図1 気温のデータの例
(a)京都市における2013年4月4日から8日の気温.10分平均値.
(b)京都市における2013年の時刻別の平均気温(水色),日平均気温(オレンジ色),日平均気温の30年平均(赤色).
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では,そのために何を測定するべきだろうか.トランスクリプトームはもっとも魅力的な測定対象のひとつであろう.DNAマイクロアレイ法やRNA-Seq法によるトランスクリプトミクスは網羅性および定量性が高く,現状において生物システムのもっとも包括的な測定手法である.その網羅性ゆえに,トランスクリプトームのデータは直接的あるいは間接的にさまざまな生物現象の情報を内包すると期待できる.たとえば,これまでに分子生物学などにより明らかにされたさまざまな知見が遺伝子にひもづけられるかたちでデータベースに蓄積されており,それらの知見を用いることにより多様な生理状態について考察することが可能になる.また,遺伝子の発現は数分間から数時間で100倍以上も変動することがある図3 AhgFLC遺伝子の発現のパターンと気温の季節パターン
(a)2年間の
AhgFLC遺伝子の発現量と気温(兵庫県西脇市)
(b)積算温度の例.4月8日12時から過去4日間(オレンジ色の範囲)における10.5℃以下の積算温度は,赤色の領域の和になる.
[Download] [hs_figure id=3&image=/wordpress/wp-content/uploads/2014/07/Nagano-3.e009-Fig.3.png&caption=fig3-caption-text]
この研究の重要性のひとつとして強調したいのは,それが自然環境において遺伝的に不均一な複数の個体を用いて行われた点である.自然生育地では,しばしば気温以外の要因のほうがより大きく変動している.実際に,この研究に用いられたサンプルは,近傍の川の氾濫や積雪による被覆,および,乾燥ストレスにさらされていた.にもかかわらず,