1.概要
 本書は、1999年6月のG8サミットの要請を受けて、OECD科学技術産業局がまとめたものである。本書をまとめるにあたり、科学、ビジネス、産業、農業、労働、消費生活、環境保護等に関る代表者との2回にわたる協議が開催された。これらの協議から、組換えDNA改変によって得られる食品の安全性、人の健康への影響について、今はっきり合意できること、合意できないこと、疑問が残され今後さらに検討を進めることがまとめられた。

2.本書の位置付け
 1999年ケルン・サミットからの要請により、国際的かつステークホルダーによる会議から、世界の市民社会における広範で、しかも時として相反する見解を反映した意見の一致、不一致の領域を指摘し、遺伝子改変食品に関する論争の解決へ向けての試みを行なった。

3.主要な結論
 組換えDNA改変食品の安全性については、それらが既に北米や中国において摂取されており、ピアレビューを経て刊行された科学誌において人の健康に影響を与えるとの報告はみられない。しかし、市場に出てから間もないことから、人の健康への長期的な影響については引き続き研究を行なうことが必要である。
 組換えDNA食品の扱いについての政策決定や安全性評価は、包括的かつ透明性をもって臨むべきであり、また、当事者による情報の伝達に努力すべきである。
消費者の選択権のために表示は重要な手段であるが、組換えDNA食品の多くは従来の食品と代わらないことから、どのような表示を行なうかという合意は得られなかった。