図1 神経回路の修復
(a)正常な状態.
(b)病態.外傷が炎症により傷ついた神経回路を修復させることにより,後遺症の緩和が期待される.
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一方で,疾患の種類や個人差こそあるものの,人為的な介入がなくても成体の脳の神経回路が自然に修復するようすが観察された.このことから,成体の脳には神経回路の修復を促す機序も備わると推察され,その機序には,発生期と同様に,標的となるニューロンの側からの機序のほか,病態に特徴的な新生血管の寄与や,病巣において血液脳関門が破綻し血液が流入することにより脳の外部に存在する分子が脳に作用する機序のあることがわかってきた.
図2 神経回路の修復が阻害される機構
(a)脳や脊髄に存在するオリゴデンドロサイトやミエリンの断片が神経突起の再伸長を阻害する.
(b)オリゴデンドロサイトの側に発現する神経突起の伸長を阻害するタンパク質は,ニューロンの側の受容体複合体を介して,ニューロンにおいてRhoを活性化することにより神経突起の伸長を阻害する.
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図3 病巣の環境が神経回路の修復を促進する機構
神経回路の修復にさきだち,旺盛な血管の新生が観察される.血管内皮細胞が分泌するプロスタサイクリンなどのタンパク質がニューロンに作用して神経突起の伸長を促進する.
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図4 脳の外部の環境も神経回路の修復に貢献する
正常な脳は血液脳関門により外部の環境から隔離されている.ただし,病巣においては血液脳関門が破綻していることがあり,血液が脳の内部へ到達しやすい状態になっている.血液にはさまざまなホルモンが含まれており,全身のさまざまな臓器から分泌される分子が血管系を介して脳に到達すると,神経回路を修復させる作用のあることがわかってきた.
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