2色法と1色法

■1色法
異なるターゲットを1種類の蛍光物質で標識し、 それぞれ別のプローブに対してハイブリダイズさせる方法。 Clontech社(http://www.clontech.co.jp)はこの方法を商品化している。

  長所

  • 経時変化の様な実験系に適している。
  • サンプル数が多い場合、ハイブリ処理数、データ定量化処理数が2色法に比べ抑えられる。
  • 1度のハイブリ実験でコントロールと対照区での様々な組み合わせでの比較が可能。
  短所
  • ガラス板間の違い(スポッティングエラーやガラス表面加工処理のばらつきに起因する)やハイブリダイゼーション条件の違いによる誤差が生じる。

■2色法
遺伝子発現の変化を調べる際、コントロール条件の細胞と対照条件の細胞を用意し、 それぞれ由来のmRNA(ターゲット)を異なる蛍光色素(Cy3, Cy5)で標識し、 1枚のガラス板上のプローブに競合的にハイブリダイゼーションを行う方法。

  長所

  • 1組の実験内でハイブリダイゼーションの条件が揃えられる。
  • ガラス板間でのスポッティングのエラーを排除できることである。
  • 再現性が得にくい実験系に適している。
  • スキャニングでデータをデジタル化する際に1度のスキャンではシグナルの全レンジをカバーできないスキャン方式を採用している場合に適している。
  短所
  • 実験数が多い場合、ハイブリ実験、データ解析が約2倍弱増となる
  • Cy3(ミラータイプ:アマシャム社type7)もしくはCy5(クリアガラス:アマシャム社type5、Corning社)のシグナルが得にくい。

■マイクロアレイセンターでは
これまで我々は
  • 使用システムの実験再現性の高さ
  • 64課題というプロジェクト課題数
  • 使用色素とミラータイプガラス板の特性
の点から1色法を採用してきた。
しかし現在までに、Cy3、Cy5を利用したラベリングに種々の改良がなされCy3とCy5の検出蛍光レベルの差が減少され、マイクロアレイセンターにおけるハイブリ実験、データ定量化処理の速度があがったことから、実験系に適した方法(1色法もしくは2色法)を選択し、研究を進めている。

◇関連データ◇
   Cy3とCy5の蛍光強度の違い
   直接標識法と間接標識法の違い
   トータルRNAとポリA+RNAの違い