図1 ストレス応答性MAPキナーゼによる遺伝子の発現制御
ストレスにより活性化されたMAPキナーゼ経路は,転写や翻訳などさまざまな段階における遺伝子の発現制御に寄与する.
MAPKKK:MAPキナーゼキナーゼキナーゼ,MAPKK:MAPキナーゼキナーゼ,MAPK:MAPキナーゼ.
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酵母やヒトなどにおいてはストレス応答性遺伝子の転写の特徴として,ハウスキーピング遺伝子や増殖に関連した遺伝子と比較して,遺伝子プロモーターにTATAボックスをもつ割合が高く,転写を開始する際にヒストンアセチル化酵素を含むSAGA複合体による制御が重要であることが知られている図2 ストレス応答の際の翻訳の制御機構
(a)さまざまなストレスにより翻訳開始が抑制される.活性化したeIF2αキナーゼは開始tRNAの供給に必要なeIF2の機能を阻害する.また,4EBPはmRNAの5’側キャップ構造の認識に重要なeIF4Eを阻害する.
(b)uORFやIRESを5’側非翻訳領域に含むmRNAの翻訳は,ストレスのもとでは相対的に増加する.
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図3 低容量ストレスによる獲得耐性
(a)高容量ストレスにさらされた細胞は,細胞死をひき起こしたり増殖がいちじるしく悪化したりする.
(b)低容量ストレスにさらされた細胞には,明確な表現型が観察されない.
(c)低容量ストレス(プライミングストレス)にさらされた細胞は,それにつづく高容量ストレス(2次ストレス)に対する抵抗性を獲得し,生存率が上昇する(獲得耐性).
[Download] [hs_figure id=3&image=/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Ishikawa-3.e004-Fig.3.png&caption=fig3-caption-text]
ホルミシス(hormesis,閾下増進効果)とは,高濃度あるいは大量に用いられると有害である物質(毒物)が,低濃度あるいは微量で用いられると逆に有益に作用するといった,用量反応相関を示す現象のことをさす図4 HIR/HIRAによるクロマチンの制御機構
(a)HIR/HIRA複合体の構成タンパク質.
(b)HIR/HIRAによる遺伝子発現の制御機構.
[Download] [hs_figure id=4&image=/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Ishikawa-3.e004-Fig.4.png&caption=fig4-caption-text]
HIR/HIRAは遺伝子の発現制御にも深くかかわっている(図5 分裂酵母のSlm9およびCpc2によるストレス応答の制御機構において予想されるモデル
Slm9(HIRA)はヌクレオソーム構造の制御によりストレス応答性遺伝子の発現を促進する.Cpc2はストレス応答性MAPキナーゼであるSpc1による転写制御と,eIF2αキナーゼであるGcn2を介した翻訳制御に関与する.
P:リン酸化.
[Download] [hs_figure id=5&image=/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Ishikawa-3.e004-Fig.5.png&caption=fig5-caption-text]
熱ストレス処理した出芽酵母におけるRNAポリメラーゼを含む基本転写因子複合体のゲノムワイドな局在の解析では,すべての構成タンパク質のそろった転写開始複合体だけでなく,その一部を欠いた転写開始複合体の結合したストレス応答性の遺伝子プロモーターの存在が示されている