図3 制御性B細胞によるインターロイキン10の産生の機構
抗原によりB細胞受容体が刺激されると,ホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)によりイノシトールトリスリン酸(IP
3)が産生され,これがイノシトールトリスリン酸受容体(IP
3受容体)と結合するとCa
2+が小胞体から細胞質へと放出される.STIMは小胞体内腔におけるCa
2+の減少を感知するとCa
2+チャネルと相互作用しCa
2+が流入する.その結果,カルシニューリンおよびNFATの活性化を介してインターロイキン10が産生され免疫反応が抑制される.また,Toll様受容体あるいはCD40の刺激によりIRF4およびBlimp1の発現が誘導され,プラズマ細胞が分化する.この際,制御性B細胞の分化も誘導されると考えられる.IRF4はインターロイキン10遺伝子の発現にも直接に関与する.
P:リン酸化.
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CD40シグナル,Toll様受容体シグナル,B細胞受容体シグナルはインターロイキン10の産生において重要であるが,厳密な意味では,制御性B細胞の分化に必要なのか,あるいは,インターロイキン10遺伝子の転写に必要なのか,わかっていない.これら以外にも,インターロイキン21受容体あるいはMHCクラスII分子を欠失したB細胞も実験的自己免疫性脳脊髄炎に対する抑制能を失うことが知られているが