のOECD加盟国とヨーロッパ共同体委員会から37名の参加者が、ベルゲンシンポジウムに参加した。8つの科学的な発表が行われ、これらの論文から提起される問題点が長時間討論された。ノルウェーバイオテクノロジー諮問委員会は水生研究センターへの訪問を計画し、参加者は進行中の研究を学習し、サケ、オヒョウ、サバを対象とする水産養殖実験を観察した。

本資料の1部はシンポジウム中に提出された科学論文である。これら論文は、食物安全性と水生バイオテクノロジーに関連する問題点を特定している。これらの論文で表現された見解はそれぞれの著者の意見の表明であり、かならずしもOECあるいは加盟国の見解ではない。

討論と結論
シンポジウムの後、1992年6月13日に食物安全性とバイオテクノロジー研究グループの会議が行われた。この会議では、主として、シンポジウムの間に特定された主要論点が討議された。研究グループは多数の結論に到達した。論点と結論はこの資料の第II部に英語版とフランス語版で提示されている。

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