図2 解かれるべき3つの問題
1)サッケードにより生じる網膜像のぶれの知覚の抑制,2)サッケードにより生じる情報の空白の補填,3)サッケードの前後の2枚の網膜像の統合.
[Download] [hs_figure id=2&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/09/Kitazawa-4.e012-Fig.2.png&caption=fig2-caption-text]
図3 中和説
(a)サッケード抑制の機構のない場合.右向きのサッケードが生じたとき,左向きの動きに応じるニューロン(黄色)が活動し,右向きの動きに応じるニューロン(紫色)は活動しない.この状態では,網膜像のぶれが知覚されるはずである.
(b)サッケード中に半数のニューロンの方向選択性が逆転すると仮定した場合.左向きの動きに応じるニューロン(黄色)の活動と右向きの動きに応じるニューロン(紫色)の活動は同じ強さになり,両者の活動の差分を反映する動きの知覚は中和される.
[Download] [hs_figure id=3&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/09/Kitazawa-4.e012-Fig.3.png&caption=fig3-caption-text]
図4 受容野のリマッピング
頭頂葉の外側頭頂間野や前頭葉の前頭眼野には,これから生じるサッケードのベクトルに相当する分だけ受容野が一時的に移動するニューロンが存在する.移動するさきはサッケードののちの受容野と一致するので,サッケードののちの活動の状態をサッケードのまえから予測していることになる.
[Download] [hs_figure id=4&image=/wordpress/wp-content/uploads/2015/09/Kitazawa-4.e012-Fig.4.png&caption=fig4-caption-text]
このような受容野のリマッピングは,前頭葉におけるサッケードの中枢である前頭眼野でも生じている.しかも,このリマッピングは上丘から視床を経由して前頭眼野にいたる経路を視床において遮断すると生じなくなる.つまり,上丘からの遠心性コピーが視床を経由して入力することによりリマッピングが生じるというところまでわかっている