図1 窒素固定クレードにおける根粒共生の分布
それぞれのクレード(目)において,根粒共生の認められる割合を属レベルおよび種レベルで示した.
[Download] [hs_figure id=1&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/07/Hayashi-4.e010-Fig.1.png&caption=fig1-caption-text]
このように,根粒共生は窒素固定クレードに散見されることなどから,根粒共生は窒素固定クレードにおいて複数回にわたり独立して進化したと考えられる図2 根粒共生と菌根共生の感染の過程における相同性
(a)根粒菌による根粒共生.根粒菌は屈曲した根毛につつまれるように増殖し(マイクロコロニー),そこから宿主に由来する構造である感染糸が伸長する.根粒菌は感染糸の内部において増殖しながら感染する.感染糸の通り道は前感染糸により決定され,皮層内層において細胞分裂が開始される.
(b)アーバスキュラー菌根菌による菌根共生.外生菌糸が宿主の表皮と接触することにより付着器が形成され,そこから内生菌糸が発達する.内生菌糸の通り道は前侵入装置により決定され,皮層内層において樹枝状体の発達に必要な細胞内構造が誘導される.
[Download] [hs_figure id=2&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/07/Hayashi-4.e010-Fig.2.png&caption=fig2-caption-text]
図3 窒素固定クレードにおけるLysM型受容体キナーゼの進化
マメ亜科における全ゲノム重複により,マメ亜科にはNFR5/NFPおよびLYS11/LYR1という2種類のパラログが存在する.一方,ジャケツイバラ亜科などには遺伝子重複はみられない.マメ科の基部における2回にわたる遺伝子重複により,CERK1からNFR1/LYK3が生じた.
[Download] [hs_figure id=3&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/07/Hayashi-4.e010-Fig.3.png&caption=fig3-caption-text]
一方,Nod因子とは異なり修飾基の付加されていない短鎖キチンオリゴ糖(4〜5糖)がアーバスキュラー菌根菌の共生シグナルとして認識され共通共生経路の活性化につながるという報告もある図4 被子植物におけるNLPの進化
NLPは単子葉および真正双子葉ともNLP1〜NLP3のクレードに分類される.NLP1はさらに真正双子葉の基部においてNLP1とNINに分岐した.
[Download] [hs_figure id=4&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/07/Hayashi-4.e010-Fig.4.png&caption=fig4-caption-text]
根粒の形成(根粒菌の感染)はさらなる根粒の形成を負に制御する図5 側根,アクチノリザル植物の根粒,マメ科植物の根粒の比較
(a)側根.先端に根冠をもち,主根から中央維管束が分岐している.分裂組織がみられる.
(b)アクチノリザル植物の根粒.側根と同様に,中央維管束が形成される.分裂組織がみられる.窒素固定細菌が宿主細胞に感染する感染領域,宿主細胞に取り込まれた窒素固定細菌が共生的な窒素固定を起こす窒素固定領域,宿主細胞の窒素固定細菌が宿主により分解される老化領域に区分される.
(c)マメ科植物タルウマゴヤシの根粒.周辺維管束が形成される.分裂組織がみられる.感染領域,窒素固定領域,老化領域に区分される.マメ科植物でもミヤコグサの根粒においては,分裂組織は根粒の形成の初期に消失し,窒素固定領域のみで領域の区分がみられない.
[Download] [hs_figure id=5&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/07/Hayashi-4.e010-Fig.5.png&caption=fig5-caption-text]