オーストラリアでは遺伝子組換え生物の野外利用は遺伝子技術法により、遺伝子組換え食品は食品基準法典により規制されている。 遺伝子技術法の下での規制 オーストラリアは2000年、遺伝子技術法(Gene Technology Act 2000)を制定し、遺伝子組換え生物の規制を一元化した。遺伝子技術法は遺伝子技術の利用により生じるリスクを確認し、このリスクを管理することによりヒトの健康および安全ならびに環境を保護することを目的としている。ライセンスを軸にした規制である点が特徴である。遺伝子技術法に基づき遺伝子技術規制官(Gene Technology Regulator, GTR)が設置されており、遺伝子技術の規制に当たっている。GTRの役割は、遺伝子技術の利用により生じるリスクを確認し、このリスクを管理することによりヒトの健康および安全ならびに環境を保護することに限定されている。従って、例えば遺伝子組換え技術を用いて製造された医薬品や農薬の、医薬品や農薬に関わる規制は、遺伝子技術法とは独立に、別の法的仕組みにより行われる。遺伝子組換え食品の規制 オーストラリアではオーストラリア・ニュージーランド食品基準局(Food Standards Australia New Zealand, FSAZN、旧ANZFA)が所管する食品基準法典(Food Standards Code)の下に食品の安全確保が図られている。食品基準法典は食品の安全性に係る様々な基準を定めているが、その中で、市販前の認可を必要とする食品に関する基準 Part 1.5の下のPart 1.5.2に遺伝子技術を用いて作られた食品に関する基準が含められている。基準 1.5.2は1999年3月13日に基準に取り入れられ、2000年12月7日に発効した。この基準では、GM食品に関して、1)市販前の安全性評価の義務づけ、および2)表示の義務づけを規定している。 <その他の参考情報>
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