RNAクオリティーコントロールガイド

 

マイクロアレイ解析を希望するサンプルRNAは必ず下記の3つの方法全てでクオリティーをチェックしてください。
下記の3方法全てによるRNAクオリティーチェックが、解析申込み受理のための条件になります。
解析を希望するRNAについて、OD値データを「マイクロアレイシステム利用フォーム」に記入して"ONLINE"送付すると共に、電気泳動の写真書類をマイクロアレイセンターに送付してください。

■ 1. OD値測定(「マイクロアレイシステム利用フォーム」に記入)
「OD260/280」、「RNA濃度」の「t=」、「m=」の欄に数値を記入してください。「t=」はトータルRNA用の欄、「m=」はmRNA用の欄であることを示しています。例えば、1色法でtotal RNAを使用する場合は、「m=」の欄には記入しなくて結構です。 また、1色法でmRNAを使用する場合と、2色法の場合(mRNAのみ受付)は、「t=」にも「m=」にも、これら両方に全て記入してください。

■ 2. total RNAの電気泳動によるチェック(別式1.A4サイズ1枚)
アレイ解析希望のサンプルRNA全てについて10μg程度のトータルRNAを使用し、1.1%ホルムアルデヒドを含むアガロースゲルで電気泳動を行い、その写真を撮ってください。 この写真を「total RNA QC」(別式1.A4サイズ1枚:RMOSからダウンロード後、プリントアウトしたものに張り付けて送付してください。この際、写真内の各レーンのRNAが、どのサンプルRNAに対応するのか(つまり、どのレーンのRNAが、「マイクロアレイシステム利用フォーム」に記した どのRNAサンプル=どの「Tubeラベル」と対応するのか、が判るように明記してください。

■ 3. RT-PCRによるチェック(別式2 A4サイズ1枚)
対照区RNAサンプルと、それに対して比較したいRNAサンプル、の全サンプルにおいて共通して発現している遺伝子(1種類)を用いて逆転写を行い、電気泳動で確認し、その写真を「RT-PCR QC」(別式2.A4サイズ1枚)をダウンロード、プリントアウトし、張り付けて郵送してください。この際どのような遺伝子を使用して、チェックを行ったか明記してください。 この3.の目的に適した遺伝子を見つけるためには、恒常的に発現していると考えられる遺伝子(house-keeping genes等)の中からいくつか候補を選び、実際にRT-PCRで確認することによって、最適と思われる遺伝子を選ぶことになります。 また、或る実験で3. の目的に利用できた遺伝子が、他の実験でも同様に3. の目的で利用できるとは限りません。

※注意)通常のマイクロアレイ実験に使用するために十分なRNA量が得られない場合に、そのRNAをマイクロアレイ実験に使用できる量まで人工的に増幅させる必要があります。RNA増幅方法に関しては以下の論文等を参照してください。

 

北原治・中村祐輔  クローズアップ実験法 Series92 微量検体からのRNAの増幅な らびにプローブDNAの調製 実験医学 Vol. 19 No. 4 (2001年3月号) p. 487-493

林崎良英/監修  岡崎康司/編集  必ずデータが出る DNAマイクロアレイ実戦 マニュアル (羊土社)2000年 p. 80-90 (単行本)

Sergey Ivashuta, Kazuhiro Uchiyama, Mitsuru Gau and Yoshiya Shimamoto Linear amplification coupled with controlled extension as a means of probe amplification in a cDNA array and gene expression analysis during cold acclimation in alfalfa (Medicago sativa L.) Journal of Experimental Botany, Vol. 53, No. 367, p. 351-359, February 1, 2002

Magnus Hertzberg, Maria Sievertzon, Henrik Aspeborg, Peter Nilsson, Goran Sandberg, Joakim Lundeberg cDNA microarray analysis of small plant tissue samples using a cDNA tag target amplification protocol. The Plant Journal Volume 25, Issue 5, p.585-591, March 2001