図1 さまざまな生物種における概日時計
シアノバクテリアを除き,矢印およびT字はそれぞれ転写の促進および抑制を示す.シアノバクテリアにおいては,矢印は時間の進行を,Pはリン酸化を示す.
[Download] [hs_figure id=1&image=/wordpress/wp-content/uploads/2017/03/Endo-6.e001-Fig.1.png&caption=fig1-caption-text]
このように,概日時計の起源は同じではないと考えられるにもかかわらず,シアノバクテリアを除き,動物および植物を含む多くの生物においては遺伝子の発現を介した多数のフィードバックループを用いることにより概日リズムを生み出す.すなわち,時計遺伝子から産生された時計タンパク質が時間的な遅れをともない時計遺伝子の転写を制御することにより,遺伝子の発現の周期的な振動が生み出されている.こうしたことから,動物と植物の概日時計の構成因子に類似性はないが,基本的なシステムは本質的に類似するとみなされる図2 シロイヌナズナにおける多数のフィードバックループ
矢印およびT字はそれぞれ転写の促進および抑制を示す.
[Download] [hs_figure id=2&image=/wordpress/wp-content/uploads/2017/03/Endo-6.e001-Fig.2.png&caption=fig2-caption-text]
これらのフィードバックループのなかでも,とくにTOC1とLHYあるいはCCA1から構成されるフィードバックループはコアループとよばれている.シロイヌナズナでおいては,朝方に発現のピークをもつLHYおよびCCA1と夕方に発現のピークをもつTOC1とは互いに転写を抑制する関係にあり,基部陸上植物であるゼニゴケや単細胞の植物プランクトンであるプラシノ藻オストレオコッカス(図3 細胞間,組織間,器官間における概日時計の制御
1)葉の表皮あるいは葉肉においては近傍の細胞のあいだで時間情報が伝達されており,場合により時間情報は波のように伝達される.2)維管束から葉肉への一方向的な時間情報の伝達.維管束の概日時計を阻害した影響は葉肉の概日リズムに影響するが,その逆は起こらない.3)葉および茎頂から根への時間情報の伝達.維管束を介して時間情報が伝達されると考えられている.4)根から地上部への時間情報の伝達も存在すると予想されており,根でうけた浸透圧ストレスは地上部の概日時計を制御する.
[Download] [hs_figure id=3&image=/wordpress/wp-content/uploads/2017/03/Endo-6.e001-Fig.3.png&caption=fig3-caption-text]
複数の研究グループから,シロイヌナズナの葉において