本書は三部から構成されている。第一部(第1章、第2章、第3章)は、検討の背景と歴史的経緯について述べている。まず、分子生物学の入門書的解説を行い、後の章において議論される技術的な重要事項を理解するために必要とされる情報を提供しつつ、モダン・バイオテクノロジーの基礎となる科学的事項を説明している。また、このセクションでは、バイオテクノロジーのリスクを評価するための、国家及び地方自治体の政策の立案における重要事項を詳しく述べることによって、社会的問題に関する後の議論に向け読者に準備の機会を与えている。
第二部(第4〜7章)は、環境中への遺伝子組換え生物の放出に関するリスク評価に関する科学的疑問を精査している。具体的には、リスク評価の全体プロセスを説明し、そのリスクを効果的にモニタリングし評価するために必要となる課題をあげている。また、種から種への遺伝情報の移行に関する現在の知見を、遺伝子伝達の影響を評価する際の基礎として考察し、関連する概念及び懸念を例証するために、仮想のケーススタディを行っている。さらに、外来種の新たな生息地への導入がもたらす生態学的影響について述べ、遺伝子改変生物の放出に関する将来的な予測モデルとして、その利用可能性を評価している。環境放出がもたらすリスクに対する考え方について、分子生物学者と生態学者の間にある意見の相違を明らかにし、潜在的なリスクを評価するために適切な訓練を受けた人材を確保していくために、専門分野間での取り組みを調整する必要があることを強調している。
第三部(第8〜12章)では、産業の育成と悪影響の防止におけるそれぞれの役割について、学会、政府、産業界、一般市民の代表者の見解が述べられている。