カナダにおいて遺伝子組換え生物の野外利用（野外試験および商業利用）に関わっている主要な法律としては下記がある。
ＣＥＰＡの下での規制 CEPAはカナダ環境省（Environment Canada）により所管されている環境保護を目的とする法律であり，その他の法律で規制されていない化学物質や生物の環境および環境経由の人に対する安全性を確保することを目的としている。CEPAの中心となっているのは新規物質に対する規制であり，カナダにとって新しい（new to Canada）物質（新規物質）に対して事前の届出を要求している。 種子法の下での規制 種子法はカナダ食品検査局（Canadian Food Inspection Agency, CFIA）により所管されている法律であり，種子の試験，検査，品質および販売を管理している。種子法の下では，基準を満たしていない種子を販売，カナダに輸入あるいはカナダから輸出することは禁じられている。種子法の下に定められた規則である種子規則は，種子の規格，品種登録，種子生産業者の登録，未登録種子の野外放出等について規定している。遺伝子改変植物の種子については，野外放出に先立って，この法の下で届出を行いリスク評価の審査を受けることが求められる。 飼料法の下での規制 飼料法はカナダ食品検査局（Canadian Food Inspection Agency, CFIA）により所管されている法律であり，飼料の販売を管理している。飼料法の下で，登録されていない飼料は製造，販売，カナダに輸入することは禁止されている。飼料法の下の飼料規則の下で，新規の飼料を放出する場合には，事前の届出が必要である。新規の形質をもつ植物（例えば遺伝子組換え植物）を家畜の飼料として使用する場合には，飼料法および飼料規則の下で，事前に飼料としての安全性および有効性の評価を受けなければならない。CFIAは新規形質をもつ植物の家畜飼料としての評価を行うための指針を示した規制指令（Regulatory directive Dir 95-03）を策定している。 食品に対する規制 カナダでは食品は食品医薬品法の下に規制されており，カナダ厚生省（Health Canada）により所管されている。食品医薬品法の下には食品医薬品規則が策定されており，この第28部に新規食品（Novel Foods）に関する規定がある。 新規食品の中には植物，動物，微生物の遺伝子改変により作られた食品で，新たな特性の加わった，あるいは既存の特性が失われた，あるいは特定の特性が大きく変化したものが含まれている。カナダでは新規食品については，販売前に，規定された情報を含む届出を提出して審査を受けることが要求されている。また，新規食品の安全性評価のための指針が策定されている。 |