6.4 安全性のための研究開発

 今後遺伝子組換え技術は、例えば環境浄化など、様々な分野に利用されるようになると考えられます(微生物を用いたバイオレメディエーション )。また、すでに利用が始まっている農作物の改良などの分野でも、例えばワクチンとして働く食品や、プラスチックの原料をつくる植物など、これまでの品種改良では対象としていなかったような、新しい機能を付け加えたものも開発されてくる可能性があります。このような新しい遺伝子組換え生物を安全に利用することができるように、安全性確保のための研究は益々重要になってくるものと考えられます。組換え作物の安全性確保のために、環境影響の可能性を最小限におさえるための技術的改良や検討が進んでいます1
このような例を以下に紹介します。
* 生物学的隔離とはbiological confinementと言う言葉を訳したものです。Confinementとは限る、囲む、制限するといった意味を持つ言葉で、biological confinementとは、生物学的な手段により遺伝子や植物体そのものが広がらないようにすることを意味しています。一方、研究室における組換えDNA実験については封じ込め(containment)という言葉が使われました。Containmentは周りを囲むこと、囲い込むこと、といった意味を持つ言葉で、confinementと共通した意味も持っていますが、confinementがある範囲に止めておくことに重点が置かれているのに対し、containmentは囲いを設けることに、より重点が置かれている言葉のようです。一般にcontainmentは施設内での作業について、confinementは施設外での作業について使用されるようです。

1:佐野浩 監修:遺伝子組換え植物の光と影II
6.5 従来農業や有機農業との共存