図2 Wntの分泌経路
Wntは,小胞体においてPorcnによりパルミトイル化(脂質修飾)をうけ,Wlsに依存的に細胞外へと分泌される.
[Download] [hs_figure id=2&image=/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/Kikuchi-7.e009-Fig.2.png&caption=fig2-caption-text]
図3 R-spondin-RNF43/ZNRF3シグナルによるβカテニン経路の制御機構
(a)R-spondinなし.
(b)R-spondinあり.
RNF43/ZNRF3はFrizzledのユビキチン化と分解をひき起こし,βカテニン経路を抑制する.R-spondinがRNF43/ZNRF3およびLGR4,LGR5,LGR6と結合すると,RNF43/ZNRF3は細胞膜から除かれ,Frizzledが安定化することによりβカテニン経路が活性化する.
[Download] [hs_figure id=3&image=/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/Kikuchi-7.e009-Fig.3.png&caption=fig3-caption-text]
このように,Wntは複数の細胞内シグナル伝達機構を活性化することにより,多彩な細胞応答を制御する.したがって,Wntシグナル伝達経路に異常が生じると,がんをはじめとして種々の疾患がひき起こされる図4 がんに特異性の高い新たなWnt関連タンパク質とがんシグナル
がん化の過程においてWnt-βカテニン経路とEGF-Rasシグナルが同時協調的に活性化すると,標的になる遺伝子として低分子量Gタンパク質をコードする
Arl4c遺伝子が発現し,Arl4cは細胞運動および細胞の増殖を活性化する.一方,発現の制御機構は不明だが,がん細胞に特異的に
DKK1遺伝子および
CKAP4遺伝子が過剰に発現すると,DKK1は細胞膜受容体であるCKAP4と結合することによりPI3K-AKTシグナルを活性化し細胞の増殖を促進する.
[Download] [hs_figure id=4&image=/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/Kikuchi-7.e009-Fig.4.png&caption=fig4-caption-text]
図5 臨床試験が行われているWntシグナルを標的にした抗がん剤
阻害剤の多くはWnt関連リガンドあるいはWnt関連受容体を標的にする.いずれの阻害剤も,現在,第1相あるいは第2相の臨床試験が行われている.
[Download] [hs_figure id=5&image=/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/Kikuchi-7.e009-Fig.5.png&caption=fig5-caption-text]