1.概要
 1990年6月28、29日にテーマの初期調査が行われ、ノルウェー派遣団が提出した文書に基づいて報告書を作成することが決定された。
 この報告書は、以下の項目を作成方針および目的として作成された。
 作成方針:1)研究の重複を避けるため、国家または国際的組織でおこなわれた現行の研究に基づくこと。
2)遺伝子非組換え生物の放出に関する情報を考慮に入れること。
3)考えられる否定的側面だけを強調していないこと。

目的:1)遺伝子組換え生物の封じ込め利用と遺伝子組換え生物の放出に関する問題
を特定すること。
2)放出が環境に及ぼす潜在的リスクを評価すること。
3)安全性対策と規則に関する実際的結論を下すこと。
4)後日検討すべき問題を提起すること。

2.本文献の位置づけ
 1992年5月に閣僚委員会で「遺伝子組み換え生物の封じ込め利用および意図的放出に伴う潜在的環境影響に関する加盟国への欧州評議会閣僚委員会勧告第R(92)9号」が採択された。
 本報告は、この勧告に基づき、欧州評議会(Council of Europe)の環境および自然生息地の保全と管理に関する運営委員会(CDPE)が、遺伝子技術に関する複合領域を研究する専門家グループを設置し、遺伝子工学が環境に及ぼす影響を調査したものである。

3.主要な結論
 以下の5つのテーマがまとめられた。
1)遺伝子組換え生物利用の潜在的影響のプラスとマイナス。
2)文献調査、現行または草案法律の調査に基づく、安全性対策に対する一般原則と規則。
3)文献調査に基づく、リスク評価とリスク管理。
4)長期効果に焦点を合わせた手法の提示。
 生物の生態系への導入を試験することにより、生態影響とその下にある相互作用を洞察する試みがおこなわれた。さらなる研究に対する戦略が提示され、遺伝子非組換え生物の導入から情報を引き出した数例の事例研究が明示された。