図1 グリア細胞の種類および機能
グリア細胞には,アストロサイト,オリゴデンドロサイト,ミクログリアがある.アストロサイトおよびオリゴデンドロサイトはニューロンと同じく外胚葉に由来し,ミクログリアは中胚葉に由来する.
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図2 ミクログリアによるシナプスの機能の修飾
ミクログリアは発達期の早期においてシナプスの形成を促進し,それにより特定の神経回路の形成に作用する.さらに,シナプスを貪食することによりシナプスの除去の過程にも寄与する.また,シナプスの可塑的な変化にも関与する.
[Download] [hs_figure id=2&image=/wordpress/wp-content/uploads/2017/09/Wake-6.e007-Fig.2.png&caption=fig2-caption-text]
また,2光子顕微鏡を用いた生体イメージングにより,生体においても成熟期にミクログリアがシナプスの形成に関与することが明らかにされた.運動学習の際に大脳皮質の運動野においてシナプスの可塑的な変化,すなわち,シナプスの形成および消失が促進されることが知られている.このシナプスの形成が,ミクログリアを遺伝的に除去したマウスでは減少することが明らかにされた.さらに,ミクログリアに特異的にBDNFの発現を阻害すると,同様にシナプスの形成が阻害され運動学習が障害されたことから,ミクログリアは運動学習の際にシナプスの形成を促進することにより運動学習に必要なシナプスの可塑的な変化をひき起こすことが明らかにされた図3 ミクログリアによるシナプスの制御機構の破綻と疾患
(a)自閉症関連疾患.CX3CR1の欠損は未熟なシナプスを増加させるだけでなく,社会的な行動を阻害する.
(b)アルツハイマー型の認知機能障害.アミロイドβタンパク質のオリゴマーがC1qを活性化しC3が沈着するとC3受容体を介してこれを標的とミクログリアがシナプスを貪食する.また,TDP43の機能の破綻はミロイドβタンパク質のオリゴマーの貪食および分解を促進する一方,シナプスの貪食も促進する.
(c)全身性エリテマトーデス.I型インターフェロンシグナルの阻害により全身性エリテマトーデスのモデルマウスにおいて中枢神経の症状およびシナプスの消失が抑制される.
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Rett症候群は自閉症様の症状をきたす神経発達障害であり,X染色体にコードされる