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添付資料 E 1)

在来の生物及び組換え体の人間や植物、動物に対する潜在的な危険性

1. 病原性

 病原性とは、生物とウイルスが、人間や動物、植物に病気を起させる潜在的能力である。科学的に認められている非常に多数の微生物の中で、少量のものがこの能力を持っている。このような病気は、寄生物と宿主の間の相互作用の結果である。また、特定の生物又はウイルスが、常に病気を起すと結論することはできない。なぜならば病原性は、感染量や宿主への侵入部位などの要因の他に、宿主と寄生物双方の遺伝的性質や生理状態に常に依存するからである。
  病気を起す能力のある生物やウイルスは、ごく僅かしか工業で使用されていない。しかもそれらは大抵、ワクチン、トキソイド、又は診断用試薬の製造に際して、やむを得ず用いられているのである。
 新しい技術手法を導入しようとする製造業者が直面する安全上の問題は、基礎になる微生物が病気を起す能力があるかどうかを決めることであり、もしそうであれば、適切に封じ込める方法を定めることである。この問題を処理するに当たって、製造業者はまず利用する微生物を分類して、属と種を同定するであろう。これによって、当該微生物及び近縁の種に関する既存の知識に基づいて、それが病原体として挙動する恐れがあるかどうかについての初期評価が可能になる。それから病原性テストにより、この評価を補足できよう。
 病原体を含むすべての種類の微生物を日常取り扱う臨床実験室及び研究室は、病原体の分類表を採用しており、それは普通は微生物を病原性の低い方から、また作業員や一般大衆に与える危険性の小さいほうから順に、1から4までの危険度分類に分けられている。
 非病原性の生細胞が他の生物のDNA分子を導入された後、病原性を帯びる可能性を採り上げることは有益である。例えば、分子遺伝学で最も特性のよく分っている大腸菌の場合、そのような挿入DNAはゲノムDNAの大きさの約10-3倍のようである。大腸菌K12株は組換えDNA研究において選ばれる生物であるが、約50年前に単離された。そして何年も実験室で維持されている間に、野生型の大腸菌にあった多くの特性を失っている。その中には次のものが含まれる。すなわち

……

細胞表面のK抗原;

……

リポ多糖側鎖の一部;

……

元来の菌株がヒトの消化管の上皮細胞に付着できるようにしていた付着因子
(線毛);

……

ヒトの血漿内の補体による溶菌に対する抵抗性;及び

……

白血球による食菌作用に対するある種の抵抗性

などである。
 したがって、大腸菌K12株は人の消化管に定着しないし、非病原性である。上記の性質を規定する5つの遺伝子中4つは、大腸菌の染色体上広く分散している。病原性には多くの遺伝子が関与するので、組換えDNA実験において誤って転移するには大きすぎると結論するのが、妥当である。同様のことが、このような実験に用いる他の微生物にも当てはまる(例えば枯草菌及び酵母(S. cerevisiae))
 ショットガン実験においては、このようなあり得ない事柄でも起り得ると主張されるかも分からない。しかし上述の通り、長年行って来た実験の結果によれば、この推測は支持できない。加うるに、生産のために組換え体がつくられる時は、組み込まれるDNAは同定され、配列が決められ、そして必要最小の大きさに切断されている。関与する生成物及び宿主は詳細に研究されており、そして生産用の組換え体は、希望する生成物を生産する能力においてのみ、宿主と異なっている。したがって、生産装置そのものの中では、病原性となった組換え体に作業員が感染するという危険性は無視できる。

2. 多量の微生物の安全な取扱い

 いくつかのプロセスでは、希望する生成物を分離した後に多量の微生物が残る。そしてこれらは、安全に処分せねばならない。もしそれらが病原性であるならば、物理的又は化学的方法、又はそのような方法を組み合わせて殺さねばならない。
 したがって次には、処分の問題だけが残ることになり、その性質は細胞集団の組成によって決定される。

3. 生理活性を持つ生成物の安全性

 生成物の品質管理という観点からは、生物の変化及びそれが生産する生成物の品質に関して、予測される危険性をケースバイケースで考慮すべきである。組換えDNA技術を使って臨床的用途に蛋白質を作る場合、最終製品と共にベクターや遺伝子が本来の姿かどうか定期的に試験することは、既に標準的業務として実行されている。このことはプロセス内の生物の変化を検出する上で、ほとんどの場合十分であろう。例えば、「危険な」遺伝物質を含有しているかも分らないウイルス(例えばレトロウイルス)成分と宿主DNAの存在を検査することは、動物細胞培養による生成物の厳重な品質管理の一部として行われている。したがって細胞蛋白質や核酸の中から生成物の精製を行うことが必要である。
 植物細胞からの生成物による潜在的危険性は、既に一般的に製薬工業と関連のあるものであり、したがって既存技術によって制御できる。
 生成物に関する潜在的危険性は、そのプロセスが微生物、動物細胞又は植物細胞のいずれであっても共通であり、組換えDNA技術であるかどうかとは関係が無い。これらはケースバイケースで検討できるであろう。生成物による危険は、主にエアロゾルの生成と環境への漏出によって起る。次の基準を考慮すべきである。

i)

人、動物、植物に直接有毒である;

ii)

鼻や目の器官又は肺胞、口腔又は直接皮膚への接触により吸収される。特に皮膚の切り傷から吸収される;

iii)

侵入した器官内で、生成物が第二次代謝により有毒な物質に変る;

iv)

生成物が免疫反応又はアレルギー反応を起す;

v)

暴露が毒性又は免疫反応を引き出すのに十分である。

これらの生理活性のある微生物生成物を取り扱うに当たって、発酵工業はそのような生成物の検出が可能であり、その封じ込め又は除去がどのような基準の要請に対しても可能である、管理された条件のもとで行われてきた優位性を持っているということができる。こうして、組換えDNA技術を使う生物工学は、長年使用されて成功してきている標準的な工業規模の発酵技術を基礎にして、構築される。

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